『VIVANT』第3話は、薫の砂漠救出と国境突破、そして誤送金の仕組みと太田梨歩の疑惑が一気につながる転換回です。
乃木が入力した1,000万ドルは不正プログラムで1億ドルへ変更されていました。ただし、第3話終了時点で確認できるのは太田が原部長の端末を操作した事実までで、黒幕はまだ明らかになっていません。
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『VIVANT』第3話では何が起きた?
2023年7月30日に放送された『VIVANT』第3話では、バルカ共和国からの脱出劇が決着し、丸菱商事の誤送金事件が本格的な内部調査へ進みます。
TBS公式も第3話を「誤送金完結へ!絶体絶命の反撃開始」と題し、死の砂漠で消えた柚木薫と、140億円の誤送金を引き起こした人物が浮上する回として紹介しています。
前半の中心は、乃木憂助、警視庁公安部の野崎守、医師の柚木薫、野崎の協力者ドラムによるアド砂漠の横断です。
一行は日本大使・西岡英子の裏切りを知り、バルカ警察から逃れるため、現地の人々も近づかない「死の砂漠」へ入ります。
しかし、薫は移動中にラクダから落下し、広大な砂漠に取り残されてしまいました。
その事実に気づいた乃木は一人で引き返し、砂に埋もれていた薫を発見。野崎とドラムも約束の時間を過ぎて捜索へ戻り、二人を救出します。
一行は砂漠を抜けたあと、モンゴル国境でチンギス率いるバルカ警察と再び対峙しました。
そこでは銃撃戦ではなく、端末に表示される位置情報を利用した作戦によって追跡を振り切ります。
日本へ帰国した乃木は、丸菱商事から約140億円の誤送金について追及されます。
ところが、東条翔太によるサーバー解析で、乃木が入力した1,000万ドルの末尾へ自動的にゼロを加え、1億ドルに変更する不正プログラムが見つかりました。
さらに、改ざんに使われた可能性がある原智彦部長のパソコンを、財務部の太田梨歩が操作する姿も監視映像に残っていました。
第3話終了時点の情報を、先に整理しておきましょう。
確認された事実
- 乃木が入力した送金額は1,000万ドルだった
- 送金時に1億ドルへ変更するプログラムが仕込まれていた
- 不正操作に原部長の端末が使われた可能性がある
- 原部長の不在中、太田梨歩が端末を操作していた
疑いが強まった点
- 太田が誤送金の仕組みに関与した可能性
- 丸菱商事の内部に協力者や指示役がいる可能性
- 表面上の操作記録が意図的に改ざんされた可能性
第3話では未解決の点
- 太田が端末で何をしていたのか
- 太田が単独で動いたのか
- 誤送金事件を計画した人物は誰なのか
- 誤送金された資金とテロ組織がどう結びつくのか
第3話は、誤送金事件のすべてが解決した回ではありません。
乃木の単純な入力ミスではなかったと判明し、見えなかった犯行の入口がようやく姿を現した回なのです。
薫はなぜ砂漠で消え、乃木はどう救出した?
薫は過酷な砂漠移動で意識を失い、ラクダから落下したため、一行から取り残されました。
乃木たちはバルカ警察の追跡を避けるため、昼夜を問わずラクダを進めていました。
やがて乃木は、薫を乗せていたラクダの背中に誰もいないことに気づきます。
最後に薫の姿を確認してから、すでに約4時間が経過していました。
広い砂漠で落下地点を特定するのは困難です。風が吹けば足跡は消え、引き返す側も水と体力を失います。
野崎は全員の生存を優先し、捜索の危険性を乃木へ伝えました。
それでも乃木は、薫を見捨てることができません。
野崎が与えた猶予は8時間。時間内に戻らなければ、一行は国境へ向かうという条件でした。
乃木の前には、もう一人の人格である「F」が現れます。
Fは薫の生存が確認できないことや、乃木には別の目的があることを挙げ、捜索を断念するよう迫りました。
それは感情を排した、極めて合理的な判断です。
しかし、乃木はラクダとともに来た道を戻ります。
