『VIVANT』第1シーズンは、130億円の誤送金事件を入口に、別班とテント、そして乃木憂助と父ベキの宿命へつながる全10話の物語です。
第1話から最終回・第10話まで、「その回で何が起きたのか」「何が判明したのか」「次にどんな謎が残ったのか」を順番に整理します。2026年7月26日に始まる第2シーズンを前に、第1シーズンの流れを一気に振り返っていきましょう。
まずは、『VIVANT』第1シーズン全10話の流れを早見表で確認します。
話数 中心となる事件・展開 その回で判明する重要事実
第1話 130億円の誤送金を追って乃木がバルカへ 謎の言葉「VIVANT」が登場
第2話 日本大使館からの脱出作戦 「VIVANT」は「別班」を指す可能性が浮上
第3話 アド砂漠横断と誤送金犯の追跡 太田梨歩がシステム改ざんに関与した疑いが浮上
第4話 山本の逃亡と追跡 山本はテントのモニター、乃木は別班員と判明
第5話 アリへの追跡とテントの情報収集 ノゴーン・ベキが乃木の父・乃木卓だと判明
第6話 ベキの正体をめぐる調査とジャミーンの治療 乃木家とテントのつながりが公安側にも見え始める
第7話 別班6人によるテント接触作戦 乃木が仲間を撃ち、裏切りの疑惑が生まれる
第8話 乃木とベキの40年ぶりの再会 DNA鑑定で親子関係が確認され、乃木は試される
第9話 テントの過去とフローライト計画 テント誕生の経緯とベキの過去、乃木の潜入目的が明らかに
第10話 フローライトをめぐる攻防とベキの復讐 別班員の生存、新庄の正体、ベキとの最終対決が描かれる
こうして並べると、『VIVANT』は毎回ただ謎を増やしていたわけではありません。
一つの事件を解決すると、その奥にさらに大きな真実が現れる構造になっています。
130億円を追っていたはずの乃木が、やがて自分自身の過去と父親にたどり着く。
僕は、この「外へ向かっていた捜査が、最後には主人公自身の内側へ戻ってくる構造」こそ、第1シーズンを最後まで見届けたくなる最大の力だったと感じています。
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VIVANT第1話~第4話のネタバレあらすじ|誤送金事件から乃木の正体判明まで
『VIVANT』第1シーズンは、2023年7月16日から9月17日までTBS系「日曜劇場」で放送された全10話の物語です。
主人公は、丸菱商事エネルギー事業部に勤める乃木憂助(堺雅人)。
物語の発端は、丸菱商事からバルカ共和国のGFL社へ送られた130億円の誤送金でした。
乃木は資金を回収するためバルカへ向かいますが、そこでの追跡が、自衛隊直轄の非公認組織として描かれる「別班」と、謎の組織「テント」へつながっていきます。
主要人物は次の通りです。
人物 キャスト 物語上の立場
乃木憂助 堺雅人 丸菱商事社員/別班
野崎守 阿部寛 警視庁公安部
柚木薫 二階堂ふみ 世界医療機構の医師
黒須駿 松坂桃李 別班の工作員
ノゴーン・ベキ 役所広司 テントのリーダー/乃木の父
ノコル 二宮和也 テント幹部/ベキの養子
新庄浩太郎 竜星涼 公安捜査官
VIVANT第1話ネタバレ|130億円の誤送金と謎の言葉「VIVANT」
第1話では、乃木憂助が130億円の誤送金を追ってバルカ共和国へ渡り、謎の言葉「VIVANT」と公安刑事・野崎守に出会います。
丸菱商事の太陽エネルギープラント事業で、GFL社への送金額が本来より大幅に膨らむ問題が発生。
責任を問われた乃木は、資金回収のため現地へ向かいます。
GFL社社長のアリ(山中崇)を追及しても、簡単には資金の行方をつかめません。
乃木はCIAで働く旧友サムの力を借り、資金がアマン建設会社のアル=ザイールへ流れた可能性を突き止めます。
