青崎有吾『地雷グリコ』小説のあらすじ|5つの頭脳ゲームを解説

夕暮れの神社の長い石段の下で、カーディガンを羽織った女子高生がじゃんけんの手を構えて階段を見上げている 地雷グリコ

ドラマ『地雷グリコ』は、2026年11月13日(金)からPrime Videoで世界独占配信されます。主演は森七菜さんと蒔田彩珠さんのW主演です。

原作は青崎有吾さんの連作短編集『地雷グリコ』です。勝負事にやたら強い女子高生・射守矢真兎が、子どもの遊びを改造した5つの頭脳ゲームで強敵に挑みます。

この記事では、原作のあらすじを勝敗やトリックに触れずに1篇ずつ紹介し、受賞歴「9冠」の中身を整理します。そのうえで、ドラマ版の公表済み情報と、実写化の見どころについての僕なりの考察をまとめます。

この記事を読むとわかること

  • ドラマ『地雷グリコ』の配信日・キャスト・スタッフと、まだ発表されていない情報
  • 原作全5篇のあらすじとゲームのルール(ネタバレなし)
  • 「9冠」の内訳と、実写化で注目したいポイント
  1. 『地雷グリコ』とはどんな小説?主人公と作品の基本情報
    1. 主人公・射守矢真兎と、語り手の鉱田風日
    2. 単行本・文庫版・漫画版
  2. 地雷グリコ 第1・2話のあらすじ|「地雷グリコ」「坊主衰弱」のルール
    1. 第1話「地雷グリコ」──文化祭の屋上をめぐる46段の心理戦
    2. 第2話「坊主衰弱」──かるたカフェの出禁を賭けた百人一首勝負
  3. 地雷グリコ 第3〜5話のあらすじ|星越高校とSチップへ
    1. 第3話「自由律ジャンケン」──生徒会長の誘いと、絵空の名前
    2. 第4話「だるまさんがかぞえた」──星越高校とSチップ
    3. 第5話「フォールーム・ポーカー」──絵空との最終決戦
  4. 『地雷グリコ』の9冠とは?受賞歴と作者・青崎有吾の狙い
    1. 受賞・ランキング1位の一覧
    2. 選考委員はどう評価したのか
    3. 読み切りから連作へ──初出と作者の狙い
  5. ドラマ『地雷グリコ』はいつから?配信日・キャスト・スタッフ
    1. 公表済みのスタッフ・キャスト
    2. まだ発表されていない情報(2026年10月5日時点)
    3. 公式あらすじと、キャストの言葉から読み取れること
  6. 実写ドラマ『地雷グリコ』の見どころは?ゲームの複雑さと映像化を考察
    1. 関和亮監督の「リズムと図形」はゲームに向いている
    2. 過去の実写化から見る「ルールを見せる」難しさ
    3. 後半のゲームはなぜ複雑になるのか?「心の距離」という読み方
    4. 「9000万円」という打ち出し方と、デスゲーム作品との違い
    5. 森七菜×蒔田彩珠の配役が効いてくる理由
  7. 『地雷グリコ』原作あらすじとドラマ配信情報のまとめ
  8. よくある質問
    1. ドラマ『地雷グリコ』はいつから、どこで見られますか?
    2. ドラマは原作の何話まで描かれますか?全何話ですか?
    3. 森七菜さんと蒔田彩珠さん以外のキャストは?
    4. 『地雷グリコ』はデスゲーム小説ですか?
    5. 漫画版や続編はありますか?
  9. 参考

『地雷グリコ』とはどんな小説?主人公と作品の基本情報

結論から言うと、『地雷グリコ』は命を賭けない、青春の頭脳戦ミステリです。

物騒なタイトルからデスゲームものを想像する人は多いと思います。けれど実際に賭けられるのは、文化祭の出店場所や、お店の出入り禁止の撤回といった「高校生の日常」です。

