『VIVANT』第1シーズンは、約130億円の誤送金が乃木憂助と実父ベキの40年越しの対決へつながる全10話です。
この記事では、2023年7月16日から9月17日まで放送された第1シーズンのあらすじと最終回の結末を、話数順にネタバレありで解説します。
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『VIVANT』第1シーズンの最終回はどうなる?
結末から言えば、乃木憂助は、テントの指導者ノゴーン・ベキが生き別れた実父・乃木卓だと知り、別班の任務として組織へ潜入します。
乃木はテントの犯罪性を見過ごすのではなく、危険な依頼に頼らず孤児支援を続けられる道筋を作ろうとしました。最終回では、蛍石事業をノコルへ託し、日本で復讐を果たそうとするベキを銃撃します。
ただし、ベキ、バトラカ、ピヨの生死は、第1シーズンの映像だけでは確定していません。
物語の重要な答えを先に整理すると、次のとおりです。
- 誤送金を仕組んだ人物:丸菱商事の山本巧
- 山本の正体:テントのために活動する「モニター」
- 乃木憂助の正体:政府非公認とされる秘密情報部隊「別班」の隊員
- ノゴーン・ベキの正体:乃木の実父・乃木卓
- テントの主な資金用途:バルカ共和国の孤児院や学校、農業施設の運営
- ノコルと乃木の関係:血縁はないが、ベキを父とする兄弟
- 最終回の対決:乃木がベキによる上原史郎への復讐を阻止
- 赤い饅頭の意味:別班から乃木への緊急招集のサイン
TBS系日曜劇場『VIVANT』は、福澤克雄さんが原作・演出を担当したオリジナルドラマです。
堺雅人さん、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、役所広司さん、二宮和也さんらが出演し、企業の誤送金事件から国境を越えた諜報戦、そして引き裂かれた家族の物語へと展開しました。
全10話の流れは、次の表で確認できます。
話数 放送日 主な出来事
第1話 2023年7月16日 約130億円の誤送金とバルカでの逃亡
第2話 2023年7月23日 「ヴィヴァン」と別班の関係が浮上
第3話 2023年7月30日 死の砂漠脱出と丸菱商事の社内調査
第4話 2023年8月6日 山本の正体と乃木が別班員だと判明
第5話 2023年8月13日 乃木の過去とベキとの血縁が浮上
第6話 2023年8月20日 別班精鋭部隊の集結とテント追跡
第7話 2023年8月27日 乃木が別班の仲間を銃撃
第8話 2023年9月3日 テント潜入と組織の資金構造
第9話 2023年9月10日 ベキの過去とテント誕生の理由
最終話 2023年9月17日 蛍石事業、上原への復讐、赤い饅頭
初回は108分の拡大版で放送されました。
商社マンの乃木が誤送金を追う物語に見せながら、主人公自身が秘密部隊の一員だったと明かす構造が、本作最大の仕掛けです。
第1話~第4話のあらすじ|誤送金の犯人と乃木の正体
第1話|約130億円の誤送金から逃亡劇が始まる
丸菱商事の社員・乃木憂助は、バルカ共和国のGFL社へ送金した契約金に、重大な誤りがあったことを知らされます。
本来の契約金は1000万ドルでしたが、実際に送られていたのは10倍の1億ドルでした。差額は9000万ドルで、作中の日本円換算では約130億円に上ります。
送金を担当した乃木には、横領の疑いまで向けられました。
乃木は潔白を証明するためバルカへ渡り、GFL社社長のアリ・カーンを訪ねます。しかし、送金された資金は複数の会社を経由し、すでに追跡しにくい状態になっていました。
乃木は高校時代からの友人で、CIAに勤務するサムへ調査を依頼します。
