ドラマ『ラストノート』の脚本家は的場友見さん。全11話を一人で担当し、完全オリジナルの大人の純愛を描いています。
2026年7月9日にフジテレビ系「木曜劇場」で始まった本作は、内田有紀さんと寺西拓人さんがダブル主演。9月6日時点で第9話まで放送され、放送前の設定だけでは見えなかった「的場友見脚本らしさ」も、物語の中にはっきり表れてきました。
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『ラストノート』の脚本家は誰?的場友見が全11話を担当
『ラストノート』の脚本を担当しているのは、的場友見(まとば・ともみ)さんです。
フジテレビ公式のキャスト・スタッフ情報には脚本として的場友見さんの名前が掲載され、的場さん自身の公式サイトでも『ラストノート』について「全11話を担当」と明記されています。
つまり、複数の脚本家が話数ごとに交代する作品ではありません。
物語の始まりから最終局面まで、葵と澄晴、そして二人を取り巻く人物たちの感情の流れを、一人の脚本家が通して設計していることになります。
これは『ラストノート』を見るうえで、かなり重要なポイントだと僕は思います。
本作の主人公は、香料会社で働く49歳の一瀬葵と、30歳の樋口澄晴。葵を内田有紀さん、澄晴を寺西拓人さんが演じています。
単純に年齢を引けば二人は19歳差ですが、公式プロモーションでは約20歳の年齢差を持つ男女の恋として紹介されています。
葵は結婚、離婚、仕事での挫折などを経験し、「これ以上の変化はいらない」と現状維持を選んできた女性。
一方の澄晴は、育った家庭環境などによってかつての夢を手放し、本心にフタをして生きています。
変わりたくない人と、変われないと思い込んでいる人。
ここに恋愛を置くのが、『ラストノート』の面白いところです。
しかも第1話から、二人は美しい偶然だけで出会うわけではありません。
フジテレビが「最悪の出会い」と表現したように、澄晴には葵へ近づく別の目的があり、葵にも澄晴を探る理由がある。恋愛ドラマでありながら、最初から「相手の言葉をどこまで信じていいのか」という緊張が埋め込まれていました。
僕は、この最初から主人公を完全な善人として置かない設計こそ、的場友見さんを知る手掛かりだと感じています。

的場友見とは?経歴と代表作から脚本家の特徴を整理
的場友見さんは1981年北海道生まれ、早稲田大学卒業。
大学卒業後はアパレル業界に入り、その後、広告代理店、出版社での仕事を経験して独立しました。最初からテレビ業界一筋だった脚本家ではないことが分かります。
転機となったのは2020年。
『サロガシー』で第32回フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞を受賞し、脚本家としてデビューしました。フジテレビの歴代受賞作品にも、大賞作品として的場友見さんの『サロガシー』が掲載されています。
『サロガシー』は2021年3月24日にフジテレビでドラマ化されました。
主人公は建築士として働く江島環。彼女が同性愛者である兄とそのパートナーのため、代理母出産を決意することから物語が始まります。
代理出産だけを扱った作品ではありません。
家族観、同性カップル、職場に残るジェンダー観、親子関係、そして「自分の人生を誰が決めるのか」という複数の問題を、一人の主人公の選択に重ねています。
的場さんの公式プロフィールには、現代社会の幅広いテーマを扱い、「共感と違和感が共存する」複雑なキャラクター造形を得意とするとあります。
この自己紹介は、『ラストノート』まで見てくるとかなり腑に落ちます。
正しいようで、どこか身勝手。
間違っているようで、その背景を知ると完全には責められない。
的場作品では、視聴者が人物に下した評価を、後から入ってくる事情によって揺さぶられることが少なくありません。
的場友見の代表作一覧
主な作品を時系列で整理すると、作家性の変化も見えやすくなります。
作品 年 脚本担当・特徴
『サロガシー』 2021年 第32回フジテレビヤングシナリオ大賞受賞作
『復讐の未亡人』 2022年 阿久津朋子さんと脚本を担当
『やんごとなき一族』 2022年 フジテレビ系連続ドラマの脚本陣に参加
『グランマの憂鬱』 2023年 脚本陣の一人として参加
『私の町の千葉くんは。』 2024年 全12話を担当
『情事と事情』 2024年 全8話を担当
『夫よ、死んでくれないか』 2025年 全12話を担当
『ラストノート』 2026年 完全オリジナル・全11話を担当
近年は『私の町の千葉くんは。』全12話、『情事と事情』全8話、『夫よ、死んでくれないか』全12話と、一作品を通して担当する仕事が続いています。
『復讐の未亡人』では、黒澤Rさんの漫画を原作に、松本若菜さん演じる鈴木密が、夫を死に追い込んだ職場の人間たちへ復讐していく物語を描きました。脚本は的場友見さんと阿久津朋子さんです。
一方、2025年の『夫よ、死んでくれないか』では、安達祐実さん、相武紗季さん、磯山さやかさんが演じる大学時代からの友人3人を軸に、結婚生活の中で蓄積した不満や依存、愛情の変質が描かれました。
そして『ラストノート』では、結婚後の感情ではなく、人生経験を重ねた人間が「もう一度誰かを好きになる」側へ進んでいます。
ジャンルは違っても共通しているのは、人間関係をきれいな一色で塗らないことでしょう。
僕には、的場友見さんは「恋愛を書く脚本家」というより、「人と人が近づくほど見えてしまう醜さや弱さまで書く脚本家」に見えます。

放送済み『ラストノート』に的場友見らしさはどう表れている?