しかし、ザイールを追う途中で砂漠に取り残されてしまいます。
乃木を救ったのは、アディエルと娘のジャミーンでした。
その後、乃木はザイールと対面します。
ザイールは乃木を見て「VIVANTか」と問いかけ、爆発を起こします。
乃木を救ったのが、公安刑事の野崎守でした。
そこへ医師の柚木薫、野崎の協力者ドラムも加わり、バルカ警察からの逃亡が始まります。
事件は誤送金の追跡から始まりましたが、第1話が残した最大の謎は「乃木とは何者なのか」という点でした。
重さを感覚で見抜く能力、危機の中で見せる冷静さ、そして時折現れるもう一人の人格「F」。
この時点では、どれも答えが示されません。
僕は、第1話が巧いのは、乃木の異質さを説明せず「違和感」として置いていったところだと思います。
静かな会社員の顔に、一瞬だけ別の人物の影が差す。
その影の正体が第4話で明らかになったとき、第1話の風景まで違って見えるのです。
VIVANT第2話ネタバレ|「ヴィヴァン」は別班を意味するのか
第2話では、ザイールが残した「VIVANT」という言葉を手掛かりに、野崎が「別班」という存在へたどり着きます。
乃木、野崎、薫は日本大使館へ逃げ込み、一時的に安全を確保します。
しかし乃木の目的は、あくまで130億円の回収です。
一方、野崎は「ヴィヴァン」という発音そのものを考え続けます。
そして、日本語の「別班」という言葉が現地では「ヴィヴァン」のように聞こえた可能性に思い至ります。
作中で別班は、自衛隊直轄の非公認組織として描かれています。
ただし、ここではドラマ上の設定と現実の制度を混同しないことが大切です。
日本大使館では、一行を国外へ逃がす計画が進みます。
ところが秘密通路の出口には、チンギス率いるバルカ警察が待ち構えていました。
情報を漏らしていたのは、日本大使の西岡英子でした。
一行は計画を変更し、病気のジャミーンを救出。
その後、野崎は追跡を避けるため、「死の砂漠」と恐れられるアド砂漠を通るルートを選択します。
第2話で判明したのは、「VIVANT」が別班を指している可能性でした。
しかし、乃木と別班がどうつながるのかは、まだ分かりません。
答えを一つ見せながら、さらに大きな疑問を残す。
この設計が、第4話まで視聴者を引っ張っていきます。
VIVANT第3話ネタバレ|アド砂漠を越え、誤送金の内部犯へ迫る
第3話では、乃木たちがアド砂漠を横断して日本を目指し、帰国後は丸菱商事内部のシステム改ざん犯を追います。
西岡大使の裏切りを知った乃木たちは、バルカ警察から逃れるためアド砂漠へ入ります。
その途中で、薫がラクダから落ち、行方が分からなくなります。
乃木は薫を置き去りにせず、危険を承知で引き返します。
Fは、乃木が薫に特別な感情を抱いているのではないかと指摘します。
その後、乃木、薫、野崎は再び合流。
厳しい追跡をかわしながら国境を越え、日本への帰国を果たします。
しかし、130億円の誤送金事件は終わっていません。
帰国した乃木たちは、警視庁でサイバー分野の捜査に関わる東条翔太(濱田岳)の協力も得ながら、送金システムがどのように改ざんされたのかを調査します。
その過程で浮上したのが、財務部の太田梨歩(飯沼愛)でした。
ただし、太田の関与が疑われたことで事件が解決したわけではありません。
第3話が残した次の謎は、太田が自ら事件を起こしたのか、それとも誰かに利用されていたのかという点です。

砂漠から帰った瞬間に物語の規模が小さくなったように見えて、実際には逆でした。
企業内部の一つの不正を掘り下げることで、テントという巨大な組織への道が開き始めます。
VIVANT第4話ネタバレ|山本はモニター、乃木は別班員だった
第4話では、山本巧がテントのモニターであること、そして乃木憂助自身が別班の工作員であることが判明します。