その結果、資金はダイヤモンドへ換えられ、アマン建設のアル=ザイールへ渡ったことが分かりました。
ザイールのいるセドルへ向かう途中、乃木はタクシー運転手に荷物を奪われ、砂漠へ置き去りにされます。
極限状態の乃木の前に現れたのが、乃木にしか見えないもう一人の人格「F」でした。
気弱で慎重な乃木に対し、Fは大胆で冷静です。二人の会話は、乃木が一枚岩の主人公ではないことを早い段階から示していました。
乃木は、バルカで暮らすアディエルと娘のジャミーンに救助されます。
その後、ザイールと対面した乃木は返金を求めますが、ザイールは乃木を見て「ヴィヴァン」ではないかと疑い、自爆しました。
乃木を爆発から救ったのは、警視庁公安部外事第4課の野崎守です。
爆発によってアディエルは死亡。乃木、野崎、世界医療機構の医師・柚木薫は、バルカ警察から爆破事件の容疑者として追われることになります。
第1話の終盤には、ノゴーン・ベキとノコルも登場しました。
ノコルはベキを「父さん」と呼びますが、この時点では二人が乃木とどのようにつながるのかは明かされません。
僕の胸に強く残ったのは、スーツ姿の乃木が広大な砂漠を歩く場面です。
日常の象徴であるスーツを着たまま、国家の裏側へ足を踏み入れていく。その姿が、乃木の二重生活を言葉より先に語っていました。
第2話|「VIVANT」は別班を意味するのか
第2話では、「ヴィヴァン」という言葉が、政府非公認とされる秘密情報部隊「別班」へ結びついていきます。
ただし、フランス語の“vivant”は「生きている」「生き生きとした」という意味であり、単語を直訳して「別班」になるわけではありません。
劇中では、日本語の「別館」がバルカ人の発音によって「ヴィカン」「ヴィヴァン」のように聞こえることから、野崎が「別館ではなく別班を指しているのではないか」と推理します。
ザイールは乃木を別班員だと思い、「お前がヴィヴァンか」と尋ねた可能性が浮かびました。
一方、誤送金された資金が、謎の組織「テント」へ流れた疑いも強まります。
テントは事件現場に独自のマークを残しながら、犯行声明を出さず、活動目的も明らかにしていませんでした。
海外でテントに協力する人物は「モニター」と呼ばれています。
丸菱商事の内部にもモニターが潜伏し、送金額の改ざんへ関与した可能性が高まりました。
乃木、野崎、薫は日本大使館へ逃げ込み、西岡英子大使の協力を得て地下通路から脱出しようとします。
しかし、出口ではバルカ警察のチンギスが待ち構えていました。西岡大使が、脱出計画をバルカ側へ漏らしていたのです。
乃木たちは大使館を脱出した後、心臓病を抱えるジャミーンを救うために引き返します。
そして一行は、警備が比較的薄いモンゴル国境を目指し、「死の砂漠」と呼ばれるアド砂漠へ入りました。
敵だと思った人物が味方になり、味方だと思った人物が裏切る。
『VIVANT』を貫く「敵か味方か、味方か敵か」という問いは、この大使館脱出から本格的に動き始めます。
第3話|死の砂漠を越えて誤送金の端末を特定
第3話では、乃木たちがアド砂漠を突破し、日本への帰国を果たします。
夜の砂漠をラクダで進む途中、薫が落下して行方不明になりました。
野崎は一行全体の命を優先して進むべきだと判断しますが、乃木は一人で来た道を引き返します。
乃木は薫を発見したものの、帰路でラクダが動けなくなり、自身も力尽きかけました。
最後は野崎とドラムが二人を発見し、一行は国境へたどり着きます。
しかし、モンゴルとの国境では、チンギス率いるバルカ警察が待ち構えていました。
窮地を救ったのは、公安の新庄浩太郎です。
新庄は衛星上の位置情報をずらし、乃木たちがすでにモンゴル領へ入ったように見せました。バルカ警察は領土侵犯を問われるため、それ以上追跡できません。
