『タイムトラベルダディ』第1話は、未来の自分と手を組んだ父・猪狩喜介が、家族に間に合うため「今日」をやり直すSF家族コメディーです。
笑える“津田篤宏の増殖”の奥にあったのは、時間不足ではなく、妻を亡くした父親の余裕と家族の時間を取り戻す物語でした。
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『タイムトラベルダディ』第1話では何があった?
2026年8月1日にテレビ朝日でスタートした『タイムトラベルダディ』。第1話では、妻を亡くしたシングルファーザー・猪狩喜介が、家庭と仕事で同時発生するトラブルに追い詰められ、未来の自分と遭遇します。
主演はダイアンの津田篤宏さん。テレビドラマでは今回が初主演です。
脚本はヨーロッパ企画の上田誠さん、企画・監督はテレビ朝日の北野貴章さん。公式発表では、上田さんが津田さんを想定して書いた“当て書き”の完全オリジナル作品とされています。
まず、第1話の重要ポイントを整理するとこうなります。
ポイント 第1話で描かれたこと
主人公 猪狩喜介(津田篤宏)。妻を亡くしたシングルファーザー
家族 娘・花梨(横溝菜帆)、息子・幹太(前山こうが)、亡妻・華代(橋本マナミ)
喜介の状況 仕事、家事、育児を一人で抱え、朝からトラブル続き
娘の危機 花梨から「闇バイトさせられる」とSOSが届く
SF展開 取引先で動けない喜介の前に、未来から来た自分が現れる
タイムマシン 猪狩家の庭に出現し、「今朝」へ戻ることになる
大きな謎 なぜタイムマシンが猪狩家に現れたのか
設定だけを見ると、かなり荒唐無稽です。
ところが第1話を見ていると、「あと自分が一人いれば全部間に合うのに」という大人の切実な願いが、そのままSFになっていることに気づきます。
ここが、このドラマの強さでした。
キャラ弁から始まる喜介の「空回り」
喜介は2年前に妻・華代を病気で亡くし、高校生の娘・花梨と小学生の息子・幹太を育てています。
朝から家事と子どもの準備に追われ、娘のためにはキャラ弁まで作る。
ところが、その頑張りはなかなか報われません。
第1話では、花梨のためにドラえもんをイメージしたキャラ弁を作るものの、反抗期の娘から望んでいたような反応は返ってきません。
しかも喜介は以前、花梨に自分と同じような茶色い弁当を持たせて怒られた経験があった様子。
そこで今回は頑張って工夫した。
それでもうまくいかない。
テレ朝POSTでも、このキャラ弁をめぐる父娘のやり取りが第1話の印象的な場面として紹介されています。
ここを単なる親子コントとして見ることもできます。
でも僕には、喜介という人物の生き方そのものが表れているように見えました。
家族を大切にしたい気持ちは強い。でも、相手が本当に望んでいることをつかむ余裕がない。
一生懸命なのに、少しズレる。
愛情はあるのに、うまく届かない。
喜介の父親としての不器用さが、たったひとつのお弁当から伝わってきます。

仕事でもトラブル、そこへ花梨から「闇バイト」のSOS
家を出れば、今度は会社員としての時間が始まります。
喜介は広告系Web制作会社で働く課長。家庭だけでなく、職場でも責任を背負う立場です。
第1話では仕事上の大きなミスが発覚し、人事部の須藤から評価シートの提出をせかされるなど、会社でも余裕がありません。
そして喜介が取引先へ謝罪に出向いている最中、娘の花梨から危険を知らせるメッセージが届きます。
内容は、自分が「闇バイトさせられる」かもしれないというもの。
テレビ朝日の公式あらすじでも、第1話の大きな危機としてこの展開が明記されています。
父親なら、すぐに娘のところへ走りたい。
けれど、その瞬間の喜介は取引先への謝罪中です。
「娘が危ないから帰ります」で簡単に離れられる状況ではない。
家庭を守るためには仕事も必要で、その仕事が家族のもとへ走ることを邪魔してしまう。
なんとも皮肉です。
そして、この「大切なものが同時に自分を呼んでいる」という状況こそ、『タイムトラベルダディ』にタイムマシンが必要になった理由なのでしょう。
人間の体はひとつしかない。
だから物語は、本当に喜介を二人にしてしまいます。
未来の喜介はなぜ現れた?娘を救う父が「自分を増やす」
