東野圭吾『雪煙チェイス』は、殺人容疑の大学生が雪山で唯一の証人を捜す追跡サスペンスです。
無実を証明できなければ逮捕される若者と、組織の命令を受けて彼を追う刑事。白いゲレンデで交差する二つの焦りが、物語を一気に加速させます。
この記事では、原作小説のネタバレなしのあらすじ、犯人と結末、雪山シリーズならではの魅力、2026年放送のNHKドラマ版との違いを解説します。
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『雪煙チェイス』原作小説とは?発売日とシリーズの順番
『雪煙チェイス』は、東野圭吾さんがスキー場を舞台に描いた長編サスペンス小説です。
実業之日本社の商品ページに記載されている旧版の発売日は、2016年11月29日。旧版奥付に示される初版発行日は2016年12月5日であるため、書誌情報によって日付が異なる場合があります。
現在流通している新装版は、2023年10月6日に発売されました。
項目 旧版 新装版
著者 東野圭吾 東野圭吾
出版社 実業之日本社 実業之日本社
公式発売日 2016年11月29日 2023年10月6日
判型 A6判・文庫 A6判・文庫
ページ数 416ページ 416ページ
ISBN 978-4-408-55323-8 978-4-408-55840-0
本作は、『白銀ジャック』『疾風ロンド』に続く雪山シリーズの長編第3作です。
スキー場のパトロール隊員・根津昇平や、スノーボードクロス選手の瀬利千晶など、過去作から続いて登場する人物もいます。
ただし、殺人事件と主人公・脇坂竜実をめぐる追跡劇は、本作だけで完結します。
シリーズを初めて読む人でも、事件の内容が分からなくなる心配はありません。
一方で、根津と千晶が過去にどのような事件を経験し、どんな関係を築いてきたのかまで味わいたい場合は、『白銀ジャック』『疾風ロンド』の順に読むと人物の選択がより深く伝わります。
同じ雪山の世界を舞台にした関連作には、連作短編集『恋のゴンドラ』もあります。
こちらは殺人事件を扱う追跡サスペンスではなく、ゲレンデで交差する恋愛や人間関係を中心に描いた作品です。
『雪煙チェイス』原作のあらすじは?ネタバレなしで解説
主人公の脇坂竜実は、開明大学経済学部に通う4年生です。
アウトドアスポーツサークル「マウンテン・モンキーズ」に所属し、冬になると各地のスキー場でスノーボードを楽しんでいました。
ある日、竜実がアルバイトを通じて知り合った80歳の老人・福丸陣吉が、東京都三鷹市の自宅で殺害されます。
室内は荒らされ、現金もなくなっていたため、警察は強盗殺人事件として捜査を開始しました。
竜実は、腰を痛めた陣吉に代わり、愛犬ペロの散歩を担当していました。
福丸家へ日常的に出入りしていたことや、合鍵をめぐる事情、陣吉との間にトラブルがあったように見える状況が重なり、警察は竜実を重要参考人として疑います。
しかし、竜実は犯人ではありません。
事件が起きたと推定される時間、竜実は東京ではなく、新潟県の新月高原スキー場にいました。
問題は、一人でスキー場を訪れていたため、現地にいたことを証明してくれる知人がいないことでした。
唯一の証人になり得るのは、ゲレンデで偶然出会った女性スノーボーダーです。
女性は赤と白のウェアを着用し、黒いヘルメットにはピンク色の星形シールを貼っていました。
竜実は短い会話を交わしたものの、名前も住所も連絡先も聞いていません。
覚えているのは、長野県の里沢温泉スキー場を拠点に滑っているという情報だけでした。
氏名不詳の女性が本当に存在するのか確認できなければ、警察にアリバイを認めてもらうことはできません。
竜実は法学部に通う親友・波川省吾とともに、女性を捜すため里沢温泉スキー場へ向かいます。

一方、竜実を追うのが所轄署の刑事・小杉敦彦です。
小杉は、警視庁本部との主導権争いに巻き込まれ、上司から本庁より先に竜実を確保するよう命じられます。
小杉に求められたのは、事件の矛盾を一から調べることよりも、組織の面子を守るために重要参考人を押さえることでした。
