『名探偵のままでいて』の犯人は久喜です。27年前に香苗を殺害し、香苗に似た楓へ執着していました。
2026年8月7日放送の第4話では、黒いブーケや非通知電話のストーカー事件だけでなく、楓の母・香苗の死まで一本につながります。久喜を追い詰めたのは、緊急連絡先、バニラの香り、ヘアブラシ、手袋といった“日常に紛れた証拠”でした。
夜更けに第4話を見終えたあと、僕の胸に残ったのは「犯人が意外だった」という驚き以上に、もっと冷たい感覚でした。
恐怖は玄関の外からやって来たのではない。すでに家の中へ招き入れられていた。
この一点を理解すると、『名探偵のままでいて』第4話に散らされていた伏線の意味が、一気に違って見えてきます。
テレビ朝日の公式情報によると、久喜を演じるのは勝村政信さん。言語聴覚士として祖父のもとを定期的に訪れ、娘自慢を繰り返すことから祖父に“親バカさん”と呼ばれていました。楓から見ても、介護チームの中で特に祖父と相性がいい人物として描かれていたのです。
だからこそ、犯人判明の衝撃は大きい。
この記事では、『名探偵のままでいて』の犯人・久喜が何をしたのか、なぜ楓を狙ったのか、27年前の香苗殺害との関係、そして祖父が見抜いた決定的な伏線まで、第4話の内容をネタバレありで整理します。
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『名探偵のままでいて』の犯人は誰?正体は“親バカさん”久喜
結論から言えば、楓をつけ回していたストーカーの正体は、勝村政信さん演じる言語聴覚士・久喜です。
しかも久喜は、現在のストーカー事件だけに関係する人物ではありません。
27年前、楓の母・香苗を結婚式の日に殺害した本人でもありました。
ここが、今回の記事で最も重要な「事件の真相」です。
久喜は祖父の発声リハビリや喉のケアを担当するため、祖父宅へ日常的に出入りしていました。公式のキャスト発表時には、娘を溺愛し、祖父とテンポのよい会話を交わす親しみやすい人物として紹介されています。
つまり、視聴者にとっても楓たちにとっても、久喜は最初から「警戒する人物」ではなかったのです。
一方、別の介護スタッフとして登場する国枝は、朝井大智さん演じる理学療法士。
実家がバニラビーンズにこだわるソフトクリーム店で、本人からもバニラの香りがするため、祖父から“ソフトクリーム屋さん”と呼ばれています。
第3話までの描写では、この「バニラの香り」が強烈なミスリードになりました。
楓が黒ずくめの不審人物から甘い香りを感じていたため、視聴者は自然と国枝へ疑いを向けます。
ところが本当の犯人は、その疑いを利用していた久喜でした。
第4話の冒頭では、楓へのストーカー行為がさらにエスカレートします。
それまで続いていた不審な着信に加え、自宅のドアノブには不気味な黒いブーケ。
さらに非通知電話の相手は、ついに楓へ「殺すよ」と脅しをかけました。楓は親友の美咲とともに刑事の我妻、城之内へ相談しますが、相手の特定につながる情報がない段階では具体的に動けないと説明されます。
楓は祖父宅を訪れ、眠っていると思った祖父へ、初めてストーカー被害を告白します。
しかし祖父は聞いていました。
そして楓が帰ったあと、ちょうどリハビリにやって来た久喜へストーカーの話を切り出します。
祖父が考えたのは単純でした。
犯人の正体と具体的な被害が分かれば、警察を動かす材料になる。
公式のテレ朝POSTでも、第4話では祖父がその考えから犯人の推理を開始する展開が紹介されています。
そのころ楓は祖父宅を出た直後に襲われ、意識を失います。
目を覚ました場所は祖父宅のダイニング。手足を拘束され、声を出せない状態のまま、隣の書斎で進む祖父と久喜の会話を聞くことになりました。放送前のテレビ朝日公式記事でも、楓が祖父宅を出たところで襲われ、拘束された状態で祖父宅のダイニングに目覚める展開が明かされていました。
犯人は、遠くから楓を見ていた知らない男ではなかった。
祖父の身体を支え、家の中へ入ることを許されていた久喜だったのです。
なぜ久喜は楓を狙った?27年前に香苗を殺害した過去
久喜が楓を狙った理由は、楓の母・香苗への執着にあります。