花梨の危機を知りながら、取引先から動けない喜介。
その絶体絶命の状況に突然現れるのが、もう一人の猪狩喜介です。
顔も声も当然同じ。
目の前に立っているのは、自分自身。
ただし、現在の喜介より落ち着いています。
もう一人の喜介は未来から来た自分だと説明し、取引先への対応は自分が引き受けるから、現在の喜介は花梨のところへ行くよう促します。
この瞬間、タイトルにある「タイムトラベル」が、単なる宣伝文句ではなく物語の仕組みとして動き始めます。
喜介は花梨を危険から救い出す
現在の喜介は花梨のもとへ急ぎます。
そこには花梨を危険な仕事へ巻き込もうとする男たちがいました。
普段の喜介は、慌てるし、空回りするし、会社では頭を下げることもある父親です。
でも娘が危険にさらされた瞬間、その姿が変わる。
男たちを相手に一歩も引かず、父親として真正面から立ちはだかります。
テレ朝POSTでも、この場面は喜介が犯罪者たちに激怒して花梨を守るシーンとして取り上げられました。
僕はここで、「津田篤宏さんを主演にした意味」が一気に見えた気がしました。
喜介はスマートなヒーローではありません。
普段はむしろ情けない。
怒っている姿も、どこか笑える。
ところが本当に守らなければならない瞬間には、その怒りが格好よく見える。
北野貴章さんも公式コメントで、津田さんについて「怒っているのに面白い」「情けないのに愛おしい」という魅力を意識した作品だと説明しています。
喜介の父親像は、まさにそこにあります。
完璧ではない。
でも、必要な瞬間には来る。
父親の愛情とは、いつも正しい答えを出せることではなく、「ここだけは逃げない」という場所を持つことなのかもしれません。

第1話は「未来の父が現在の父を救う」だけでは終わらない
花梨の危機を解決したところで普通のドラマなら一段落です。
しかし『タイムトラベルダディ』は、そこからもう一段ギアを上げました。
その夜、未来の喜介は現在の喜介を自宅の庭へ連れていきます。
そこにあったのが、謎のタイムマシンです。
しかも未来の喜介は、「今度は今朝に戻って、自分を助ける側になってほしい」という趣旨の頼みをします。
つまり第1話で見ていた「未来の喜介」は、どこか遠い未来から偶然やって来た存在とは限らない。
現在の喜介自身がこのあと時間を戻り、別の時間帯の自分を助ける。
そうして、助けられた喜介が、今度は助ける喜介になるループが作られていくわけです。
ここが非常に上田誠さんらしい。
未来からヒーローが来たのではありません。
自分を救えるのは、結局、自分。
ただし「少し先まで経験した自分」です。
人生でも、「あのときの自分にこれを教えてあげたい」と思う瞬間があります。
『タイムトラベルダディ』では、それを本当にやってしまう。
その発想が面白いのです。
『タイムトラベルダディ』第1話の最大のポイントは「時間」ではなく役割の分身
『タイムトラベルダディ』最大の特徴は、過去を変えて大成功するSFではありません。
同じ一日の中で喜介を増やし、複数の問題を同時に処理するSFです。
公式発表でも、喜介は“その日1日”に限って時間を巻き戻し、自分自身を増やしながら家族や同僚の危機を乗り切っていく人物として説明されています。
これはかなり重要な違いです。
宝くじの当選番号を知るためではない。
歴史を変えるためでもない。
世界を救うためでもない。
娘のところへ行く。
仕事の問題を解決する。
息子のトラブルに間に合う。
家庭も会社も放り出さない。
世界規模のSF装置を、あまりにも生活感のある理由で使う。
僕はここに、この作品ならではの面白さを感じます。
喜介に足りないのは「24時間」ではない
一見すると、喜介の問題は時間不足です。
だったら時間を戻せばいい。
自分を増やせばいい。
それで全部解決するようにも思えます。
でも僕は、第1話を見ていて少し違う印象を受けました。
喜介に本当に足りていないのは、時間より「余裕」なのではないでしょうか。
娘が何を望んでいるか考える余裕。
息子の話をゆっくり聞く余裕。
部下の失敗に向き合う余裕。
自分自身が疲れていることを認める余裕。
そして、亡くなった妻・華代のことを悲しむ余裕。
喜介は止まりません。
止まれば、家事が残る。
仕事が遅れる。