こうして物語には、複数のタイムリミットが生まれます。
- 竜実は逮捕される前に女性を見つけなければならない
- 小杉は警視庁本部より先に竜実を確保しなければならない
- 捜査側は状況証拠が固まる前に事件現場の違和感を見抜かなければならない
竜実と波川が証人を捜し、小杉が竜実を追い、本庁の捜査員も別の経路から迫ってくる。
広大なゲレンデで登場人物の距離が近づいては離れる構成が、『雪煙チェイス』の緊張感を支えています。
『雪煙チェイス』原作の魅力は?雪山シリーズ3作を比較
『雪煙チェイス』最大の魅力は、犯人ではなく、無実を証明する人を捜すことが物語の中心になっている点です。
殺人事件の真相も重要ですが、序盤から読者を引っ張る問いは「誰が殺したのか」だけではありません。
竜実が警察に捕まる前に、赤と白のウェアを着た女性へたどり着けるのか。その捜索自体がサスペンスになっています。
雪山シリーズでは毎回「捜すもの」が違う
実業之日本社が公開した東野圭吾さんと元モーグル選手・上村愛子さんの対談では、雪山シリーズで「何かを捜す話」を描いてきたことが語られています。
『白銀ジャック』では爆弾、『疾風ロンド』では生物兵器、そして『雪煙チェイス』では人が捜索対象になりました。
作品 主な捜索対象 物語を動かす危機 雪山の役割
『白銀ジャック』 ゲレンデに仕掛けられた爆弾 スキー場への脅迫 閉ざされた事件現場
『疾風ロンド』 盗まれた生物兵器 拡散前の回収 危険物を隠す迷路
『雪煙チェイス』 アリバイを証明する女性 冤罪と逮捕 人を隠す巨大な空間
『白銀ジャック』と『疾風ロンド』では、雪山に存在する危険物を見つけることが事件解決へ直結します。
それに対して『雪煙チェイス』では、東京で発生した殺人事件の容疑を、遠く離れた雪山で晴らさなければなりません。
シリーズ第3作にして、雪山は事件が起きる場所から、都会で生まれた疑いを覆す場所へ変化したのです。
雪山が証人を隠す装置になる
都会で人を捜すなら、住所、勤務先、防犯カメラ、交通機関の記録など、さまざまな情報を利用できます。
しかし、ゲレンデでは厚いウェア、ヘルメット、ゴーグルによって顔や体格が隠れます。
多くの利用者が似た服装で移動し、リフトや複数のコースによって行動経路も分かれるため、同じスキー場にいても簡単には出会えません。
赤と白のウェアは有力な手掛かりに見えます。
ところが、似た色のウェアを着た人が現れるたびに確認が必要となり、竜実たちは限られた時間を失っていきます。
雪山は証人がいる場所であると同時に、証人の輪郭を消してしまう場所でもあるのです。
里沢温泉村のモデルは、長野県の野沢温泉村です。
東野圭吾さんは実業之日本社の公式対談で、広大なゲレンデ、雪質、町とスキー場が一体となった環境などを踏まえて舞台に選んだことを説明しています。
物語にはゲレンデだけでなく、旅館、飲食店、パトロール隊、地域住民のつながりも組み込まれています。
誰か一人に尋ねれば証人が見つかるのではなく、土地に暮らす人々の記憶や関係が少しずつつながる設計です。
波川の行動が友情を説明する
親友の波川省吾は、竜実が警察に疑われても距離を置かず、証人捜しに同行します。
竜実の逃走に協力すれば、自分も警察から事情を追及される可能性があります。それでも波川は、竜実が無実だと信じて雪山へ向かいました。
原作では、二人の友情を長い回想や感動的な台詞だけで説明していません。
不利な状況でも波川が隣に残るという行動によって、これまで築いてきた信頼を読者に伝えています。
僕の胸に残ったのは、波川が勇敢だから竜実を助けたのではなく、怖さを理解したうえで同行したことです。
信頼とは、不安がない状態ではありません。不安を抱えたまま、それでも相手の側へ一歩踏み出すことなのだと感じました。

小杉は単純な追跡者ではない
竜実を追う小杉も、分かりやすい悪役ではありません。
彼は刑事として職務を果たそうとする一方、所轄署と警視庁本部の競争や上司の命令に振り回されています。