主人公・射守矢真兎と、語り手の鉱田風日

主人公は、西東京市にある都立・頬白高校の1年生、射守矢真兎(いもりや・まと)です。

ぶかぶかのカーディガンを羽織り、言動はつかみどころがありません。それなのに、勝負事になると異様に強い人物です。

その戦いぶりを、中学からの友人・鉱田風日(こうだ・かざひ)がそばで見守ります。

読者は鉱田の視点から、真兎の勝負を「観客席」で目撃することになります。

僕はこの視点の置き方が本作の肝だと考えています。天才の頭の中を直接描かず、隣にいる友人の驚きを通して見せるので、読者も「え、どういうこと?」と一緒に推理に参加できるのです。

単行本・文庫版・漫画版

単行本はKADOKAWAから2023年11月27日に刊行されました。

文庫版は2026年6月16日に角川文庫から出ています。国立国会図書館の書誌情報には、2023年刊の単行本を加筆修正したものだと注記されています。文庫版の巻末には、作家・小川哲さんの解説が収録されています。

コミカライズは、作画を暁月あきらさんが担当しています。白泉社『ヤングアニマル』で2024年10月に連載が始まり、ヤングアニマルコミックスから2026年5月に第4巻が発売されました。

価格や最新刊の情報は変わることがあるため、購入前に出版社の公式情報で確認してください。

地雷グリコ 第1・2話のあらすじ|「地雷グリコ」「坊主衰弱」のルール

ここからは、各篇のあらすじを順に紹介します。

ゲームのルールは紹介しますが、真兎の勝ち筋や勝負の結末は伏せます。

第1話「地雷グリコ」──文化祭の屋上をめぐる46段の心理戦

頬白高校の文化祭「頬白祭」では、模擬店の一等地である旧校舎の屋上の使用権を、クラスや団体が勝負で奪い合います。この伝統の勝負が《愚煙試合》です。

鉱田に頼まれて出場した真兎は、決勝に進みます。相手は、この勝負を連覇している生徒会の3年生・椚迅人(くぬぎ・はやと)でした。

審判が提示した競技は、表題作の「地雷グリコ」です。

  • 舞台は頬白神社の46段の石段
  • じゃんけんでグーなら3段、チョキとパーなら6段進む
  • 試合前に、1〜45段目のうち3か所へ、相手に見えない「地雷」を仕掛けて審判に申告する
  • 相手の地雷の段に止まると10段後退
  • 先に最上段を突破した方が勝ち

僕が注目したのは、数字の設計です。進む段数はすべて3の倍数なのに、罰だけが10段になっています。

この「割り切れなさ」が、読者に推理の余地を残します。ルール説明そのものが伏線になっている点に、作者がミステリの「フェアプレー」をゲームに持ち込もうとしていることがはっきり表れています。

※画像はAIによるイメージ

第2話「坊主衰弱」──かるたカフェの出禁を賭けた百人一首勝負

頬白高校かるた部が、騒がしさを理由に「かるたカフェHATANO」から出入り禁止を言い渡されます。

謝罪に向かう一行に紛れ込んだ真兎は、撤回を拒む店主・旗野に勝負を持ちかけます。元大学競技かるた部のエースである旗野が提案したのは、「坊主衰弱」でした。

  • 使うのは百人一首の絵札100枚
  • 裏返して並べ、交互に2枚ずつめくる神経衰弱の形式
  • 「男」の札が2枚揃えば獲得でき、もう一度めくれる
  • 「姫」の札が2枚揃えば、捨て場の札もまとめて獲得できる
  • 「坊主」の札をめくると、持ち札をすべて捨て場へ没収される

