『VIVANT』AIハヤトの声は、高山みなみが担当しており、TBS公式も「声の出演」と明記しています。
一方、第2シーズンの映像には生成AIが実際に使われています。しかもAIハヤトが登場する第11話の一部映像にも生成AIが使われているため、「声までAIなのでは?」と混同しやすい状況が生まれました。
VIVANTの声はAI?結論は「AIの役を高山みなみが演じている」
結論から整理すると、スーパーコンピューター「AIハヤト」の声を担当しているのは声優・高山みなみです。
2026年9月17日時点のTBS公式「登場人物」ページには、「AIハヤト 高山みなみ(声の出演)」と明記されています。キャスト・スタッフ欄にも、高山みなみと林原めぐみが「声の出演」として掲載されています。
したがって、「人間の声優を起用せず、生成AIが文章を自動で読み上げてAIハヤトを演じている」という理解は、公開されている公式情報とは一致しません。
高山みなみ自身もAIハヤトを演じた際の収録について語っており、冷静さやプライド、少しの茶目っ気を意識しながら、感情の加減を監督と相談したと説明しています。
さらに、情報量の多いセリフを伝えるため、聞き取りやすさや、一連の説明の中で何を重要に聞かせるかを考えて話したことも明かされています。
ここは「VIVANT 声優 AI」と検索した人が、最初に押さえておきたいポイントでしょう。
ただし、信頼性のためにもう一段だけ慎重に書いておきます。
TBSが公式に確認しているのは、高山みなみがAIハヤトの「声の出演」を担当し、本人が収録と演技について説明していることです。
公開情報だけから、収録後にどの程度の音声加工やエフェクト処理が施されているかまで断定することはできません。
そのため、「一切のデジタル処理をしていない」とまで言い切るのではなく、現時点では次のように整理するのが最も正確です。
- AIハヤトは劇中ではスーパーコンピューター
- AIハヤトの声の出演は高山みなみ
- 高山みなみ本人が収録時の演技について説明している
- TBSは第2シーズンの映像制作に生成AIを導入している
- ただし、AIハヤトの本編音声を生成AIの読み上げだけで制作したという公式発表は確認できない
- 収録後の通常の音声加工・演出の有無や範囲までは公開情報から断定できない
この切り分けをすると、「AIハヤトだからAI音声」という単純な構図ではないことが分かります。
むしろ興味深いのは、人工知能というキャラクターを成立させるために、人間の声優が細かな芝居を設計していることです。

AIハヤトとは何者?第11話で別班の「頭脳」として登場
AIハヤトが初登場したのは、2026年7月26日に放送された『VIVANT』第2シーズンの初回、第11話「新たな冒険始まる」です。
第1シーズンが全10話だったため、第2シーズンは物語をリセットして「第1話」に戻すのではなく、前作から直結する第11話としてスタートしました。TBS FREEでも2026年7月26日放送分を「第十一話 新たな冒険始まる」と案内しています。
物語では、乃木憂助(堺雅人)が別班の司令・櫻井里美(キムラ緑子)に呼び出された部屋で、スーパーコンピューター「AIハヤト」と対面します。
そのころ、黒須駿(松坂桃李)を含む別班員5人が拉致されるという重大事件が発生。
AIハヤトは、別班員が治療を受けていた病院の監視カメラ映像やSNS上に存在する映像など、膨大な情報を短時間で解析していきます。
そして解析結果から、別班員の情報を外部へ流した人物として、元公安の新庄浩太郎(竜星涼)が関わっている可能性が高いと示します。
翌週の第12話についても、TBS公式あらすじは「AIハヤト(高山みなみ)」が新庄を犯人とみる可能性を示した流れを明記しています。
ここで分かるのは、AIハヤトが単なる未来的な音声案内ではないことです。
乃木や櫻井が行動を決断するための材料を集め、人間では短時間に処理しきれない情報から「可能性」を提示する、いわば別班の情報分析を担う頭脳として配置されています。
ただし、ハヤトが提示するのはあくまで分析です。
最終的に誰を信じ、どこへ向かい、何を実行するのかを決めるのは乃木たち人間になります。
この関係性は、後ほど触れる現実の『VIVANT』制作現場における「人間と生成AI」の関係とも、不思議なほど重なって見えます。
高山みなみはなぜ「AIらしい声」に聞こえるのか
高山みなみといえば、『名探偵コナン』の江戸川コナン、『忍たま乱太郎』の乱太郎、『魔女の宅急便』のキキなど、長年にわたって多くの作品で主要キャラクターを演じてきた声優です。
『VIVANT』は、高山にとって日曜劇場への初出演となりました。
AIハヤトの面白さは、高山が感情を完全に消しているわけではないところにあります。