やがてラクダが周囲の異変に反応し、乃木は砂に埋もれた薫を発見しました。
薫にはまだ息がありました。
乃木は水を飲ませ、薫をラクダに乗せて合流地点へ戻ろうとします。

ところが、長時間歩き続けたラクダも限界を迎えました。
ラクダが座り込むと、乃木は自分たちに残された水を与えます。それでもすぐには動けず、乃木は薫を背負って歩き始めました。
足を踏み出すたび、靴が深く砂へ沈みます。
進んだ距離より、奪われた体力の方が大きい。そんな過酷な状況のなか、乃木もついに力尽きました。
約束の8時間は過ぎていました。
それでも野崎とドラムは、国境へ向かわず二人を捜しに戻ります。
野崎は警視庁公安部の捜査官であり、バルカでは外交官として活動していました。
冷静に危険を計算する立場の野崎が戻ったことは、彼が単純な損得だけで人を切り捨てる人物ではないと示しています。
動けなくなっていたラクダたちも、休息したあと乃木たちのもとへ戻ってきました。
乃木、薫、野崎、ドラム、そしてラクダ。誰か一人の力ではなく、途中で結ばれた関係が全員を生還へ導いたのです。
僕の胸に残ったのは、乃木がラクダを便利な乗り物としてだけ扱わなかったことでした。
自分たちの命を左右する水を分け、別れの場面では薫も感謝を伝えます。言葉を持たないラクダが、人間同士の信頼をつなぐ仲間として描かれていました。
乃木が薫を救った理由は、恋愛感情だけでは説明しきれないように感じます。
第3話までに示された乃木の幼少期には、両親と引き離され、助けを求めても救いが届かなかった記憶があります。
砂漠に一人残された薫の姿に、過去の自分を重ねた可能性もあるでしょう。
もちろん、これは劇中で明言された答えではありません。
ただ僕には、乃木が薫へ差し出した手は、かつて誰にも届かなかった自分自身へ差し出した手にも見えました。
モンゴル国境でチンギスを撤退させた方法とは?
乃木たちは、モンゴル側との連携と、端末上に表示される位置情報を利用した作戦でチンギスたちを撤退させました。
死の砂漠を抜けた一行は、モンゴル国境を目指します。
しかし、バルカ人も近づかない砂漠を外国人が横断しているという情報が広まり、移動方向を読んだチンギスが先回りしていました。
公安捜査官で外交官として活動する野崎とは異なり、乃木、薫、ドラムはバルカ警察に拘束されます。
何度も死を覚悟してたどり着いた国境は、出口ではなく最後の壁になりました。
そこへモンゴルの国境警備隊が現れます。
モンゴル側は、チンギスたちが自国領へ侵入していると指摘し、直ちに撤退するよう要求しました。
チンギスは自分の端末を確認し、バルカ領内にいると反論します。
ところが、画面上ではバルカ警察の部隊がモンゴル側へ入っているように表示されていました。
作中では、新庄浩太郎たちの作戦によって、端末上の位置表示が約500メートルずらされたと説明されています。
現実の国境線や人工衛星そのものを動かしたのではありません。
国境付近にいる人物が参照する位置情報を誤認させ、他国との衝突を避けたいチンギスへ撤退を選ばせたのです。

この場面で勝敗を決めたのは、武器の数ではありませんでした。
チンギスは人数でも装備でも優位でしたが、行動の根拠にしていた画面の表示を信用できなくなり、力を使えなくなります。
ここで描かれた構造は、後半の誤送金事件とも重なります。
国境では、自分が立っている場所を示す表示が操作されました。
丸菱商事では、乃木が入力した金額と操作記録が書き換えられます。
画面上に数字や線が表示されると、僕たちはそれを感情の入り込まない客観的な事実だと思いがちです。
しかし、その情報を作る仕組みに誰かが手を入れれば、偽りの表示が人間の判断を支配します。
チンギスの撤退は、乃木たちの脱出を意味しました。
同時にそれは、第3話後半で始まる「情報を信じてよいのか」という物語の予告にもなっていたのです。
帰国後、乃木の誤送金疑惑はどう覆された?