第1話は生徒同士の勝負でした。それに対して第2話は、大人が自分に有利な土俵を子どもに押しつける勝負になっています。

理不尽な相手に一矢報いる構図は、連続ドラマでいえば「中盤の痛快回」にあたる役割だと僕は受け取りました。

地雷グリコ 第3〜5話のあらすじ|星越高校とSチップへ

第3話から、ゲームは単発の勝負ではなくなり、ひとつの因縁へ向かう道のりに変わっていきます。

第3話「自由律ジャンケン」──生徒会長の誘いと、絵空の名前

生徒会長の佐分利錵子(さぶり・にえこ)が、真兎を生徒会にスカウトします。

真兎が断ると、佐分利はゲームでの決着を提案します。佐分利の口から真兎の中学時代の同級生・雨季田絵空(うきた・えそら)の名前が出たことで、真兎は勝負を受けます。

  • グー・チョキ・パーに加えて、双方が考案した「独自手」を1つずつ追加する
  • 独自手は片手で表現でき、少なくとも1種類の手には負ける設定にする
  • 特殊効果を付けてもよい
  • 独自手の効果は審判にだけ申告し、相手には形と呼び名しか知らされない

相手の手の「意味」を、対戦しながら推理していきます。ジャンケンの姿をした謎解きです。

※画像はAIによるイメージ

第4話「だるまさんがかぞえた」──星越高校とSチップ

ここで物語の舞台が一気に広がります。

絵空が通うのは、埼玉県入間市の私立・星越高校です。全国屈指のエリート校で、「日本三大不可侵校」の一つに数えられています。

星越の生徒は、入学時にSチップと呼ばれる奨学金のチップを貸し与えられます。生徒同士でこれを賭けたゲームをすることは、事実上黙認されています。

そして20年以上前、そのSチップの一部が頬白高校に流出していました。

真兎は佐分利、椚、鉱田とともに、チップの回収を狙う星越の生徒会と対峙します。勝負は「だるまさんがかぞえた」です。鬼の掛け声の文字数と、その間に進める歩数を、事前の「入札」で申告して戦います。

第5話「フォールーム・ポーカー」──絵空との最終決戦

ついに真兎は、絵空を頬白高校の旧校舎へ呼び出します。

最終戦は「フォールーム・ポーカー」です。4つのスートごとに別々の「部屋」があり、部屋を移動しながらカードを引いて、3枚の手札で役を競う変則ポーカーです。

賭けられるのは、大量のSチップと両校のプライドです。ただし、真兎がこの勝負にこだわる本当の理由は、物語の最後で明かされます。

ここから先は、ぜひ本で確かめてください。

※画像はAIによるイメージ

『地雷グリコ』の9冠とは?受賞歴と作者・青崎有吾の狙い

受賞・ランキング1位の一覧

ドラマ発表時の公式リリースでは、原作は「9冠」と紹介されています。KADOKAWAが公表している受賞・1位の実績を並べると、次の9件になります。

1. 第37回山本周五郎賞(2024年5月16日選考会)
2. 第77回日本推理作家協会賞〈長編および連作短編集部門〉(2024年5月13日選考会)
3. 第24回本格ミステリ大賞【小説部門】(2024年5月10日発表)
4. 第7回飯田賞
5. 2023年SRの会ミステリーベスト10 国内部門 第1位
6. 「ミステリが読みたい! 2025年版」国内篇 第1位
7. 『このミステリーがすごい! 2025年版』国内編 第1位
8. 「週刊文春ミステリーベスト10」(2024年)国内部門 第1位
9. 『2025本格ミステリ・ベスト10』国内ランキング 第1位

KADOKAWAの2024年12月9日付のお知らせでは、6〜9の「4大ミステリランキングすべてで1位」とあわせて「8冠」と表記されていました。どの実績を数えて「9冠」としたのかは、ドラマの公式リリースでは明示されていません。