公安は、太田梨歩をシステム改ざんに関与した人物として追います。
しかし、事件の背後には別の人物がいました。
太田を利用していたのは、乃木の同期である山本巧(迫田孝也)でした。
山本は、日本国内でテントのために活動する「モニター」だったのです。
逃亡する山本を追うなか、黒須駿が本格的に登場します。
そして、物語前半最大の事実が明かされます。
乃木憂助は別班の一員でした。
気弱に見えた丸菱商事の社員という顔とは別に、国家安全保障に関わる任務を遂行する顔を持っていたのです。
これにより、第1話から積み重ねられてきた違和感の一部がつながります。
一方、野崎から見れば新たな謎が始まりました。
乃木はいつから何を知っていたのか。
なぜ商社マンとして誤送金事件を追っていたのか。
テントを追う本当の目的は何なのか。
第4話は、誤送金事件の一区切りであると同時に、『VIVANT』という物語の主人公像を丸ごと反転させた回だったと僕は感じています。
VIVANT第5話~第7話のネタバレあらすじ|ベキの正体と乃木の裏切り疑惑
VIVANT第5話ネタバレ|アリへの追跡と乃木の父ベキの正体
第5話では、野崎が乃木の正体を追い、乃木と黒須はテントへの手掛かりを求めてGFL社社長アリを追跡します。
山本の死に不自然さを感じた野崎は、山本がテントのモニターであることを公安より先に知っていた乃木へ疑いの目を向けます。
一方、別班として行動する乃木と黒須は、テントの実態に近づくためアリを追います。
乃木はアリとその家族を利用した厳しい駆け引きを行い、テントの重要情報を聞き出そうとします。
この過程で乃木が迫ったのが、テントのリーダー、ノゴーン・ベキの正体でした。
そして、ベキは乃木が幼い頃に生き別れた父、乃木卓であることが判明します。
さらに乃木自身の過去も明らかになります。
バルカで両親と引き離された幼い乃木は、日本へ戻った後、児童養護施設で育ちました。
成長後は自衛隊へ入り、やがて別班員として任務に就くようになります。
第5話で起きた最大の変化は、「追うべき敵のリーダー」が主人公の実の父親へ変わったことです。
ただし、父だと分かったからといって、乃木がすぐにテント側へ傾いたわけではありません。
むしろ、次の謎は深くなります。
父はなぜテントのリーダーになったのか。
乃木は別班の任務と父への思いをどう両立させるのか。
僕は、第5話から作品の温度が変わったように感じました。
敵へ近づくほど、幼い頃に失った家族へ近づいてしまう。
乃木にとってテントへの道は、任務のための潜入路であると同時に、40年間閉ざされていた過去への帰り道でもあったのです。
VIVANT第6話ネタバレ|太田梨歩をめぐる動きとジャミーンの手術
第6話では、乃木がベキを父だと確信する一方、公安の野崎も乃木家とテントのつながりへ接近します。
同時に、別班側ではテントの情報へ迫るため、太田梨歩の存在が改めて重要になります。
太田は高いハッキング能力を持つ「ブルーウォーカー」としての顔を持っていました。
テントへ近づくためには、その技術が必要になります。
しかし太田にとって、山本に利用された経験は簡単に整理できるものではありません。
別班側が協力を求めることは、単なる「能力のある人材を確保する」という話ではなく、傷つけられた人物に再び危険な世界へ関わってもらうことでもあります。
一方の野崎は、乃木家の家紋とテントが使用するマークの共通性に注目します。
乃木とテントの間に、単なる追跡者と標的以上の関係があるのではないか。
公安側からも、少しずつ真相の輪郭が見え始めます。
そして第6話では、ジャミーンの手術も重要な軸となります。
乃木、薫、野崎、ドラムらが少女の回復を願う姿は、別班と公安が互いの動きを探り始める本筋とは違う、静かな時間を作品に与えました。