東条が送金システムを解析し、1,000万ドルを1億ドルへ自動変更する不正プログラムを発見したことで、乃木の入力ミスではないと裏づけられました。
日本へ帰国した乃木を、丸菱商事の業務監査部が成田空港で待ち構えていました。
証拠隠滅を防ぐという理由から、乃木は帰国直後に会社へ連れていかれます。
乃木は1,000万ドルを入力したと説明しますが、システムには1億ドルを申請した記録が残っていました。
バルカで爆破事件に巻き込まれ、警察に追われ、死の砂漠を越えたことは、社内調査における無実の証拠にはなりません。
丸菱商事から見れば、乃木は約140億円の損害を発生させた担当者でした。
長野利彦専務は、会社に残るためには送金した金を取り戻すか、真犯人を見つけるしかないと告げます。
その一方で長野は、乃木がバルカで接触したザイールやアマン建設について詳しく尋ねました。
Fもその質問に違和感を示します。
ただし、第3話の段階では、長野が誤送金へ関与したことを示す証拠はありません。
怪しく見える反応と、犯行を証明する事実は分けて考える必要があります。
乃木の主張を確かめるため、野崎は警視庁の東条翔太へ協力を求めました。
東条は丸菱商事のシステム構築にも関わったホワイトハッカーです。
東条は、通常の操作履歴だけではなく、別のサーバーへ複製されたデータを調べれば、改ざん前の情報へたどり着ける可能性があると考えます。
必要なデータは、丸菱商事の厳重なデータセンターにありました。
正式な手続きを待てば時間がかかり、その間に証拠を消される恐れもあります。
そこで野崎たちは、乃木本人をデータセンターへ入れる作戦を立てました。
乃木が協力を求めたのは、同期の山本巧です。
山本は以前、情報システム部に所属しており、データセンター内部の構造や警備事情を知っていました。
協力が発覚すれば、山本自身も会社での立場を失いかねません。
それでも山本は、仕事を離れて付き合える同期は乃木くらいだと語り、危険な作戦へ加わります。
山本が警備員の注意を引く間に、乃木は特別サーバールームへ侵入しました。
東条は監視カメラの映像を差し替え、警備室から乃木の姿が見えないようにします。
しかし、事前に把握できていなかった人感センサーが反応しました。
警備員が迫るなか、乃木は床下へ身を隠します。

この場面で乃木が見せた判断力は、気弱な商社マンという表向きの姿から大きく離れていました。
わずかな時間で隠れ場所を見つけ、呼吸と物音を抑え、警備員が去るまで耐える姿には、危機への異常なほどの慣れが感じられます。
外国語能力、別人格F、爆発や追跡への対応力。
第3話は誤送金事件を進めながら、乃木自身もまた、表面の記録だけでは判断できない人物だと示していました。
太田梨歩は誤送金の犯人と確定した?
第3話終了時点では、太田梨歩が事件全体の黒幕と確定したわけではありません。
乃木が持ち帰ったデータを東条が解析すると、GFL社への送金処理で入力金額の末尾へゼロを一つ加えるプログラムが見つかります。
これにより、乃木が入力した1,000万ドルは送信時に1億ドルへ変更されていたと分かりました。
不正プログラムの操作には、原智彦部長のパソコンが使われた可能性が浮上します。
しかし、問題の時期、原部長は福岡へ出張していました。
原部長自身が遠隔操作した可能性も残るものの、パソコンに詳しい人物ではないことから、乃木たちは社内の監視カメラ映像を確認します。
そこに映っていたのが、財務部の太田梨歩でした。
原部長が不在の時間帯に、太田が原部長の席へ近づき、パソコンを操作していたのです。

この映像から確認できるのは、太田が原部長のパソコンに触れて操作したという事実です。
その場で不正プログラムを仕込んだのか、別の作業をしていたのかまでは映像だけでは判断できません。
高度なプログラムを太田が一人で作成したのかも不明です。
誰かから指示を受けていた可能性や、本人が意図を知らないまま利用された可能性も、この段階では排除できません。
TBS公式の第3話紹介では、誤送金を引き起こした人物が正体を現すと予告されていました。
ドラマ上、太田が重要人物として示されたことは間違いありません。
ただ、証拠を第3話の範囲に限定するなら、「太田が黒幕だ」と言い切るよりも、「誤送金への関与を強く疑われる人物として浮上した」と整理する方が正確です。
この慎重さは『VIVANT』を見るうえで重要だと僕は思います。
本作では、怪しい表情や意味深な行動が、そのまま人物の正体を証明するとは限りません。
乃木自身も、会社の記録だけを見れば1億ドルを誤送金した人物でした。
しかし、システムの奥を調べると、記録の方が偽りだったと分かります。
太田についても、監視映像という一つの断片だけで、事件の全貌を決めつけることはできないのです。
『VIVANT』第3話の考察|三つの場面が示した物語の転換
僕は『VIVANT』第3話の重要性を、「情報の改ざん」「乃木の救済行動」「組織内サスペンスへの転換」という三つの視点から捉えています。
情報が書き換われば、正しい判断も誤る
国境でチンギスが判断材料にしたのは、端末に表示された位置情報でした。
丸菱商事が乃木を疑った根拠も、システムに残された送金額と操作履歴です。