このほか、第171回直木三十五賞の候補にも選ばれています。

選考委員はどう評価したのか

日本推理作家協会賞の選考経過を報告した葉真中顕さんは、1話ごとに大胆さが増し、設定も大きくなっていく構造が、読み慣れない人にも入りやすいと評価しました。

山本周五郎賞の選考経過を報告した小川哲さんは、受賞は満場一致で決まり、青春小説として優れているという意見も出たと述べています。

その小川さんが、のちに文庫版の解説を書いています。選考の場で推した書き手が解説を担当するというつながりも、文庫版を選ぶ理由のひとつになると僕は感じました。

読み切りから連作へ──初出と作者の狙い

収録作初出
地雷グリコ「小説屋sari-sari」2017年11月号
坊主衰弱「カドブンノベル」2020年11月号
自由律ジャンケン「小説 野性時代」2022年3月号
だるまさんがかぞえた「小説 野性時代」2023年2月号
フォールーム・ポーカー書き下ろし

青崎有吾さんは1991年、神奈川県生まれです。明治大学在学中の2012年に『体育館の殺人』で鮎川哲也賞を受賞してデビューしました。

KADOKAWAの文芸サイト「カドブン」の2024年4月19日公開のインタビュー(聞き手・杉江松恋さん)で、青崎さんは執筆の経緯を語っています。表題作はもともと学園もののアンソロジー向けの読み切りでした。その企画が立ち消えになり、担当編集者の勧めで連作になったそうです。

同じインタビューで、青崎さんは次のような点も明かしています。

  • 作品全体がギャンブル漫画の影響を受けていて、特に『嘘喰い』が好きなこと
  • 絵空というライバル像や、審判が裁定を下す仕組みにも『嘘喰い』の影響があること
  • 運の要素をできるだけ排除し、読者が推理できるゲームにしたこと
  • 机で向き合うだけでは絵的に面白くないので、体を動かすゲームや広い場所を使うゲームを意識したこと
  • 「自由律ジャンケン」は、最初は大富豪にする予定だったこと

大金や命を賭けないことについて、青崎さんは「命を賭けないからこそ譲れないもの」を描けるかもしれないと考えたと話しています。

殺人も密室もないのに、ルール説明が「手がかり」になり、勝負の決着が「解決編」になる。だから本作は、頭脳バトルでありながら本格ミステリの賞をまとめて受賞できたのだと僕は考えています。

ドラマ『地雷グリコ』はいつから?配信日・キャスト・スタッフ

結論から言うと、ドラマ『地雷グリコ』は2026年11月13日(金)からPrime Videoで世界独占配信されます。森七菜さん(射守矢真兎役)と蒔田彩珠さん(鉱田風日役)のW主演です。

2026年8月24日に制作が発表されました。世界240以上の国と地域で配信されるPrime Originalドラマです。

公表済みのスタッフ・キャスト

項目内容
配信2026年11月13日(金)〜 Prime Videoで世界独占配信
主演森七菜(射守矢真兎役)、蒔田彩珠(鉱田風日役)
原作青崎有吾『地雷グリコ』(角川文庫/KADOKAWA刊)
監督関和亮
脚本三嶋龍朗、上野詩織、小林大輝
音楽yuma yamaguchi
プロデューサー森井輝(THE SEVEN)、関口周平(THE SEVEN)、稲葉尚人(角川大映スタジオ)
VFXプロデューサー赤羽智史(THE SEVEN)
ポストプロダクションスーパーバイザー石田記理(THE SEVEN)
製作Amazon MGMスタジオ
企画・制作THE SEVEN
制作プロダクション角川大映スタジオ

視聴にはPrime Videoの会員登録が必要です。料金や配信スケジュールは変わる場合があるため、最新情報は公式サイトで確認してください。

まだ発表されていない情報(2026年10月5日時点)

公式リリースのキャスト欄は「森七菜 蒔田彩珠 ほか」となっています。僕が確認した範囲では、役名付きで発表されているのはこの2人だけです。

椚、佐分利、絵空といった主要キャラクターの配役は、まだ公表されていません。全何話の構成なのか、原作の何話分を映像化するのかも、公式には示されていません。

追加の発表があり次第、この記事も更新していく予定です。

公式あらすじと、キャストの言葉から読み取れること

公式の紹介では、物語は真兎が鉱田に頼まれて、学園祭の屋上使用権を懸けたゲームに挑むところから始まります。さらに、部活動の存続や9000万円相当のチップを巡る勝負も描かれると紹介されています。