物語の序盤で小杉に求められているのは、「竜実が本当に犯人なのか」を確かめることではなく、「本庁より先に身柄を押さえること」です。
しかし、捜査を進めるなかで、小杉は事件現場に残された小さな不自然さを無視できなくなります。
事実より先に容疑者像が作られ、その人物像に合う証拠だけが集められていく。
小杉の葛藤は、警察組織の問題を描くだけでなく、人が一度信じた答えを疑い直すことの難しさを映しています。
【ネタバレ】『雪煙チェイス』原作の犯人・動機・結末
ここからは、原作小説の犯人、犯行動機、証人の正体、結末を扱います。
以下の事件解明と証拠に関する説明は、原作本文で描かれた流れを基準に整理しています。2026年のドラマ版では、映像作品として一部の提示順や見せ方が再構成されています。
結論は次のとおりです。
- 真犯人は、福丸陣吉の囲碁仲間・岡倉貞夫
- 動機は、借金の申し込みを断られたことから起きた衝動的な犯行
- 証人の女性は、ゲレンデウェディングを控えた成宮葉月
- 竜実は撮影記録などによって雪山にいたことが裏付けられ、殺人容疑が晴れる
真犯人・岡倉貞夫の犯行動機
原作の真犯人である岡倉貞夫は、囲碁を通じて福丸陣吉と付き合いのあった老人です。
金銭的に困っていた岡倉は、陣吉に借金を申し込みますが、断られてしまいます。
さらに陣吉が岡倉の家族へ連絡しようとしたことで、岡倉は感情を爆発させました。
岡倉はその場にあった犬のリードを使って陣吉を殺害します。
最初から殺害や強盗を計画していたわけではなく、金銭問題をきっかけに起きた突発的な犯行でした。
犯行後、岡倉は現金を持ち去り、室内を荒らして、外部の人間による強盗殺人に見せかけます。
さらに、自分が持参した囲碁番組の録画DVDを回収するなど、福丸家を訪れた痕跡を隠そうとしました。
原作で小杉が見抜いた犯行現場の矛盾
原作では、岡倉の工作によって、福丸家へ出入りしていた竜実が疑われやすい状況が作られます。
しかし小杉は、仏壇周辺の状態や、陣吉が普段どのように囲碁番組の録画DVDを管理していたのかに注目しました。
また、陣吉が好んでいなかった囲碁の教本が置かれていることなど、被害者の日常を知っていれば生じにくい不自然さが残されていました。
これらは派手な暗号や密室トリックではありません。
小杉が見抜いたのは、被害者が送っていた日常と、犯人が作った事件現場とのずれです。
人の部屋には、本人だけが無意識に守っている順序があります。
何をどこに置くのか。どの番組を録画し、どの本を読むのか。外から来た人物が「普段どおりの部屋」を再現しようとしても、生活の細部までは偽装できません。

小杉は、先に作られた容疑者像へ証拠を合わせるのではなく、被害者の日常から事件を見直しました。
ここで彼は、竜実を確保するための追跡者から、真相を確かめる刑事へ戻っていきます。
女性スノーボーダーの正体と竜実のアリバイ
竜実が捜していた女性スノーボーダーの正体は、ゲレンデウェディングを控えていた成宮葉月です。
葉月は普段とは異なるウェアで滑っていたため、竜実が覚えていた外見と、里沢温泉で知られている人物像がすぐには結びつきませんでした。
原作では、葉月との接触だけで竜実の無実が決まるわけではありません。
竜実が撮影していた画像の日時を含む記録や、女性側の証言、小杉が東京で調べ直した事件の矛盾が重なり、事件の推定時刻に新月高原スキー場にいたことが裏付けられます。
つまり、竜実を救うのは一人の記憶だけではありません。
複数の事実が同じ方向を指したとき、最初に作られた容疑がようやく崩れていくのです。
犯人の正体が比較的シンプルでも成立する理由
『雪煙チェイス』の犯人や動機は、東野圭吾作品のなかでは比較的シンプルです。
複雑な密室トリックや、犯人と探偵による大規模な論理戦を期待すると、事件解決が短く感じられるかもしれません。
それでも物語が最後まで失速しないのは、読者が追う結末が一つではないからです。
竜実は逮捕される前に証人へ会えるのか。