久喜は27年前、別の男性との結婚を選んだ香苗を“裏切った”と捉え、結婚式の日に殺害しました。そして成長した楓が香苗によく似ていたため、今度は楓へ執着を向けたのです。
ここは「香苗の事件につながっていた」という曖昧な話ではありません。
ドラマ第4話で、久喜自身が香苗を殺した人物だったことまで明かされています。
香苗は当時、楓を妊娠していました。
母親の命を救うことはできませんでしたが、胎内にいた楓は助かります。そのため楓は、生まれる前から久喜の犯罪によって母を奪われていたことになります。
さらに重要なのは、久喜が香苗の死を自分の選択として受け止めていない点です。
香苗が自分ではない男性と結婚することを「裏切り」と考え、成長した楓についても「母親に似ている」という理由で自分の欲望を正当化していく。
これは愛情ではありません。
僕には、相手をひとりの人間として見ることをやめ、自分の物語の登場人物へ変えてしまう“所有”の発想に見えました。第4話の詳細な描写でも、久喜は香苗の結婚を裏切りとして受け止め、香苗に似た楓へ執着を移したことが整理されています。

第1話から祖父が見る「血に染まったウェディングドレス」のイメージも、第4話で意味が変わります。
あれは単なる未来の予兆として見るより、香苗を失った祖父の記憶と、楓まで失うかもしれない恐怖が重なったものとして読むことができます。第4話では、香苗の結婚式の日の悲劇と血まみれのウェディングドレスの意味がつながりました。
そして僕がゾッとしたのが、“親バカさん”という呼び名です。
公式設定では、久喜は「娘を溺愛して娘自慢をする人」だったからこそ、祖父にそう呼ばれていました。
ところが第4話では、その娘自慢そのものに疑いが生まれます。
久喜が語っていたような娘は存在せず、彼が「娘の美しい髪」として話していた内容は、実際には楓への執着と結びついていたことが示されます。
一見すると温かい“親バカ”。
真相を知って振り返ると、それは久喜の異常な執着を覆い隠す仮面だった。
名前の意味まで反転させる伏線として、とてもよくできています。
久喜が犯人だと分かった決め手は?5つの伏線を整理
久喜の正体を暴いたのは、突然現れた決定的証拠ではありません。
祖父が拾ったのは、電話番号、靴、匂い、ヘアブラシ、手袋という、あまりにも小さな日常の違和感でした。
犯人特定につながったポイントを整理すると、次の5つです。
- 祖父宅の緊急連絡先
犯人は楓の個人の電話番号を知っていました。楓の番号を第三者が確認できる場所として祖父宅の緊急連絡先が浮上し、祖父宅へ日常的に出入りできる人物へ犯人候補が絞られます。
- ランニングシューズへの久喜の反応
不審人物は岩田の追跡から逃げ切れるほどの走力を持っていました。久喜は以前から楓のランニングシューズへ詳しい反応を示しており、運動経験をうかがわせる材料になります。
- バニラの香りは国枝ではなく久喜にもあった
久喜は甘い香りを“ソフトクリーム屋さん”こと国枝へ結びつけようとします。しかし祖父は久喜からも似た香りを感じ、バニラ味のプロテインへ発想を転換。国枝を怪しく見せる久喜自身の説明が、逆に誘導の痕跡になります。
- ヘアブラシから楓の髪が消えていた
祖父宅にあった楓のヘアブラシから髪がなくなっていました。ストーカーが相手に関係する物を収集していると考えれば、楓の私物へ自然に触れられる人物が浮上します。
- ヘアブラシに他人の指紋がなく、久喜は手袋を使っていた
ヘアブラシから確認された指紋は楓のものだけ。犯人が手袋をして触った可能性が生まれ、普段から手袋を着けて祖父のケアを行う久喜と条件が重なります。
ここで面白いのは、久喜が国枝を犯人候補として説明しようとすればするほど、祖父の疑いが久喜自身へ戻っていくことです。
国枝は若く、体力がある。
祖父宅へ出入りできる。
バニラの香りもする。
条件だけを並べれば、確かに怪しい。
けれどミステリーでは、「条件が合う人」と「その条件へ視線を向けさせようとしている人」は別です。
僕はここに、このドラマらしい推理の美しさを感じました。
犯人は派手なミスをしていない。
それでも会話の中では、自分が疑われないよう少しだけハンドルを切ってしまう。