この紹介を読む限り、原作の屋上からSチップまでの流れをおおむね追う構成になりそうです。

注目したいのは、キャストのコメントです。森七菜さんは、豪華なCGカットや、バトルの中の演出は映像ならではだと語っています。

蒔田彩珠さんは、脚本を読んだとき、現実から「空想世界」へ移るという設定が映像でどうなるのか想像がつかなかったとコメントしています。ゲームの最中を、現実とは別の空間として描く演出が用意されている可能性が高いと僕は読んでいます。

9月3日の「Prime Video Presents 東京」には二人そろって登壇しました。撮影中は高校の友達のようにずっとしゃべっていたと振り返っています。

実写ドラマ『地雷グリコ』の見どころは?ゲームの複雑さと映像化を考察

ここからは、ドラマを見届けてきた僕の私見です。

関和亮監督の「リズムと図形」はゲームに向いている

関和亮さんは、PerfumeやサカナクションのMV、星野源さんの「恋」のMVなどで知られる映像作家です。映画では『かくかくしかじか』『ベートーヴェン捏造』(いずれも2025年)を手がけています。

関さんのMVは、振り付けやカメラの動き、グラフィックを音にぴたりと合わせて、抽象的なアイデアを一目で伝えるところに持ち味があると僕は感じています。

ここで気づくのは、『地雷グリコ』のゲームの多くが「数える遊び」だという点です。「グ・リ・コ」と段を数える。「だるまさんが…」の文字数を数える。

リズムに乗せて数を刻む演出は、MV出身の監督が最も得意とする領域だと考えられます。そのうえ作者自身が「体を動かす」「広い場所を使う」ゲームを意識して書いているので、原作の時点で画になる設計になっています。

これに、蒔田さんの言う「空想世界」とVFXチームの技術が加わります。ルールを図形として空間に浮かべる演出が見られるのではないかと、僕は期待しています。

※画像はAIによるイメージ

過去の実写化から見る「ルールを見せる」難しさ

推理や論理を映像で見せる工夫として、僕がまず思い出すのはフジテレビの『ガリレオ』(2007年)です。湯川学がひらめいた瞬間に数式を書きなぐる演出があり、頭の中の論理を「動作」に置き換えていました。

同じ2007年の『LIAR GAME』は、ゲームのルールを図解的なグラフィックと記号的なセットで整理していました。視聴者を置いていかない工夫がされていたと記憶しています。

逆に、説明台詞が長くなってテンポを失う実写化も、僕はいくつも見てきました。

原作の読者からも、後半のゲームはルールが込み入っていて頭に入りにくいという声を見かけます。だからこそ、ルールを台詞ではなく画で伝えられるかが、本作の成否を大きく左右すると僕は考えています。

後半のゲームはなぜ複雑になるのか?「心の距離」という読み方

小説の後半が複雑になる理由について、僕なりの読み方をひとつ置いておきます(結末には触れません)。

対戦相手を順に並べると、「見知らぬ先輩」→「大人の店主」→「自校の生徒会長」→「他校の生徒会」→「かつての同級生」となります。真兎にとっての心の距離が、少しずつ近づいていく順番です。