小杉は組織の都合より、事件現場の事実を優先できるのか。
波川は最後まで親友を信じられるのか。
さらに根津や千晶をはじめ、雪山で暮らす人物たちも、それぞれの人生に関わる選択を迫られます。
犯人判明の驚きだけで終わらず、複数の人物が迷いから抜け出していくため、読後には雪煙が晴れるような開放感が残ります。
『雪煙チェイス』ドラマ版と原作の主な違い
原作と2026年のNHKドラマ版における最大の違いは、原作の男性刑事・白井が、ドラマでは若手女性刑事・白井琴音へ変更されたことです。
ドラマ版『雪煙チェイス』は、2026年1月2日と3日に、NHK総合とBSプレミアム4Kで前編・後編の2夜連続ドラマとして放送されました。
NHKの番組情報では、両日とも午後10時から11時13分までの放送です。
主な出演者は次のとおりです。
- 脇坂竜実:細田佳央太
- 小杉敦彦:ムロツヨシ
- 波川省吾:醍醐虎汰朗
- 白井琴音:恒松祐里
- 川端由希子:仲間由紀恵
脚本は森ハヤシさん、音楽は大間々昂さん、演出は一色隆司さんと船谷純矢さんが担当しました。

白井が男性刑事から若手女性刑事へ変更
原作で小杉と行動する白井は、ラグビー経験があり、体格の大きな男性刑事として描かれています。
一方、ドラマ版では恒松祐里さんが演じる若手女性刑事・白井琴音へ再構成されました。
この変更により、ドラマ版の小杉には、事件を追う刑事としての役割だけでなく、若手へ捜査姿勢を見せる先輩としての役割も加わっています。
原作では、小杉の迷いや疑念を地の文で細かく追うことができます。
しかし映像作品では、内面を文章のように直接説明できません。
そこでドラマ版は、白井琴音との会話や反応を通じて、小杉が組織の命令に従うのか、自分の目で事件を確かめるのかという葛藤を外側へ見せています。
犯行の証拠は原作とドラマで見せ方が異なる
原作では、囲碁番組の録画DVD、仏壇周辺の状態、囲碁の教本など、福丸陣吉の日常に関わる細部が事件解明の手掛かりになります。
それらを小杉が一つずつ拾い直すことで、犯人の工作と被害者の日常とのずれが明らかになります。
ドラマ版でも事件の基本構造や真相の軸は原作を踏まえていますが、限られた放送時間のなかで緊張感を維持するため、証拠の提示順や小杉が違和感へ到達する過程は映像向けに整理されています。
また、竜実のアリバイについても、原作では女性の証言と撮影記録、東京側の再捜査が重なって容疑が崩れます。
ドラマを見る際は、映像内で示された証拠と、原作本文で詳しく説明される論理の積み重ねを分けて捉えると、両方の特徴が分かりやすくなります。
原作は心理、ドラマは雪山の距離を味わいやすい
原作の強みは、竜実、波川、小杉、根津、千晶らが、何を恐れ、何を信じて行動したのかを文章で追える点です。
特に小杉が、上司の指示へ従うことと、刑事として事件を調べることの違いに気づいていく過程は、原作の方が細やかに描かれています。
一方、ドラマ版では、広大なゲレンデ、スノーボードの速度、リフトで離れていく人物同士の距離を視覚的に体感できます。
NHKの番組情報でも、「大学生対所轄の刑事対警視庁本部」という三者の追跡劇が作品の軸として打ち出されました。
ドラマを先に見た人が原作を読むと、映像では省略された判断の理由を補えます。
原作を先に読んだ人がドラマを見ると、頭のなかで想像していた雪山の広さや速度を、具体的な風景として味わえます。
『雪煙チェイス』を読んだ僕の考察
僕は『雪煙チェイス』を、犯人当ての複雑さよりも、一度完成した容疑者像を誰が疑い直せるのかを描いた作品だと感じました。
竜実を疑う材料は、一つだけを見れば不自然ではありません。
福丸家へ出入りしていたこと、合鍵に関わる事情があったこと、被害者との間に問題があったように見えたこと。
複数の状況が同じ方向に並ぶと、人はその先にある一つの答えを信じたくなります。
そして答えを信じた後は、矛盾する情報を「例外」や「偶然」として捨てやすくなるのです。
小杉の判断が変わるきっかけは、劇的な告白ではありません。