帰国した乃木は、野崎、サイバー犯罪対策課の東条翔太、同期の山本巧とともに、丸菱商事の送金システムを調査します。
改ざんに使われた端末から浮上したのは、財務部の太田梨歩でした。
同時に、乃木のもう一人の人格が「F」と呼ばれていることも明かされます。
誤送金は単純な操作ミスではなく、社内システムへ意図的な改ざんが加えられた事件でした。
ただし、太田が自ら事件を起こしたのか、別の人物に利用されたのかは、この段階では分かりません。
第4話|真犯人は山本巧、乃木も別班員だった
約130億円の誤送金を仕組んだ中心人物は、太田梨歩ではなく、乃木の同期・山本巧でした。
太田は世界的な天才ハッカー「blue@walker」でしたが、山本に利用され、送金システムの改ざんへ関与させられていたのです。
山本の正体は、テントのために日本で活動するモニターでした。
追い詰められた山本の前に、テントの協力者を装った黒須駿が現れます。
山本は黒須を味方だと信じ、逃走への協力を求めました。
しかし、黒須の正体は別班員です。
さらに、黒須の上官として姿を現したのが、気弱な商社マンに見えていた乃木憂助でした。
乃木もまた、別班の精鋭隊員だったのです。
第1話から視聴者は、「頼りない会社員が巨大事件に巻き込まれた」と思わされていました。
ところが実際には、乃木自身が国家の裏側で活動する当事者でした。主人公を視聴者の案内役に見せ、その案内役に最大の秘密を隠すことで、物語の前提が一気に反転します。

第5話~第7話のあらすじ|乃木とベキは親子なのか
第5話|ノゴーン・ベキは乃木憂助の実父
第5話では、テントの指導者ノゴーン・ベキが、乃木の実父・乃木卓である可能性が浮上します。
乃木と黒須は、テントの資金移動に関わっていたGFL社社長のアリを拘束しました。
アリは組織を恐れ、ベキの情報を隠します。
乃木はアリの家族を巻き込んだように見せる厳しい心理戦を仕掛け、テントの指導者の写真を入手しました。
ただし、アリの妻子は実際には殺害されていません。
乃木は必要な情報を得た後、アリ一家が国外へ逃れるための道も用意します。
目的のために残酷な演出を使いながら、無関係な家族の命までは奪わない。そこに、別班員としての非情さと乃木個人の倫理の境界が見えました。
一方、野崎は山本の死に疑問を持ち、乃木の過去を調べます。
乃木は幼少期、父の卓、母の明美とともにバルカ共和国で暮らしていました。
しかし一家は武装勢力に襲われ、幼い乃木は両親から引き離されます。
人身売買の被害に遭った後、日本へ渡った乃木は、児童養護施設で「丹後隼人」として生活しました。
その後、島根県の乃木家へ引き取られ、乃木憂助となります。
乃木が繰り返し見ていた悪夢は、バルカで両親と引き離された記憶でした。
野崎は、テントのマークが乃木家の家紋と似ていることにも気づきます。
乃木もアリから得た写真を見て、ベキが父である可能性を確信しました。
企業犯罪から始まった物語は、ここで40年前に引き裂かれた父と息子の物語へ変わります。
第6話|別班の精鋭6人がテント追跡へ動く
第6話では、乃木と野崎がそれぞれ別の道から、乃木家とベキのつながりへ近づきます。
乃木は別班司令の櫻井里美に、テントの指導者が実父である可能性を報告しました。
肉親への感情が任務へ影響する危険はありましたが、櫻井は乃木を作戦から外しません。
テントを追跡する精鋭部隊には、次の6人が集められました。
- 乃木憂助
- 黒須駿
- 高田明敏
- 和田貢
- 熊谷一輝
- 廣瀬瑞稀
さらに乃木たちは、テントが使う通信や資金の流れを追うため、天才ハッカーの太田梨歩へ協力を求めます。