乃木の中に現れるFについても、僕は事実と解釈を分けて見たいと思います。
作品では乃木がFと対話する姿が繰り返し描かれます。
その意味についてはさまざまな読み方ができますが、僕には、乃木の中にある相反する判断や感情を、視聴者に見える形へした存在のように感じられます。
国家を守ろうとする乃木。
薫とジャミーンを守ろうとする乃木。
そして、父に会いたいと願う乃木。
第6話では、この三つが今後衝突することが見え始めます。
VIVANT第7話ネタバレ|別班6人が集結、乃木は仲間を裏切ったのか
第7話では、太田の協力によってテントの情報を得た別班が、6人の精鋭部隊を編成し、テントとの接触作戦へ進みます。
司令・櫻井里美(キムラ緑子)のもとに、乃木、黒須ら別班メンバーが集結します。
目的はテントの動きを探り、日本への脅威を防ぐことでした。
作戦を前に、乃木は仲間たちへ重要な事実を明かします。
テントのリーダー、ノゴーン・ベキは、自分の実の父であること。
そしてベキは、かつて公安の任務でバルカへ渡った乃木卓であることです。
一方、野崎たち公安も乃木を追います。
野崎はチンギスと協力し、別班とは異なるルートからテントと乃木の動きを追跡します。
別班と公安。
方法の違う二つの組織が、同じ場所へ近づいていきます。
そして作戦の終盤、別班はノコルとの接触に成功します。
ところが乃木は、同行した別班メンバーへ銃を向けます。
乃木は仲間を撃ち、テント側へ渡ったように見えました。
この回で起きた事件は明確です。
しかし、乃木の真意は明かされません。
本当に別班を裏切ったのか。
父に会うために国家を捨てたのか。
それとも、すべては潜入作戦なのか。

第7話は、答えを見せる回ではなく、主人公への信頼そのものを揺さぶる回でした。
それまで「乃木の正体」を追ってきた視聴者が、今度は「乃木の本心」を追うことになるのです。
VIVANT第8話~第10話のネタバレあらすじ|父との再会から最終決断へ
VIVANT第8話ネタバレ|乃木とベキが40年ぶりに再会
第8話では、別班員を撃った乃木がテント側へ連行され、父ベキと約40年ぶりに再会します。
第7話の作戦後、乃木と黒須はテント側に拘束されます。
乃木はノコルへ、自分がベキの実の息子であると伝えます。
そしてついに、ノゴーン・ベキと対面します。
しかし、再会したからといって父と息子として受け入れられるわけではありません。
ここが第8話の重要な点です。
乃木は別班員です。
しかも、テントにとって危険な存在であることは変わりません。
親子であるという乃木の主張は確認され、DNA鑑定によって血縁関係が確かめられます。
それでも、乃木への疑いがすぐ消えるわけではありません。
ベキ、ノコル、乃木の間には、それぞれ異なる思惑があります。
乃木は自分の能力を示しながら、少しずつテント内部へ入っていきます。
帳簿や数字を読み解く力を見せ、組織の収支や運営状況を把握していきます。
そこで乃木が目にしたのは、テントが得た資金の一部を孤児の支援などへ使っている現実でした。
ただし、これはテントの行為すべてを肯定する材料ではありません。
僕は、ここを慎重に分けて見る必要があると思います。
誰を救おうとしていたのかという「目的」と、何をして資金を得たのかという「手段」は別の問題です。
第8話は、敵だった人物たちの事情を描くことで、善悪の境界を揺らします。
同時に、視聴者へ新たな疑問を残しました。
乃木はテントに理解を示し始めたのか。それとも、今も別班の任務を続けているのか。
再会はゴールではありませんでした。
父の前へたどり着いた瞬間から、乃木はさらに厳しい試練の中へ入っていきます。
VIVANT第9話ネタバレ|テント誕生の秘密とフローライト計画
第9話では、ベキの過去、テント誕生の経緯、孤児支援の背景、そしてフローライトをめぐる計画が明らかになります。