本人の説明によれば、軸に置いたのは冷静さだけではありません。プライドやわずかなユーモアも含め、場面ごとにどの程度感情を乗せるかを監督と調整しながら収録しています。
つまり視聴者が「いかにもAIらしい」と感じる声は、少なくとも確認できる情報の範囲では、単純に機械へ文章を入力して完成したものではありません。
人間が「AIなら、どう話すか」を考えて演技している声なのです。
私は映像制作の現場にいたころ、同じ説明台詞でも「情報を渡す声」と「ドラマを動かす声」はまったく別物だと何度も感じました。
声の高さを変えるような派手な芝居より、どこで一瞬止まり、どの単語だけを立てるか。その小さな選択が、視聴者に「これは重要な情報だ」と無意識に伝えてくれます。
AIハヤトの台詞は、とりわけ情報量が多い。
だからこそ高山が語った「何が一番重要なのかを考える」という姿勢は、この役の本質にかなり近いと私は考えています。

なぜ「VIVANTの音声はAI」と誤解される?実は同じ第11話で生成AI映像を使用
「AIハヤトの声優は高山みなみ」と分かったところで、もう一つの疑問が残ります。
なぜこれほど「VIVANTの音声もAIなのでは?」と感じやすいのでしょうか。
最大の理由は、『VIVANT』第2シーズンで生成AIが本当に使用されているからです。
TBSは2025年10月30日、第2シーズンの地上波本編映像にGoogleのメディア生成AI「Veo 3」を活用すると正式発表しました。
TBSドラマの地上波本編映像に生成AIを活用する取り組みとしては初で、CG・VFX工程の一部を効率化し、人間のクリエイターが創造的な作業へより多くの時間を使えるようにすることが導入理由として説明されています。
ここまでは現在の記事でも押さえておきたい重要な事実です。
しかし、さらに調べると、AI音声説が生まれやすい理由をもっと具体的に説明できる事実が見えてきます。
AIハヤトの登場場面の「映像」には生成AIが使われていた
TBS NEWS DIGが2026年8月8日に公開した制作検証記事では、第11話で実際に生成AIを使った場面が具体的に明かされています。
第11話の開始から約4分40秒後、愛知県の「半田総合病院」屋上の機械室が爆発したとされる数秒の映像が、TBSドラマにおける生成AI本格利用の一例として紹介されました。
そして、もう一つ重要なのが約17分15秒後です。
AIハヤトが拉致された別班員について説明する場面で、壁面ディスプレーに表示される「旭川共済病院」の監視カメラ映像として使われたボイラー室爆発の動画にも、生成AIが活用されていました。
ここは今回、特に整理しておきたいポイントです。
同じ場面の中に、
「生成AIで作られた映像」
と、
「人間の声優が演じるAIハヤトの声」
が共存しているのです。
画面を見ている視聴者からすれば、巨大なAIが生成AI由来の映像を表示しながら、高度な解析結果を人工知能らしい声で説明している。
その結果、すべてがAIで生成されているような印象を受けても不思議ではありません。
しかし制作工程を分解すると違います。
映像の一部には生成AI。AIハヤトの声の出演は高山みなみ。
この二つを一緒にしないことが、「VIVANT 声優 AI」という疑問を正確に理解する鍵になります。
TBS NEWS DIGの制作記事によると、第11話ではこのほか、「別班特別準備室のニュース映像の一部」や太田梨歩の部屋に映るPCデスクトップ画面などでも生成AIが使われています。
また制作工程では、動画生成AI「Veo 3」だけでなく、より精緻な素材を作るために静止画生成AIも組み合わせたケースが紹介されています。
つまり『VIVANT』の生成AI活用は、作品を丸ごとAIに作らせるというものではありません。
細かなVFXや画面内素材など、従来なら多くの工程と時間が必要だった部分に新しい技術を入れているのです。

ネット上の「VIVANTナレーション」も公式音声とは別
検索結果をさらに分かりにくくしているものがあります。
AI音声生成サービスのFish Audioには、「VIVANTナレーション」という名前のAIボイスページが存在します。
2026年9月17日時点でページを確認すると、テキストを入力して音声を生成するAIボイスとして公開され、「クリエイターEによる」と表示されています。
ただし、ここからテレビドラマ本編との関係を推測するのは危険です。
少なくとも同ページ上には、TBSや『VIVANT』制作陣がAIハヤトの公式音声として提供したものだと確認できる説明は見当たりません。
したがって、
「VIVANTという名前が付いたAI音声モデルがネット上にある」
という事実と、
「日曜劇場『VIVANT』がその音声モデルを本編に使った」
という話は、まったく別です。
特に注意したいのは、こうしたAI音声サービスの生成回数や評価数です。