太田は山本に利用され、長野利彦との関係でも深く傷ついていたため、当初は周囲を強く警戒していました。
それでも、自分の技術がテントによる新たな被害を防ぐために必要だと知り、解析へ加わります。
一方、テント内部では、ベキが組織の資金を不正に扱ったメンバーを裁いていました。
ベキは厳格な指導者であると同時に、孤児院や農業施設の食料、運営状況を細かく確認しています。
危険な依頼で資金を得る組織と、子どもたちの生活を守ろうとする指導者。
この矛盾があるからこそ、テントは単純な悪の組織として片づけられません。
ジャミーンの手術も無事に行われ、乃木と薫の距離は縮まります。
乃木が薫やジャミーンを大切に思う姿は、後半で父やノコルと向き合う際の判断にもつながります。
幼い頃に家族を奪われた乃木にとって、二人は「守るべき任務対象」ではなく、自分がもう一度築こうとしている家族の形でもあったのでしょう。
第7話|乃木はなぜ別班の仲間を撃ったのか
第7話で乃木は別班の仲間を銃撃しますが、後にテントへ潜入するための作戦だったと判明します。
別班は、テントの幹部ノコルを取引現場へ誘い出し、身柄を確保する作戦を実行しました。
乃木、黒須、高田、和田、熊谷、廣瀬の6人はバルカへ入り、テント側との接触を待ち伏せます。
作戦は成功し、別班はノコルを追い詰めました。
ところが、その直後に乃木が仲間へ銃口を向けます。
高田、和田、熊谷、廣瀬が次々と撃たれ、黒須も乃木に制圧されました。
乃木はノコルに対し、自分がベキの実の息子だと告白します。
黒須は、父親に会うために仲間を裏切ったように見える乃木へ、激しい怒りをぶつけました。
この時点では、乃木が本当に国家を捨てたのか、裏切りを演じているのかは判断できません。
しかし、乃木が重さを手の感覚で正確に測れることや、優れた射撃能力を持つことは、第1話から繰り返し示されていました。
視聴者は、仲間が撃たれた衝撃を受けながらも、「乃木ほどの射手が本当に急所を外すはずがないのか」と考えさせられます。
僕には、あの銃口が仲間だけでなく、乃木自身の帰る場所へ向けられているように見えました。
父を選べば日本を失い、日本を選べば父を失う。引き金を引く指は、人生の交差点で進路を決める心そのものです。

第8話~最終話のあらすじ|テントの目的とベキの生死
第8話|乃木はテントへの潜入に成功したのか
第8話では、DNA鑑定によって乃木とベキの親子関係が確認されます。
しかし、ベキは乃木をすぐには信用しません。
乃木と黒須はテントの拠点へ連行され、乃木が本当に生き別れた息子なのか、別班から送り込まれた潜入要員なのかを試されます。
ベキは乃木に、黒須を撃つよう命じました。
乃木はノコルから銃を渡されて発砲しますが、弾丸は黒須から外れます。銃には1発しか入っておらず、再び撃つことはできませんでした。
乃木が銃を持った瞬間に弾数を把握し、意図的に外したと考えることはできます。
ただし、弾数を計量能力で見抜いたと劇中で明言されたわけではないため、ここは伏線に基づく考察として分ける必要があります。
乃木はテント内部で帳簿整理を任され、数字への強さを発揮します。
孤児院へ送られた米の量と実際の消費量が合わないことに気づき、施設責任者による横流しを見抜きました。
米袋を持った感覚だけで不足を察知した乃木に、ベキは自分と同じ計量能力を見ます。
血液や書類だけでなく、身体に刻まれた感覚が親子を証明する場面でした。
帳簿からは、テントが暗殺、誘拐、サイバー攻撃などの危険な依頼を請け負い、報酬を得ていたことも分かります。
一方、得た資金の主な用途は、孤児院、学校、農地などの運営でした。
テントは善意だけで動く組織ではありません。