人生でもそうですが、ステアリングは数ミリ切っただけでも、長い距離を走れば大きく進路を変えます。
久喜もまた、国枝へ疑いを向けるという小さな操作を重ねたことで、逆に自分の立ち位置を祖父へ教えてしまったのです。
さらに祖父は、久喜が“親バカさん”として語り続けた娘そのものへ踏み込みます。
久喜が語る娘と楓の髪への異常なこだわり。
楓の被害について、本人から聞かされていない情報まで久喜が知っていること。
一つなら偶然に見える違和感が、二つ、三つと積み上がった瞬間、逃げ道が消えていく。
名探偵が見抜いたのは「犯人らしい顔」ではなく、「知っているはずのないことを知っている人」でした。
そこに本格ミステリーとしての気持ちよさがあります。
第4話の結末は?自白録音と祖父が私刑を選ばなかった意味
正体を見抜かれた久喜は、それまでの穏やかな“親バカさん”の顔を捨てます。
そして祖父との会話の中で、27年前に香苗を殺害したこと、現在は楓へ執着していることが明らかになっていきました。
祖父は香苗に警察を呼ばせるような言葉を使い、久喜の反応を探ります。
久喜は香苗がもう生きていないことを知っている。
その事実を前提に反応したことで、27年前の事件と久喜との結びつきがさらに露わになります。
ただし、祖父の作戦はそれだけではありませんでした。
レビー小体型認知症を患う祖父には、香苗の姿が現実なのか幻視なのか、自分自身でも確信できない瞬間があります。
だから祖父は、自分の認識だけを絶対視しなかった。
四季と岩田という別の“保険”も用意していました。
僕はここが、第4話で最も好きなポイントの一つです。
名探偵だから自分を信じ抜くのではない。
自分が間違う可能性まで計算に入れる。
それは弱さではなく、むしろ成熟した知性でしょう。
やがて久喜が祖父へ襲いかかるなか、祖父は隙を突いて久喜を制圧。
その間に四季が拘束された楓を救い、岩田は久喜が香苗殺害やストーカー行為を認める会話を録音します。
ここで重要なのが録音です。
祖父の推理がどれほど正しくても、それだけでは警察へ犯罪を立証する材料として十分とは限らない。
しかし久喜自身の発言を記録しておけば、最初に祖父が口にした「犯人の正体と具体的な被害を明らかにする」という目的へ近づけます。

そして、事件解決以上に祖父という人物を決定づけたのが、その後の選択でした。
祖父には、娘・香苗を奪った久喜へ自分の手で復讐する機会があります。
それでも祖父は久喜を必要以上に傷つけることを選びません。
第4話で示された「ぼくは、折らない」という意思は、僕には単なる優しさには聞こえませんでした。
久喜を許したわけではない。
香苗の死を忘れたわけでもない。
むしろ、自白を記録し、警察と法へつなげる道を残したうえで、自分だけの裁き=私刑を選ばなかったのです。
ここで祖父と久喜の違いが、決定的になります。
久喜は「自分がそうしたい」という感情を理由に、相手の人生を奪った。
祖父は強烈な怒りと復讐心を抱く理由がありながら、それでも自分の感情だけで相手を裁くことを拒んだ。
片方は欲望のままに境界線を越える。
片方は、越えられる状況でも境界線の前で止まる。
本当の強さは、力を使えることではなく、使わないと決められることなのかもしれません。
今回の考察で僕が最も新しく注目したいのは、祖父の「推理力」より、この自己制御です。
『名探偵のままでいて』は、認知症を抱える祖父を「何でも完璧に解ける超人」として描いているわけではありません。
原作を刊行する宝島社も、本作をレビー小体型認知症の祖父が孫娘・楓の持ち込む謎を解く安楽椅子探偵ミステリーとして紹介し、楓の出生に関わるシリアスな事件も作品の大きな柱だと説明しています。
祖父は自分の幻視を疑う。
自分だけでは足りないと考えて仲間を呼ぶ。
証拠を残す。
そして最後には、怒りに自分を支配させない。
僕にはこの一連の行動すべてが、「名探偵であり続ける」とは何かへの答えに見えました。
『名探偵のままでいて』犯人事件を考察|本当に怖かったのは「信頼の悪用」
今回の事件で僕が最も怖いと感じたのは、久喜が黒ずくめの姿で楓を追いかけたことではありません。
祖父と楓が久喜を信頼できる人物だと思っていたことです。