数値は利用状況によって変動するため、記事へ固定値として残すと、すぐに情報が古くなる可能性があります。
今回の記事では、存在の確認と公式性の有無だけを論点にし、変動する利用実績は判断材料から外しました。
検索結果では同じ「VIVANT」「AI」「音声」という言葉が並びます。
けれど、情報の出所を一つずつたどると、公式ドラマの声優情報と第三者のAI音声サービスは分けて扱う必要があることが見えてきます。
ドラムとAIハヤトは正反対?VIVANTが声優を起用する意味
『VIVANT』で「画面上の存在」と「声」を意図的に組み合わせる演出は、AIハヤトが初めてではありません。
第1シーズンから強烈な印象を残しているのが、富栄ドラム演じるドラムです。
ドラムは劇中で音声アプリを使って意思を伝え、その声を林原めぐみが担当しています。
第2シーズンのTBS公式キャスト欄にも、富栄ドラムとは別に林原めぐみが「声の出演」として掲載されています。さらに同じ欄に高山みなみの名前も並んでいます。
ここが、ドラマの演出として非常に面白いところです。
ドラムには人間の身体があるのに、聞こえてくる言葉は別の声が担う。
一方、AIハヤトには人間の身体がないのに、人間の声優の芝居によって人格が与えられる。
構造としては、ほとんど鏡写しです。
ドラムの場合、富栄ドラムの表情や体格、身ぶりが強烈な身体性を生み、そこへ林原めぐみの声が重なることで独自の人物像が成立しました。
AIハヤトの場合は逆です。
表情を持つ人間の顔がありません。
だから視聴者が「ハヤトは冷静だ」「少し得意げだ」「妙に人間くさい」と感じるためには、声が表情の代わりをしなければならない。
高山みなみがAIハヤトについて、冷静さだけでなくプライドや茶目っ気まで意識したという説明は、この構造を考えると非常に納得できます。
私は、『VIVANT』では声優を単なる「姿の見えない出演者」として扱っていないように感じています。
声そのものをキャラクターデザインの一部にしている。
ドラムもAIハヤトも、その発想から生まれたキャラクターなのでしょう。

VIVANTのAI活用を考察|「AIか人間か」ではなく役割分担が重要
ここからは、公開されている事実を踏まえた私見です。
私が『VIVANT』第2シーズンのAI活用で最も面白いと感じるのは、制作側が「AIか、人間か」という二者択一で考えていない点です。
TBSがVeo 3の採用を発表した際、目的として掲げたのは、ルーティン的な作業を効率化し、クリエイターが「創造」に使える時間を増やすことでした。
その後の制作現場を扱ったTBSの記事でも、生成AI導入の出発点は単純な人員削減ではなく、表現の限界と向き合う現場からの提案だったと説明されています。
この考え方とAIハヤトのキャスティングを並べると、作品全体の姿勢が見えやすくなります。
爆発映像や画面内素材など、新しい技術によって効率よく実現できる部分にはAIを使う。
一方、人間が「どう聞こえるべきか」「どこに感情を置くか」を判断する芝居には、経験を持った声優を置く。
少なくとも現在公開されている情報からは、そのような役割分担が見えてきます。
「正確に読める」と「ドラマとして伝わる」は同じではない
AIハヤトには、膨大な情報を整理し、乃木たちへ分析結果を伝える役割があります。
機能だけを見れば、文章を正確に読み上げる音声があれば成立するようにも思えます。
しかし、映像作品の台詞は情報伝達だけではありません。
例えば「新庄が関わった可能性が高い」という同じ内容でも、断定的に聞こえるのか、警告のように聞こえるのか、それとも一つの選択肢として冷静に提示しているのかで、次の場面の緊張感は変わります。
どこで息を置くか。
どの単語を少し強めるか。
情報量の多い説明の中で、視聴者に何だけは聞き逃してほしくないのか。
高山みなみが収録時に「何が重要なのか」を考えたという話は、まさにドラマ制作で必要になる判断です。
私はここに、生成AI時代の声優の面白さが逆に浮かび上がっていると感じます。
音声を作る技術が発達すればするほど、人間の芝居には「ただ声を出すこと」以外の価値が求められる。
AIハヤトは、それを分かりやすく見せているキャラクターなのかもしれません。
現実の制作現場と劇中の構図が重なっている
そして、もう一つ興味深い重なりがあります。
劇中のAIハヤトは、大量のデータを処理し、人間へ情報を提示します。
しかし、最終的に何を信じ、どう行動するのかを決めるのは乃木たちです。
現実の『VIVANT』制作現場でも、生成AIが素材を作ったとして、その映像を本編のどこで使うか、物語にふさわしいか、視聴者へ何を伝えるのかを決めるのは人間です。
TBS NEWS DIGの制作記事では、生成AIを実際のオンエアへ使える状態にするため、社内ガイドラインの整備やプロンプトの記録など、ガバナンス面も進められたことが説明されています。