2026年9月6日時点では、『ラストノート』は第9話まで放送されています。
ここまで見ると、「過去作から的場友見さんらしい脚本が期待できる」という段階ではありません。実際の物語の中で、その特徴がかなり具体的に表れています。
第1~2話は「悪い人」と決めつけた瞬間に背景を見せる
第1話で大きかったのは、澄晴が爽やかな年下男性として登場するだけではなく、女性へ近づく行動の裏側に別の目的を持っていたことです。
放送前の「大人の純愛」という印象を意図的に裏切るスタートとなり、フジテレビによれば第1話の見逃し配信は放送後1週間で272万再生を突破。TVerとFODの合計で、木曜劇場初回として歴代5位の記録となりました。放送後には「ラストノート」がXのトレンド1位になったと発表されています。
しかし第2話になると、澄晴と父・眞澄の関係や、澄晴が金を必要としている背景が見えてきます。
父から理不尽な要求を受けても強く反発できず、財布の金を渡してしまう澄晴。第1話だけなら「女性を騙す男」と見えた人物に、別の角度から光が当たり始めます。
ここで僕が注目したいのは、澄晴を「実はいい人でした」と単純に反転させていない点です。
やったことは消えない。
でも、やった理由は後から見えてくる。
行為への評価と、人間そのものへの評価を分けて考えさせる。
これは『サロガシー』以来の「簡単に一つの正解を出さない人物造形」と重なります。
葵もまた「正しい主人公」ではない
同じことは葵にも言えます。
第3話では、葵が澄晴から受け取った金について、澄晴からのものだと偽って親友・優子へ渡していた事実が物語を動かします。優しさから出た行為でも、嘘を重ねれば別の人間の感情を狂わせるきっかけになります。
葵は基本的には思いやりのある人物です。
だからこそ、「善意でやったのだから問題ない」と脚本が処理しないところが面白い。
人は悪意だけで誰かを傷つけるわけではありません。
むしろ、自分では優しさだと思っていた行動が、相手の尊厳を傷つけることもある。
的場友見さんの人物造形は、そこまで踏み込みます。
ピオニーと13年前の記憶が恋愛と人生再生をつないだ
第5話では、10年以上前から花の香りが分からなくなっていた葵が、澄晴と一緒にいる時だけ香りを感じることを打ち明けます。
そして第6話以降、駅のコンコースにあるピオニーの絵と、13年前の二人の記憶がつながっていきます。澄晴がかつて絵を描いていたこと、葵にとっても花と香りが失われた夢と結び付いていることが、恋愛の進展と同時に明かされました。
ここで香水や花は、単なるおしゃれな小道具ではなくなります。
葵にとって「香りが戻ること」は、澄晴を好きになることだけを意味しません。
かつて調香師として生きていた自分、夢を持っていた自分まで取り戻していくことにつながっている。
澄晴にとって絵も同じです。
恋によって救われるのではなく、相手との出会いによって、自分で捨てていた人生を拾い直す。
僕はここに、『ラストノート』が普通の年の差恋愛ドラマとは少し違う理由があると思います。

第9話では「年齢差」より親子の価値観が核心になった
9月3日放送の第9話では、物語がもう一段深い場所へ進みました。
澄晴の父・眞澄はホスピスに入院。葵は眞澄から、年上である自分と澄晴の将来について親としての考えを突きつけられ、澄晴のためを思って別れを選びます。
ところが澄晴が求めている幸せは、父が想像する「一般的に安心できる将来」と同じではありません。
第9話では、長くこじれていた眞澄と澄晴の親子関係も大きく動きました。FOD公式メディアのレビューでも、父と息子の和解がこの回の重要な軸として整理されています。
ここで僕が面白いと感じたのは、「19歳差の恋は成立するのか」という問いが、「人の幸せを他人が決めてよいのか」という問いに変わっていることです。
最初は恋愛ドラマだったものが、親子、友情、人生の選択へ少しずつ広がっていく。
これは『サロガシー』で描いた「誰がその人の人生を決めるのか」というテーマとも、遠くで響き合っているように見えます。
『ラストノート』の完全オリジナル脚本はなぜ相性がいい?