子どもたちにしわ寄せがいく。
だから走り続ける。
タイムマシンはそんな父親に「もっと時間を与えてくれる夢の道具」に見えます。
けれど少し意地悪な見方をすれば、逆でもあります。
時間が増えた結果、喜介が背負える仕事まで増えてしまう。
一人で無理なら二人になる。
二人で無理なら、さらに別の時間から自分が来る。
便利なようで恐ろしい構造です。
普通なら「誰かに頼ろう」となる場面で、喜介はタイムトラベルして自分に頼る。
つまりこの作品は、現代の「全部自分でやらなければ」という感覚を、SFコメディーとして極端な形にしているとも読めます。
ここは第1話を見て僕が最も面白いと感じた部分でした。

妻・華代の死はどう関係する?「失われた時間」が本当のテーマか
喜介の物語を考えるうえで忘れてはいけないのが、亡き妻・猪狩華代の存在です。
華代を演じるのは橋本マナミさん。
公式設定によれば、華代は物語開始の2年前に病気で亡くなっています。
娘の花梨を横溝菜帆さん、息子の幹太を前山こうがさんが演じています。喜介はその二人を男手ひとつで育ててきました。
ここを踏まえると、本作のタイムトラベルには別の意味が見えてきます。
喜介には、どれだけ頑張っても取り返せなかった時間があるからです。
お弁当を直すことはできても、亡き妻との時間は戻せるのか
今日のお弁当を間違えたなら、今日に戻れば修正できます。
娘の危機に間に合わなかったなら、数時間戻れば先回りできるかもしれない。
仕事のミスも、起きることを知っていれば対策できる可能性があります。
では、華代はどうでしょうか。
2年前まで戻れたら?
病気になる前へ行けたら?
最後に会話した日に戻れたら?
これは、妻を亡くした人物にタイムマシンを与えた時点で、どうしても浮かんでしまう問いです。
ただし現時点で、喜介が華代の死そのものを変えようとする展開は公式には明らかになっていません。
そこを「妻を救う物語だ」と断定するのは早すぎるでしょう。
むしろ第1話段階で重要なのは、テレビ朝日が作品全体を、タイムトラベルの中から家族の“失われた時間”や“言えなかった気持ち”が浮かび上がる物語として紹介している点です。
つまり華代は、単に主人公をシングルファーザーにするための過去設定ではない可能性が高い。
「やり直せる今日」と「もう戻らない過去」。
その違いを喜介がどう受け止めるのか。
ここが家族ドラマとしての大きな軸になるのではないでしょうか。
「家族を守る」と「家族を理解する」は違う
喜介は間違いなく家族思いです。
娘が危険なら飛んでいく。
朝から弁当を作る。
息子のことも気にする。
ただ、それだけで家族関係がすべてうまくいくわけではありません。
花梨は反抗期です。
父親から距離を取りたい年頃でもあるでしょう。
その一方で、本当に危険な状況になったとき、助けを求めた相手は喜介でした。
僕はこの距離感がとてもいいと思いました。
普段はうっとうしい。
でも、いざというときには来てほしい。
親子関係は、「仲良し」か「不仲」かという二択ではありません。
近づいてほしくない瞬間と、絶対にいてほしい瞬間が同居している。
第1話の花梨と喜介には、それがしっかり描かれていました。
喜介がこれから学ばなければならないのは、子どもを危険から守る方法だけではないのでしょう。
何をしてあげるかではなく、いつそばにいて、いつ一歩引くか。
タイムマシンでは操作できない「心の距離」を学んでいくことも、このドラマの再生なのだと思います。
第1話の伏線は何?タイムマシンが庭に現れた理由が最大の謎
『タイムトラベルダディ』第1話で、今後の考察につながる最大の謎は明快です。
なぜ猪狩家の庭にタイムマシンが現れたのか。
公式の作品紹介でも、この点は明確に「謎」として提示されています。
喜介が開発したわけではない。
誰かから普通に購入したわけでもない。
未来の喜介によれば、家の庭にタイムマシンが出現していた。
物語の都合だけで突然置かれたのであれば、それまでです。
しかし本作の脚本を担当するのは、時間ものを得意とする上田誠さん。
主演の津田篤宏さん自身も、放送開始前のコメントで、第1話には多くの伏線や重要なヒントがあるという趣旨の発言をしています。