乃木はテントの内部で、ノコルと協力するようになります。
その中で、ベキがどのような人生を歩み、なぜノゴーン・ベキになったのかを知ります。
乃木卓は、かつて公安の任務でバルカへ入りました。
しかし、家族が危機に陥る中で幼い憂助と引き離され、妻の明美を失います。
その後、生き延びたベキは、バルカで孤児たちを救う道へ向かいます。
テントは依頼による危険な活動で資金を得て、その一部を孤児の支援などに使っていました。
そして組織の将来を大きく変える可能性を持つのが、フローライトでした。
バルカ北西部の土地に眠る資源を事業化できれば、危険な活動に依存せず、孤児たちを継続的に支援できる可能性があります。
しかし、フローライトに関する情報は外部へ漏れ始めます。
関係者の中に情報を流している人物がいるのではないかという疑いが生まれ、計画をめぐる緊張が高まります。
そして終盤、乃木が撃ったはずの別班員たちが生存しているという情報がテント側へ届きます。
ベキは乃木へ、本当の目的を問いただします。
そこで乃木は、自分が別班の任務としてテントへ来たことを告白します。

第9話で重要なのは、「テントにも事情があった」という一点だけではないと僕は思います。
乃木は父の人生を知りました。
しかし、知ることと、任務を捨てることは同じではありません。
理解した相手と、それでも対立しなければならない。
その苦しさが、最終回の決断へつながっていきます。
VIVANT最終回・第10話ネタバレ|乃木とベキが選んだ結末
最終回・第10話では、乃木が別班を本当に裏切っていたわけではないことが判明し、フローライト事業をめぐる攻防と、ベキが抱えてきた40年来の復讐が決着します。
乃木に撃たれた別班メンバーは、生きていました。
乃木は急所を外して撃っており、メンバーたちは日本で生存していたのです。
さらに乃木は、野崎へ事前に自分の意図を読み取らせるためのサインを送っていました。
野崎たち公安が乃木の意図をくみ取り、別班員の生存を伏せることに協力していた事実も明らかになります。
乃木の真意を知ったノコルは強い怒りを見せます。
一方、ベキは、息子がなぜそこまでしてテントへ来たのかを見極めようとします。
その後、乃木はフローライト事業の成功がテントを危険な活動から遠ざけ、日本への脅威を抑えることにもつながると判断し、その実現へ向けて動きます。
ここは、「別班とテントが正式な協力関係になった」と広く断定するより、乃木が別班員としての目的と現地の事情を踏まえ、事業成功へ協力したと見る方が正確でしょう。
フローライトの権益をめぐっては、ワニズ、西岡大使、ゴビ、ムルーデルら複数の思惑が交錯します。
ノコルの親友だったゴビも、別の意図を持って動いていました。
乃木は野崎へ協力を求め、チンギスらも加わります。
さまざまな勢力の動きが交差する中、フローライト事業を守る道が開かれていきます。
その後、ベキ、バトラカ、ピヨは日本へ移送されます。
しかし3人は逃亡。
その逃亡を助けたテントのモニターが、公安捜査官の新庄浩太郎だったことも判明します。
そしてベキが向かったのは、上原史郎のもとでした。
かつて乃木卓が公安の任務でバルカにいた時代、家族は危機に陥りました。
ベキはその過去への復讐を果たそうとします。
そこへ乃木が現れます。
目の前にいるのは、約40年ぶりに再会した父。
しかし乃木は、日本を守る任務を担う別班員でもあります。
乃木はベキ、バトラカ、ピヨへ銃を向けます。
そしてベキへ銃弾を放ちます。
その後、乃木は薫とジャミーンのもとへ戻りました。
二人を抱きしめる乃木の姿は、国家、任務、父との宿命を背負ってきた男が、ようやく自分の帰る場所を確かめたようにも見えます。
しかし物語は、そこで完全には終わりません。