どちらの判断も、与えられた情報を前提にすれば不自然ではありません。
問題は、判断する人間ではなく、その前提となる情報が誰かによって操作されていたことでした。
砂漠では風が人間の足跡を消します。
デジタル空間では、プログラムが数字と履歴を書き換えます。
第3話は、目に見える痕跡ほど正しいとは限らないという怖さを、砂漠、国境、企業システムという異なる場所で繰り返しました。
ただし、同じ主題を扱いながら、解決方法は機械だけに頼っていません。
薫を見つけたきっかけはラクダの反応でした。
乃木の証言を信じ、表面のログより奥を調べたのは東条です。
山本も、自分の立場を危険にさらして乃木へ協力しました。
改ざんされた情報の迷路を抜ける最後の手がかりは、人と人の間に残った信頼だったのです。
薫の救出は乃木自身の救済にも見える
乃木が薫を捜す決断は、合理性だけで考えれば危険でした。
薫の落下地点は分からず、水も時間も限られています。捜索によって乃木まで命を落とせば、一行全体の脱出にも影響します。
Fが反対したのは当然です。
それでも乃木は、自分だけ安全な方向へ進むことを選びませんでした。
幼い頃の乃木は、両親と離れ離れになり、助けを求めながら孤独の中へ取り残されています。
その過去と薫の姿を直接結びつける説明は、第3話にはありません。
それでも僕には、誰にも発見されない砂漠で横たわる薫が、かつて救いを待っていた乃木自身と重なって見えました。
薫を助けることは、過去の自分と同じように誰かを置き去りにしないという選択だったのではないでしょうか。
ステアリングを切る角度は、人生の選択に似ています。
わずかな違いでも、進んだ先では大きな距離になります。
乃木が砂漠で引き返した一歩は、彼がどのような人間なのかを示す、物語上の大きな方向転換でした。
海外逃亡劇から組織内諜報劇へ変わった
第1話と第2話では、乃木たちを追う敵が目に見えていました。
チンギス率いる警察が迫り、銃を持った人物が進路をふさぎます。誰から逃げるべきなのかは明確です。
日本へ戻ると、敵は組織の中へ姿を隠しました。
同僚、同期、上司、部下。誰もが普通の社員として同じ建物で働いています。
太田は原部長のパソコンを操作していましたが、その理由は分かりません。
長野はザイールやアマン建設について質問しましたが、犯行との関係は確認されていません。
山本は乃木へ協力しましたが、『VIVANT』という作品では、友情さえ無条件に安全だとは言い切れません。
砂漠には人が隠れられる場所がほとんどありません。
一方、組織の中には肩書、命令、友情、善意という無数の隠れ場所があります。
僕は、乃木たちが第3話で越えた最大の境界線は、バルカとモンゴルの国境だけではなかったと考えています。
それは、目に見える追跡者から逃げる冒険劇と、味方の顔をした人物を疑う諜報サスペンスとの境界線です。
砂漠を抜けたから安全になったのではありません。
敵の姿が見えなくなった分だけ、物語はさらに深い場所へ入ったのです。
まとめ|『VIVANT』第3話は乃木の反撃が始まる回
『VIVANT』第3話の要点は、次の5つです。
- 薫は砂漠でラクダから落ちたが、乃木に発見され生還した
- 野崎とドラムも約束の時間を過ぎて捜索へ戻った
- 国境では、作中の位置情報表示を利用した作戦でチンギスを撤退させた
- 乃木の1,000万ドルは、不正プログラムで1億ドルへ変更されていた
- 太田梨歩が原部長の端末を操作していたが、黒幕かどうかは未確定だった
追われ続けてきた乃木は、帰国後に初めて誤送金の仕組みへ反撃します。
表面上の記録では犯人だった人物が、記録の奥を調べることで被害者だったと証明される。その逆転が、第3話後半の大きな見どころでした。
一方で、太田の監視映像は事件の終着点ではありません。
誰がプログラムを作り、なぜ丸菱商事から巨額の資金を送らせたのかという本当の謎は残されています。
砂漠では、風が足跡を消しました。
会社では、プログラムが金額と記録を書き換えました。
それでも、消された痕跡の向こう側には、必ず誰かの意思があります。
乃木がその意思へ初めて手を伸ばした第3話。
画面が暗転したあとも、僕の胸には一つの問いが残りました。
太田梨歩は事件を動かした人物なのか。それとも、さらに大きな存在によって動かされた人物なのか。
砂漠の出口に立った瞬間、乃木の本当の戦いが静かに始まったのです。
よくある質問
『VIVANT』第3話で柚木薫は死亡した?
薫は死亡していません。
砂漠でラクダから落ちて取り残されましたが、乃木に発見され、野崎やドラムにも救助されて生還しました。
太田梨歩は第3話で犯人と確定した?
事件全体の黒幕とは確定していません。
原部長の不在中にパソコンを操作する姿は確認されましたが、何を操作したのか、誰かの指示があったのかは第3話では未解決です。
乃木が入力した送金額はいくら?
乃木が入力した金額は1,000万ドルです。
不正プログラムによって末尾へゼロが一つ加えられ、1億ドル、当時の換算で約140億円が送金されました。
執筆:岸本 湊人
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