ならば、庭のタイムマシンを「そういう設定」とだけ受け取るのは少しもったいない。
注目したい4つのポイント
第1話から僕が特に覚えておきたいのは、次の4点です。
- なぜタイムマシンは猪狩家の庭を選んだのか
- 誰が最初にタイムマシンを使ったのか
- 未来の喜介は、現在の喜介よりどこまで先の出来事を知っているのか
- 華代と「失われた時間」がタイムトラベルにどう結びつくのか
中でも面白いのは、「最初の喜介は誰なのか」という問題です。
現在の喜介は、未来の喜介に助けられる。
その後、現在の喜介が過去へ戻り、今度は別の自分を助ける。
すると視聴者が最初に見た“未来の喜介”も、実はその少し前に同じ経験をしていた可能性があります。
原因と結果が輪のようにつながり始める。
「助けてもらったから、助けに行く」。
しかし最初に助けに行った人物は、なぜその行動を始めたのでしょうか。
こういう小さな引っかかりこそ、時間ものを見る楽しさです。
上田誠脚本だから「やり直し」より「つじつま」に注目したい
上田誠さんは、ヨーロッパ企画を主宰し、『サマータイムマシン・ブルース』や映画『リバー、流れないでよ』など時間構造を生かした作品で知られています。
今回も北野貴章さんとの企画段階で、「忙しすぎるシングルファーザーがタイムトラベルして、自分で自分を助ける」という発想から物語が生まれました。
上田さん自身も、津田さんが画面にずっと登場し、場面によっては一画面に一人以上いるような作品になったと説明しています。
だから僕は、本作を「失敗したら時間を戻して正解ルートを選ぶドラマ」とは少し違うものとして見ています。
むしろ、
「あのとき未来の喜介がここにいたのは、このあと現在の喜介が戻ってくるからだったのか」
と、後から出来事の意味が反転するタイプの作品になる可能性が高い。
第1話の何気ない会話や配置が、数話後に別の意味を持つ。
そう考えると、喜介が何時ごろどこにいたのか、「別の喜介」がどの場面を担当したのかを意識して見ると、楽しみが増えそうです。

『タイムトラベルダディ』第1話の感想・考察|父が本当に取り戻すものは何?
ここからは僕個人の感想と考察です。
第1話を見て最も印象に残ったのは、タイムマシンではありません。
喜介の必死さです。
喜介は何度も失敗します。
娘との距離感を読み違える。
仕事にも追われる。
焦る。
怒る。
未来の自分が突然現れれば混乱する。
主人公としては、かなり格好悪い。
でも、その格好悪さがあるからこそ、花梨の前へ走っていく姿が効きました。
最初から何でもできる父親が娘を助けても、「ヒーローだな」で終わります。
できない父親が、それでも間に合わせようとする。
だから胸に残るのです。
「時間を増やす物語」ではなく「間に合う物語」
僕は『タイムトラベルダディ』を、単純な「時間を増やす物語」だとは思いませんでした。
これはむしろ、間に合いたい人の物語です。
娘が助けを求めたときに間に合いたい。
息子が必要としている瞬間に間に合いたい。
会社で責任を求められたときにも間に合いたい。
もしかすると、亡くした妻に伝えられなかった気持ちにも間に合いたい。
僕たちが人生で後悔するとき、よく考えると「時間が足りなかった」ことより、「大事な瞬間に自分がそこにいなかった」ことの方が痛かったりします。
あと5分あれば。
あの日、もう少し話を聞いていれば。
電話を一本していれば。
そんな「間に合わなかった記憶」は、時計を戻せないから残ります。
だから喜介がタイムマシンを手に入れる設定は、単なるSFギミック以上に切実です。
ただし「全部に間に合う父親」になることが正解ではない
一方で、僕はここに少し怖さも感じています。
タイムマシンを使えば、喜介は何人にも増えられる。
仕事にも行ける。
娘も助けられる。
息子にも対応できる。
家事もできる。
全部に間に合える。
でも、それは本当に幸せでしょうか。
もしかすると本作が最後に描くべきなのは、「一人ですべてをやり切れる父親」になることではありません。
全部には間に合わなくてもいい、と喜介自身が認められるようになること。
僕はこちらの方が「家族の再生」という言葉に近い気がします。
タイムマシンで自分を増やさなければ維持できない生活なら、問題は時間ではなく、喜介が一人で抱えすぎていることなのかもしれない。