神社の祠には、別班の緊急招集を知らせる赤い饅頭が置かれていました。
家へ帰った瞬間、次の任務が始まる。
その余韻を残して、第1シーズンは幕を閉じます。
VIVANT全10話の本当のテーマとは?3つの視点から考察
ここからは、全10話を見たうえでの僕の私見です。
『VIVANT』の魅力は、派手な砂漠ロケや大規模な潜入作戦だけではありません。
僕は、作品を支えていた構造には大きく三つの特徴があったと考えています。
主人公の立場を書き換え続ける構造
一つ目は、乃木憂助という主人公の意味が何度も書き換えられることです。
第1話では、乃木は誤送金の責任を背負った商社マンに見えます。
第4話では別班員だと分かります。
第5話以降は、敵対組織テントのリーダーの息子だと判明します。
そして終盤では、国家への任務と父への思いを同時に抱える人物になります。
普通の謎解き作品なら、「主人公の正体が判明すること」が大きなゴールになります。
しかし『VIVANT』は違いました。
乃木が別班員だと分かった後の方が、乃木という人物を理解するのが難しくなります。
正体が分かるほど、人物の内面が分からなくなる。
僕は、この逆転が面白かったと思います。
物語のステアリングを一度切ったと思ったら、次の交差点でまた別の道が現れる。
視聴者は乃木と一緒に、何度も地図を開き直すことになります。
Fは乃木の内面を視聴者に見せる装置だったのではないか
二つ目は、乃木とFの関係です。
作中では、乃木がFと会話する場面が何度も描かれます。
Fがどのような存在なのかについては、描写をもとに複数の解釈ができるでしょう。
僕自身は、Fを乃木の中で衝突する判断や感情を、会話として見える形にした存在だと受け止めています。
乃木は任務に忠実です。
しかし同時に、父に会いたいという思いがあります。
薫にひかれ、ジャミーンを守りたいと願います。
愛情を求める自分と、任務を遂行する自分。
感情で動きたい自分と、冷静に判断する自分。
その対立を、心の中だけで処理してしまえば視聴者には見えません。
Fとの対話があることで、乃木の迷いが物語として表面に現れます。
僕の胸に残ったのは、乃木が「強いから迷わない人物」ではなかったことです。
むしろ、迷い続けながら行動していました。
迷わないことが強さなのではなく、迷いを抱えたまま決断することが強さなのかもしれない。
僕は乃木を見ながら、そんなことを考えました。
敵と味方の定義を崩し続けた物語
三つ目は、敵と味方の定義が固定されなかったことです。
前半では公安と乃木たちは協力してバルカから脱出します。
しかし乃木が別班員だと分かると、野崎は乃木を追う側へ回ります。
別班にとってテントは追跡対象です。
ところが後半では、テントが孤児たちを支援してきた背景が描かれます。
もちろん、背景を理解することと、行われたすべての行為を正当化することは別です。
『VIVANT』が興味深いのは、「実は敵が善人だった」という単純な反転ではない点だと思います。
相手にも守りたいものがある。
しかし、守るための方法は衝突する。
だから簡単には同じ側に立てません。
別班は日本を守ろうとする。
ベキはバルカの孤児たちを守ろうとする。
野崎は公安として法と任務を守ろうとする。
乃木はそのすべての間に立たされます。
僕は、『VIVANT』が投げかけた問いは「誰が善で誰が悪か」だけではなかったと思います。
守りたいもの同士が衝突したとき、人はどの責任を引き受けるのか。
その問いが、130億円の誤送金から始まった物語を、父と息子の最終対決まで運んでいったのではないでしょうか。
そして、もう一つ面白いのは物語の入口と出口です。
第1話の乃木は、会社から消えた130億円を追っていました。
最終回の乃木は、実の父へ銃を向けています。