久喜は言語聴覚士として祖父宅へ入り、発声のリハビリを行い、祖父と冗談を交わしていました。公式紹介でも、楓が介護チームの中で祖父との相性の良さを感じている人物として設定されています。
緊急連絡先を見ることができたのも、楓の私物へ近づけたのも、「そこにいて不自然ではない人物」だったからです。
だから今回の真相を、特定の職業への不信として読むべきではないでしょう。
怖いのは職業ではなく、信頼によって与えられた距離を、久喜個人が犯罪のために悪用したことです。

同時に、久喜が楓を見ていた視線と、祖父が楓を見る視線の違いも鮮明です。
久喜は楓に香苗を重ね、自分の過去の続きとして扱いました。
一方の祖父は、楓を香苗の代わりにはしない。
楓が自分とは別の人生を持つ一人の人間だからこそ、守ろうとする。
僕はここに、この事件の芯があると考えています。
愛情と執着の違いは、「どれだけ強く思うか」ではありません。
相手が自分とは別の人間であり、自分を選ばない自由まで持っていると認められるか。
香苗の結婚を受け入れられなかった久喜は、その境界を越えました。
祖父は娘を殺された怒りの中でさえ、最後の境界を越えなかった。
だから久喜の犯行と祖父の選択を並べると、第4話は単なる「ストーカー犯を暴く回」ではなくなります。
自分の感情を理由に他人の人生を奪う人間と、自分の感情を抱えたまま他人の人生を奪わない人間。
その二人が、同じ書斎で向き合っていた。
僕にはあの場面が、第4話最大の“謎解き”でした。
そしてタイトルの『名探偵のままでいて』も、ここで少し違って響きます。
名探偵でいるとは、記憶を一つも失わないことではない。
すべての答えを一人で出すことでもない。
間違う可能性を認め、それでも目の前の人を守るために考え、最後に「どんな自分でいるか」を選ぶこと。
祖父は病気によって少しずつ失われるものを抱えながら、それでもこの夜、自分自身のステアリングだけは手放しませんでした。
まとめ
『名探偵のままでいて』で楓を狙っていた犯人は、勝村政信さん演じる言語聴覚士・久喜“親バカさん”でした。
そして久喜は、27年前に楓の母・香苗を結婚式の日に殺害した人物でもあります。香苗の結婚を裏切りと捉えて執着し、その後、母によく似た楓へ執着を移していました。
久喜の正体へつながったのは、祖父宅の緊急連絡先、ランニングシューズへの反応、バニラの香り、髪が消えたヘアブラシ、指紋を残さない手袋という複数の伏線です。さらに久喜が国枝へ疑いを向けようとした言動も、祖父の推理を久喜本人へ戻す材料になりました。
最後には四季が楓を救出し、岩田が久喜の自白を録音。
祖父は娘を殺した男へ復讐できる状況になっても私刑を選ばず、証拠とともに法へ委ねる道を選びます。
犯人が誰かだけなら、答えは「久喜」で終わります。
けれどこの事件の本当の答えは、その先にあるのでしょう。
久喜は愛を理由に相手の自由を奪い、祖父は愛ゆえに自分の怒りを制した。
僕にとって第4話は、その違いを一つの殺人事件とストーカー事件を通して突きつけた回でした。
よくある質問
『名探偵のままでいて』で楓を狙った犯人は誰?
犯人は、勝村政信さん演じる言語聴覚士の久喜です。
祖父から“親バカさん”と呼ばれ、普段からリハビリのため祖父宅へ出入りしていた身近な人物でした。
久喜は楓の母・香苗も殺した?
はい。
ドラマ第4話では、久喜が27年前、結婚式の日に香苗を殺害した本人だったことが明らかになります。当時香苗のお腹には楓がおり、楓は助かりました。
なぜ久喜は楓を狙った?
久喜は香苗が別の男性と結婚したことを裏切りと捉え、香苗へ執着していました。
その後、成長した楓が香苗によく似ていたため、今度は楓へ執着を移し、電話や黒いブーケ、つきまといなどのストーカー行為へ発展していきました。
犯人の仮面が剥がれたあと、僕の胸に残ったのは恐怖だけではありませんでした。
答えを見つける知性よりも、その答えを手にしたあと「自分はどうするのか」を選べる強さ。
祖父が名探偵のままでいられた理由は、きっとそこにあります。
黒いバラの夜が明けても、あの静かな決断の余韻だけは、僕の中でまだ消えていません。
――岸本 湊人
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