妻を亡くして2年。
「自分が父親として全部やらなければ」と走ってきた喜介が、誰かを頼ることを覚える。
子どもたちもまた、父親が完璧ではないと知る。
そのうえで家族になり直す。
もしこの方向へ物語が進むなら、『タイムトラベルダディ』は単なるSFコメディーではなく、かなり優しい喪失と再生のドラマになると思います。
タイトルの重要語は「タイムトラベル」より「ダディ」
タイトルを最初に見たとき、やはり目を引くのは「タイムトラベル」です。
でも第1話を見終えると、僕はむしろ後半の「ダディ」が気になりました。
これはタイムトラベラーになる男の物語ではない。
父親としてもう一度家族に向き合う男の物語なのではないか。
時間を戻せば、弁当は作り直せる。
予定も調整できる。
失敗を避けることもできる。
でも、父と娘の距離そのものを時計の針では直せません。
亡くした妻への感情も同じです。
だから最終的に喜介がやり直すのは「出来事」ではなく、「家族との向き合い方」なのではないでしょうか。
時間線をいくつ増やしても、人生のステアリングを握る手は自分のものです。
どの瞬間を大切にするか。
誰の声に振り向くか。
それを決めるところまでは、タイムマシンも代わってくれません。
まとめ|『タイムトラベルダディ』第1話は家族に「間に合う」父の物語
『タイムトラベルダディ』第1話では、妻・華代を亡くした猪狩喜介が、娘・花梨と息子・幹太を育てながら仕事にも追われる日常が描かれました。
キャラ弁を作っても娘には響かず、会社では仕事上の問題が発生。その最中に花梨から「闇バイトさせられる」というSOSまで届きます。
取引先への謝罪中で動けない喜介。
そこで現れたのが、未来から来たもう一人の自分でした。
未来の喜介に仕事を任せ、現在の喜介は娘のもとへ走る。
そして花梨の危機を解決した夜、猪狩家の庭にある謎のタイムマシンを使い、今度は喜介自身が「今朝」へ戻ることになります。
つまり第1話で始まったのは、過去を好き勝手に改変する冒険ではありません。
一人ではすべてに間に合わない父親が、自分自身を増やしてでも大切な人のもとへ走る物語です。
僕は、そこにこの作品の笑いと切なさが同居していると感じました。
喜介が本当に取り戻したいものは、数時間という時計上の時間だけなのでしょうか。
なぜタイムマシンは猪狩家の庭に現れたのか。
未来の喜介はどこまで先を知っているのか。
そして亡き妻・華代との「失われた時間」は、この先どんな意味を持つのか。
第1話から伏線が仕込まれていると主演の津田篤宏さん自身が語っているだけに、何気なく見えた場面が後からつながる可能性があります。
それでも第1話だけで、ひとつ確かなことがあります。
喜介が時間を超えるのは、世界を救いたいからではありません。
大切な人が自分を必要とした瞬間に、間に合う父親でいたいからです。
夜更けに見終えたあと、僕の胸に残ったのはタイムマシンの形ではありませんでした。
「今日、自分は大切な人の声にちゃんと振り向けただろうか」。
そんな小さな問いでした。
ドラマの時計が巻き戻っても、僕たちの今日は一度きりです。
だからこそ、喜介が何度も走り直す姿が、少しだけ僕たち自身の人生にも重なって見えるのだと思います。
よくある質問
『タイムトラベルダディ』第1話はいつ放送された?
第1話は2026年8月1日にテレビ朝日で放送されました。放送枠は毎週土曜深夜0時30分から1時で、津田篤宏さんにとってテレビドラマ初主演作です。
『タイムトラベルダディ』第1話で喜介がタイムトラベルする目的は?
娘・花梨や息子・幹太、仕事関係者に同時発生するトラブルへ対処するためです。一人では間に合わない喜介が、その日一日を巻き戻して自分自身を増やし、それぞれの危機を乗り切ろうとします。
『タイムトラベルダディ』の脚本は誰?
脚本はヨーロッパ企画を主宰する上田誠さんです。企画・監督は北野貴章さん。上田さんが津田篤宏さんを想定して書いた当て書きのオリジナル作品で、時間SFと家族の喪失・再生を組み合わせた物語になっています。
執筆:岸本 湊人
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