二つの場面だけを並べれば、同じドラマとは思えないほど遠く見えます。
しかし、物語を順番にたどると一本につながっています。
誤送金を追う。
ザイールへたどり着く。
「VIVANT」という言葉を知る。
別班が浮上する。
山本からテントへつながる。
テントを追う先に、父がいる。
つまり、130億円の誤送金事件は単なる派手な導入ではありませんでした。
乃木が40年間閉ざしていた自分の過去へ戻るための最初の扉だったのです。
僕はここに、『VIVANT』第1シーズンの脚本構造の強さを感じます。
世界を動かすような巨大な事件の中心に、実は一人の男の「家族を知りたい」という静かな願いがあった。
砂嵐のように激しい物語の奥で、小さな感情の火が消えずに燃えていた。
それが、僕が全10話を振り返って最も心に残った部分です。
まとめ|VIVANT第1シーズンは誤送金から国家と家族の物語へつながった
『VIVANT』第1シーズン全10話のあらすじをネタバレ込みで整理すると、物語は大きく四つの段階で進みました。
- 130億円の誤送金事件とバルカからの脱出
- 山本の正体と、乃木が別班員である事実の判明
- テント追跡と、ベキが乃木の実父だったという運命
- フローライト計画と、国家と家族の間で下す乃木の決断
第1話で砂漠をさまよっていた商社マンは、別班の工作員でした。
追っていたテントのリーダーは、幼い頃に引き離された父でした。
そして、敵対する組織の内側にも、孤児たちを支援するという別の側面がありました。
だからこそ『VIVANT』は、最後まで誰が味方で誰が敵なのかを簡単には決めさせません。
僕は、この作品が本当に問いかけたのは、単純な「誰が正しいのか」ではなかったと感じています。
守りたいものがぶつかったとき、人はどの選択の責任を引き受けるのか。
乃木、野崎、ベキ、ノコル。
それぞれの人物が異なる答えを選んだからこそ、物語には簡単に割り切れない余韻が残りました。
第2シーズンは2026年7月26日から始まる予定で、第1シーズン最終回に置かれた赤い饅頭による緊急招集の先へ、物語が続いていきます。
第1シーズンを見返すと、乃木の視線、Fの言葉、野崎の疑い、薫やジャミーンへ向ける表情まで、初見とは違う意味を帯びて見えてきます。
ドラマは終わっても、場面の意味までは終わらない。
一度通った道なのに、振り返ると違う景色が見える。
僕にとって『VIVANT』は、そんな何度でも地図を開き直したくなる物語です。

よくある質問
VIVANT第1シーズンは全何話ですか?
『VIVANT』第1シーズンは全10話です。
2023年7月16日から9月17日まで放送され、130億円の誤送金事件から、別班、テント、乃木とベキの親子の物語までが描かれました。
VIVANTで乃木憂助の正体は何ですか?
乃木憂助は、丸菱商事の社員として働く一方で、別班の工作員として活動していました。
第4話で正体が判明し、その後は黒須らとともにテントを追います。
ただし物語後半では、テントのリーダーであるノゴーン・ベキが実の父だと判明し、任務と家族への思いが衝突していきます。
VIVANTのテントは何を目的にしていたのですか?
テントは依頼による危険な活動で資金を得る一方、その資金をバルカの孤児支援などにも使っていました。
後半では、フローライト事業を成立させることで継続的な収益基盤を作り、危険な活動への依存から離れる可能性が描かれます。
ただし、支援という目的があることと、そのために選んだすべての手段が正当化されることは同じではありません。
僕は、その簡単には割り切れない矛盾を真正面から描いたことが、『VIVANT』第1シーズンの大きな魅力だったと感じています。
岸本 湊人
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