『ラストノート』には原作漫画や小説がありません。
フジテレビは本作を完全オリジナル脚本による大人の純愛ドラマと説明しています。
これは、的場友見さんの脚本を味わううえで大きな強みです。
原作付きドラマなら、「最終的に誰と結ばれるのか」「原作ではどうなるのか」を調べられる場合があります。
しかし『ラストノート』には、その答えを先に置いている原作がない。
だから第1話で澄晴をどう見せるか、第2話で何を明かすか、第6話で13年前をどうつなぐか、第9話で何を壊すか、その順序自体が脚本の武器になります。
僕がここまでの9話を通して感じた的場脚本の特徴を一言で表すなら、「人物の印象を、情報の出す順番で何度も書き換える脚本」です。
澄晴は最初、警戒したくなる人物でした。
眞澄も長く、息子を苦しめる父親として映ります。
優子も、最初から単純な悪役として登場したわけではありません。
莉奈もまた、恋の邪魔をするだけの存在ではなく、自分の生活と夢を抱えています。
物語が進むたび、「この人はこういう人」と決めたはずのラベルが剥がれていく。
的場さん自身が得意と語る「共感と違和感が共存する人物造形」が、『ラストノート』では連続ドラマならではの時間を使って実践されていると僕は考えています。
三竿玲子プロデューサーとの組み合わせも重要
プロデュースを担当しているのは三竿玲子さん。
フジテレビの公式スタッフ情報では、『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』『あなたがしてくれなくても』『わたしの宝物』『BOSS』シリーズなどが代表作として紹介されています。
大人の男女、結婚、欲望、社会的には口にしにくい感情。
そうした題材を扱ってきたプロデューサーと、矛盾した人物を描く的場友見さんが組む。
『ラストノート』が年齢差だけを刺激的に見せるのではなく、「なぜこの人はこう考えるのか」まで周囲の人物へ視点を広げているのは、この組み合わせとも無関係ではないでしょう。
実際、視聴者の反応も恋愛だけに集中していません。
フジテレビが公開している番組メッセージには、葵と澄晴への応援だけでなく、澄晴の過去、優子の複雑さ、親子関係、登場人物それぞれの葛藤に注目する声が寄せられています。
またフジテレビは8月12日、第1話からの見逃し配信累計が1000万再生を突破したと発表。
第1話272万、第2話212万、第3話192万、第4話200万と、放送後1週間の配信が毎週200万前後で推移していました。
単に主演二人への注目だけではなく、「次に誰が何を明かすのか」を見届けたくなる脚本構造が、継続視聴の一因になっているのではないかと僕は見ています。

『ラストノート』脚本を考察|最後に問われるのは「年の差」ではない
ここからは、9月6日時点までの放送を踏まえた僕自身の考察です。
『ラストノート』は当初、「49歳と30歳の年の差恋愛」という分かりやすい入口を持っていました。
ところが第9話まで来ると、年齢差そのものが最大のテーマとは思えなくなっています。
むしろ何度も描かれているのは、「あなたのため」という言葉で、他人の人生を決めてしまう危うさです。
父は息子の将来を心配する。
親友は親友を心配する。
元恋人は好きな人の未来を心配する。
葵自身も、澄晴の未来を思うからこそ、自分から身を引こうとする。
どの人物にも、その人なりの理由があります。
だから厄介なのです。
悪意だけなら、拒絶すれば終わります。
しかし「あなたを思って」という善意が混じった瞬間、人は簡単には切り捨てられません。
僕は、この構造こそ的場友見さんがこれまで扱ってきた作品との共通項だと考えています。
『サロガシー』もまた、家族、出産、生き方について周囲が「普通はこうだ」と決めることへの問いを含んだ作品でした。
『夫よ、死んでくれないか』では、結婚という形の内側にあっても、一人ひとりの本心は同じではありません。
そして『ラストノート』では、「年齢的にこう生きるべき」「若い相手の未来を考えるなら身を引くべき」という、もっと日常に入り込みやすい価値観が壁になります。
だから僕は、最終的な焦点は「葵と澄晴が結婚するか」だけではないと思っています。
二人が、他人から与えられた正解ではなく、自分たちで選んだ人生を引き受けられるか。
そこが最終盤の核心ではないでしょうか。