仏壇、録画DVD、囲碁の教本といった、事件全体から見れば小さく見える生活の痕跡でした。
原作では、被害者の日常と現場の状態が一致しないため、小杉は最初の見立てを疑い始めます。
事実が先にあり、その事実から読み取れる意味があり、最後に容疑者像が修正される。
この順番を取り戻したことに、小杉の刑事としての変化が表れています。
一方、波川の信頼は言葉ではなく、行動によって描かれます。
警察から逃げる竜実に同行することは、波川自身の立場を危うくします。それでも彼は、状況証拠よりも、日頃から知っている竜実の人柄を信じました。
小杉は現場の違和感を信じ、波川は友人との時間を信じる。
二人が信じたものは異なりますが、どちらも「多数が選んだ答え」に流されなかった点では共通しています。
僕自身、周囲の意見がきれいにそろっているほど、そこから外れた小さな声を見落としそうになることがあります。
しかし本作は、真実がいつも大きな声で現れるわけではないと教えてくれます。
真実はときに、棚に置かれた一冊の本や、誰かが何気なく撮った画像、危険を承知で隣に残った友人の行動に宿ります。
雪煙の向こう側は見えません。
それでも速度を落とし、自分の目で進む方向を確かめなければならない。小杉が捜査の進路を切り直す姿は、人生のステアリングを握り直す瞬間にも似ています。
『雪煙チェイス』で追われているのは、竜実だけではありません。
小杉もまた、組織の都合に流されそうな自分を追いかけ、刑事として見るべき場所へ戻ろうとしていました。
だからこの物語は、証人を見つけた瞬間だけでは終わりません。
誰かを信じた人、自分の間違いを認めた人、迷いながら将来を選んだ人。それぞれの心が新しい方向へ動き始めたとき、長い追跡劇はようやく着地するのです。
まとめ
『雪煙チェイス』原作は、東野圭吾さんの雪山シリーズ長編第3作です。
実業之日本社の商品ページに記載された旧版の発売日は2016年11月29日で、新装版は2023年10月6日に発売されています。
物語の主人公は、殺人容疑をかけられた大学生・脇坂竜実です。
竜実はアリバイを証明できる女性スノーボーダーを捜して里沢温泉スキー場へ向かい、所轄刑事の小杉敦彦や警視庁本部の捜査員がその後を追います。
真犯人は、被害者・福丸陣吉の囲碁仲間である岡倉貞夫です。
借金を断られたことから衝動的に陣吉を殺害し、室内を荒らして強盗事件に見せかけました。
本作の魅力は、複雑な犯人当てだけにあるのではありません。
雪山を人が隠れる巨大な空間として使った追跡構成、竜実を信じて同行する波川、組織の先入観から離れて事件を見直す小杉の変化にあります。
2026年のNHKドラマ版では、原作の男性刑事・白井が、恒松祐里さん演じる若手女性刑事・白井琴音へ変更されました。
原作では人物の内面と事件解明の細部を、ドラマ版では雪山の広さと追跡の速度を味わいやすくなっています。
雪煙が晴れたあと、読者の胸に残るのは犯人の名前だけではありません。
誰かを信じて動いた人と、一度決めた答えを疑い、自分の目で真実を確かめた人。その選択の跡が、白いゲレンデに残る一本の滑走線のように、静かな余韻を刻みます。
よくある質問
『雪煙チェイス』原作の発売日はいつですか?
実業之日本社の商品ページに記載された旧版の発売日は、2016年11月29日です。
旧版奥付の初版発行日は2016年12月5日で、新装版は2023年10月6日に発売されています。
『雪煙チェイス』はシリーズの何作目ですか?
『白銀ジャック』『疾風ロンド』に続く、雪山シリーズの長編第3作です。
事件は本作だけで完結するため、『雪煙チェイス』から読み始めても物語を理解できます。
『雪煙チェイス』原作の犯人は誰ですか?
真犯人は、被害者・福丸陣吉の囲碁仲間である岡倉貞夫です。
借金を断られたことで感情を爆発させ、陣吉を殺害した後、強盗殺人に見せかける工作を行いました。
執筆:岸本 湊人
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