つまり「ボタンを押したらAIが勝手にドラマを作った」という話ではありません。
生成された素材を、VFXの専門家や演出、制作陣が作品へ組み込んでいるのです。
私はこの二重構造が、『VIVANT』第2シーズンならではの面白さだと思います。
物語の中ではAIが人間へ情報を渡し、人間が決断する。現実の制作現場でもAIが素材を生み、人間が作品としての最終判断をする。
劇中のテーマと制作方法が、偶然とは思えないほど似た形になっています。

今後のAIハヤトは「便利な機械」以上になるのか
AIハヤトは、初登場時点から完全に無人格な装置としては演じられていません。
高山みなみがプライドや茶目っ気まで意識している以上、制作側が少なくとも声の演技に「個性」を求めていることは分かります。
ただし、この先ハヤトが自我を持つ、乃木たちを裏切る、独自判断で行動するといった展開が公式に示されているわけではありません。
そこは考察と事実を分ける必要があります。
そのうえで私が注目しているのは、「分析するAI」と「決断する人間」の距離です。
『VIVANT』という作品は、第1シーズンから一貫して、提示された情報が本当に正しいのか、目の前の人物が敵なのか味方なのかを疑わせてきました。
どれほど計算能力の高いAIであっても、入力された情報が完全だとは限らない。
そして分析結果が正しくても、それをどう解釈するかによって人間の行動は変わります。
AIハヤトが高性能であればあるほど、逆に「人間はその答えをどこまで信じていいのか」という新しい緊張感が生まれます。
これは単なる未来的な小道具ではなく、『VIVANT』が得意としてきた「信頼と疑念」の物語へAIを接続する装置になり得ると、私は考えています。
まとめ:VIVANTのAIハヤトは高山みなみ、生成AIは映像制作で実際に使用
『VIVANT』の「声はAIなのか」という疑問を調べると、答えは一つの言葉では片づけられません。
まず、AIハヤトの声の出演は高山みなみです。
TBS公式の登場人物ページとキャスト欄に名前が明記され、高山本人もAIハヤトをどのように演じ、収録したかを説明しています。
したがって、「人間の声優を使わず、生成AIだけがAIハヤトの全台詞を読み上げている」という理解は、現在公開されている情報とは異なります。
一方、『VIVANT』第2シーズンで生成AIが実際に使われていることも事実です。
TBSはGoogleの「Veo 3」を本編映像制作へ導入すると2025年10月30日に発表し、2026年7月26日放送の第11話では実際に生成AIによる映像がオンエアされました。
しかも、AIハヤトが説明する場面のディスプレー内に映る監視カメラ風の爆発映像にも生成AIが使われています。
ここが最も誤解を生みやすく、同時に最も興味深い部分でしょう。
AIハヤトの「映像の一部」は生成AIで作られ、そのAIハヤトの「声」は高山みなみが演じている。
一つの場面の中で、人間の演技と生成AI技術が同時に使われています。
さらにネット上には「VIVANTナレーション」という第三者のAI音声モデルも存在しますが、TBS公式のAIハヤト音声として使われたことを示す情報は確認できません。
私は、この整理をしたことで『VIVANT』の狙いがむしろはっきり見えてきたように感じます。
AIを避ける作品でもなければ、何もかもAIへ任せる作品でもない。
使える場所には新しい技術を入れながら、物語の温度やニュアンスを作る場所では人間の判断と演技を重ねる。
AIハヤトというキャラクターそのものが、その制作思想を映す鏡のようにも見えるのです。
よくある質問
VIVANTのAIハヤトの声優は誰ですか?
高山みなみです。TBS公式の登場人物ページでは「AIハヤト 高山みなみ(声の出演)」と明記され、キャスト・スタッフ欄にも掲載されています。
AIハヤトの声は生成AIの合成音声ですか?
公式に確認できる事実は、高山みなみが声の出演を担当し、本人が監督と相談しながら収録したと説明していることです。AIハヤトの台詞を人間の声優を使わず生成AIだけで作ったという公式発表は確認できません。なお、収録後の通常の音声加工の有無や範囲までは公開情報から断定できません。
VIVANTではどこに生成AIが使われていますか?
第2シーズンでは、本編映像制作の一部にGoogleの「Veo 3」などが活用されています。第11話では病院の爆発映像や、AIハヤトが説明する場面のモニターに表示された監視カメラ風映像などで生成AIが使用されたことをTBSが明らかにしています。
執筆:岸本湊人
ドラマ評論家・ブログ戦略家



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