タイトル「ラストノート」の意味も変わってきた
香水のラストノートとは、時間がたった後に残る最後の香りです。
フジテレビも、トップノート、ミドルノートを経た後に肌と溶け合って残る香りと、大人の恋の余韻を重ねて作品を紹介しています。
序盤では、この言葉は葵と澄晴の恋愛を表す美しい比喩に見えました。
でも第9話まで見た今、僕には少し違って見えます。
人と出会った後に残るものは、恋人という「関係」だけではありません。
澄晴には絵が戻ってきた。
葵には花の香りと、かつての仕事への思いが戻り始めた。
莉奈や優子、眞澄も、二人との関係を通して自分自身の感情と向き合わざるを得なくなった。
つまり、このドラマのラストノートとは、恋が終わるか続くかではなく、誰かと出会ったことで人生に何が残ったのかなのかもしれません。
この解釈なら、タイトルと的場友見さんの人物描写が一本につながります。

9月10日放送予定の第10話では、眞澄を見送った澄晴が再び絵と向き合う一方、葵は周囲との連絡を断ち、一人で過ごしていることが公式あらすじで明かされています。
ここから先、二人がもう一度向き合うのか。
それとも別々の道を選びながら、それぞれに残ったものを抱えて生きていくのか。
9月6日時点では、まだ結論は出ていません。
だからこそ完全オリジナル作品であることが効いてきます。
誰も原作の最終ページを開いて、先に答えを確認することはできない。
僕は最終局面で注目したいのは、「年齢差を乗り越えました」という分かりやすい着地より、葵と澄晴が自分の幸せを自分で決めるところまで行けるかです。
人生のステアリングを他人に預けたままでは、どれだけ好きな人と出会っても、自分の道にはならない。
『ラストノート』が描いてきたのは、恋に落ちる物語であると同時に、止まっていた二人がもう一度、自分の人生を運転し始める物語なのだと思います。
まとめ|『ラストノート』脚本家・的場友見の魅力は人物を一色にしないこと
ドラマ『ラストノート』の脚本家は的場友見さんです。
1981年北海道生まれ、早稲田大学卒業。アパレル、広告代理店、出版社での経験を経て、2020年に『サロガシー』で第32回フジテレビヤングシナリオ大賞を受賞し、脚本家としてデビューしました。
その後は『復讐の未亡人』『やんごとなき一族』『私の町の千葉くんは。』『情事と事情』『夫よ、死んでくれないか』などを担当。
『ラストノート』では全11話を一人で手掛けています。
そして9月6日時点で放送済みの第9話までを見ると、的場友見さんの強みはかなり明確です。
人物を最初の印象だけで固定しない。
問題行動を美化しない一方、その人がそこへ至った理由も描く。
視聴者に「この人は嫌い」と思わせた後で、「でも、この人にも人生がある」と考え直させる。
それが、的場さん自身が掲げる「共感と違和感が共存する人物造形」なのだと僕は感じます。
『ラストノート』は年の差恋愛のドラマです。
けれど、その奥にあるのはもっと普遍的な問いでしょう。
誰かが決めた正しい人生を生きるのか。
それとも、自分の心が選んだ人生を引き受けるのか。
香水は、最初の香りより最後に残った香りで、その人の記憶と結び付くことがあります。
ドラマもきっと同じです。
最終回を見届けた後、葵と澄晴が「結ばれたか」以上に何が胸へ残るのか。
その残り香まで計算されていたと分かったとき、僕たちは改めて、的場友見という脚本家の名前を思い出すのではないでしょうか。
よくある質問
ドラマ『ラストノート』の脚本家は誰ですか?
脚本家は的場友見さんです。フジテレビ公式のスタッフ情報に名前が掲載され、的場さんの公式サイトでは全11話を担当すると明記されています。
的場友見さんの代表作は何ですか?
代表作には『サロガシー』『復讐の未亡人』『やんごとなき一族』『私の町の千葉くんは。』『情事と事情』『夫よ、死んでくれないか』などがあります。『サロガシー』は第32回フジテレビヤングシナリオ大賞の大賞受賞作です。
『ラストノート』に原作はありますか?
原作漫画や小説はありません。的場友見さんが脚本を手掛ける完全オリジナルストーリーで、49歳の一瀬葵と30歳の樋口澄晴を中心に、大人の純愛とそれぞれの人生の再出発が描かれています。
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