作者は先のインタビューで、後半ほどプレイヤーのレベルが上がり、互いに共有している価値観の精度も上がるので、読み合いが激しくなると話しています。

相手をよく知っているほど、読み合いは何重にもなります。後半の複雑さは、近しい人と向き合うことの難しさを、ルールの形で表したものだと僕は受け止めています。

ドラマ版がこの複雑さを単純にしすぎると、物語の核心まで削られてしまうおそれがあります。わかりやすさと複雑さの両立が、脚本チームの腕の見せどころになりそうです。

「9000万円」という打ち出し方と、デスゲーム作品との違い

企画・制作のTHE SEVENは、『今際の国のアリス』などを手がけてきた会社です。

『今際の国のアリス』は命が賭かるからこそ緊張が生まれ、実写版『賭ケグルイ』は大金をめぐる狂騒を過剰な演技で振り切って成立していました。

公式あらすじが「9000万円相当のチップ」と金額を前に出したのは、世界配信でスケール感を一言で伝えるための選択だと思います。

ただ、作者は「命を賭けないからこそ譲れないもの」を描こうとしました。宣伝が金額に寄るほど、よくあるマネーゲームに見えてしまう危うさもあります。

筆者としては、派手さで盛るほど原作の良さは薄まると考えています。デスゲームの作法を知り尽くした制作陣が、あえて引き算を選べるかどうか。ここが成否の分かれ目になりそうです。

森七菜×蒔田彩珠の配役が効いてくる理由

真兎のつかみどころのなさは、僕には性格というより戦略としての鎧に見えます。相手を油断させ、本心を隠すための鎧です。

僕の印象では、森七菜さんは柔らかさの奥に芯の強さをのぞかせる芝居が魅力の俳優です。蒔田彩珠さんは、台詞の少ない場面でも表情で心情を伝えられる俳優だと感じています。

「何を考えているか分からない天才」と、「それを一番近くで見つめる観客」。この配置は、原作の視点の置き方をそのまま映像に移しかえる、筋の通ったキャスティングだと僕は評価しています。

※画像はAIによるイメージ

階段を一段ずつ上ることは、誰かとの距離を一歩ずつ詰めることに似ています。11月、画面の中でその一歩がどう刻まれるのか、僕は見届けるつもりです。

『地雷グリコ』原作あらすじとドラマ配信情報のまとめ

  • ドラマは2026年11月13日(金)からPrime Videoで世界独占配信。W主演は森七菜さんと蒔田彩珠さん、監督は関和亮さん
  • 主演2人以外の配役、話数、映像化の範囲は2026年10月5日時点で未発表
  • 原作は青崎有吾さんの連作短編集。単行本は2023年11月27日、加筆修正した文庫版は2026年6月16日に刊行
  • 収録ゲームは「地雷グリコ」「坊主衰弱」「自由律ジャンケン」「だるまさんがかぞえた」「フォールーム・ポーカー」の5つ
  • 3つの文学賞と4大ミステリランキング1位を含め、公式に「9冠」と紹介されている
  • 作者が「体を動かす」「広い場所を使う」ゲームを意識して書いているため、映像化との相性は良いと考えられる

よくある質問

ドラマ『地雷グリコ』はいつから、どこで見られますか?

2026年11月13日(金)からPrime Videoで世界独占配信されます。視聴には会員登録が必要です。最新の配信情報は公式サイトで確認してください。

ドラマは原作の何話まで描かれますか?全何話ですか?

2026年10月5日時点では、話数や映像化の範囲は公式に発表されていません。公式あらすじは、屋上の使用権を賭けた勝負から、チップを巡る勝負までに触れています。

森七菜さんと蒔田彩珠さん以外のキャストは?

公式リリースのキャスト欄は「ほか」となっています。2026年10月5日時点で役名付きで確認できるのは、射守矢真兎役の森七菜さんと鉱田風日役の蒔田彩珠さんの2人です。

『地雷グリコ』はデスゲーム小説ですか?

いいえ。人が死ぬ展開はありません。文化祭の出店場所や出入り禁止の撤回、奨学金チップなどを賭けた頭脳戦が中心で、青春小説としての爽やかさもあります。

漫画版や続編はありますか?

漫画版は暁月あきらさんの作画で、白泉社のヤングアニマルコミックスから刊行されています。小説の続編については、現時点で公式な発表は確認できていません。

――ドラマ見届け人・岸本 湊人(『ドラマ見届け人・湊の部屋』)

参考

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