孤児を救った事実と、犯罪行為によって資金を得た事実は、どちらも消すことができないのです。
さらに乃木は、テントが数年前から広大な土地の購入へ多額の資金を投じていることに気づきました。
この土地が、組織の将来を左右する鍵になります。
第9話|ベキはなぜテントを作ったのか
第9話では、ノゴーン・ベキの本名が乃木卓であることと、テントを作るまでの過去が明かされます。
卓は妻の明美、幼い息子の憂助とともにバルカで暮らしていました。
表向きは農業使節団の一員でしたが、実際には公安の任務で現地の情報収集を行っていたのです。
やがてバルカで内乱が発生し、一家は武装勢力に襲撃されます。
卓は日本側へ救出を求めました。
しかし、秘密任務の発覚を恐れた当時の公安上層部は、救出を打ち切ります。
卓と明美は拘束され、明美は命を落としました。幼い憂助も両親から引き離され、行方が分からなくなります。
瀕死の卓を救ったのが、後に側近となるバトラカでした。
家族を失った卓はノゴーン・ベキと名乗り、戦争で親を失った子どもたちを保護するようになります。
ノコルも、ベキに救われ、息子として育てられた孤児の一人です。
乃木とノコルに血のつながりはありません。
それでも、同じ父から愛情を受け、同じ父に認められたいと願う二人は、血縁とは異なる意味で兄弟でした。
テントが購入していた土地の地下には、重要な鉱物資源である蛍石が眠っていました。
蛍石の採掘事業が軌道に乗れば、危険な依頼を請け負わなくても、孤児院や学校を運営できる可能性があります。
ところが、外務大臣ワニズや共同事業者のゴビが蛍石の利権を狙い、ノコルたちを排除しようと動きます。
一方、日本では、乃木が銃撃した別班員4人の生存も明らかになりました。
乃木は正確な射撃で急所を避け、仲間が救命される可能性を残していたのです。
第7話の裏切りは、テントへ潜入するための作戦でした。
ただし、父に会いたかったという乃木の感情まで偽物だったわけではありません。
任務としての嘘に、息子としての本心が混ざっていたからこそ、乃木の潜入はベキの前でも一定の説得力を持ったのだと思います。

最終話|蛍石事業を守り、乃木がベキの復讐を阻止
最終話では、乃木とノコルが蛍石事業を守り、乃木がベキによる上原史郎への復讐を阻止します。
乃木が別班の潜入要員だったことは、ベキたちに知られました。
それでも乃木は、テントを壊滅させるだけではなく、犯罪行為に依存しない形で孤児支援を続けられる道を探します。
野崎とバルカ警察のチンギスも、蛍石事業を守るために協力しました。
チンギス自身も、幼い頃にベキの支援を受けた孤児の一人だったのです。
序盤では乃木たちを追い詰める敵だったチンギスが、最終話では同じ目的のために動きます。
この反転は、「敵か味方か、味方か敵か」という作品の言葉を象徴するものでした。
乃木たちは、ワニズとゴビが蛍石の利権を奪うため、ノコル側へ不利な契約を迫った過程を明らかにします。
会談で不正を示す材料が提示され、チンギスが動いたことで、ワニズの計画は崩れました。
これにより、蛍石採掘事業をノコルたちが継続する道筋が作られます。
ただし、テントが完全に合法的な組織へ変わったと断定できる描写まではありません。
最終回で示されたのは、危険な依頼に頼らず、蛍石事業の収益によって孤児支援を継続できる可能性です。
その後、ベキ、バトラカ、ピヨは日本へ送還されますが、護送中に逃走します。
逃走を助けたのは、公安の新庄浩太郎でした。
新庄は公安として乃木たちを支援しながら、テントのモニターとしても活動していたのです。
ベキが日本へ戻った目的は、40年前に乃木一家の救出を打ち切った元公安幹部・上原史郎への復讐でした。
ベキ、バトラカ、ピヨは上原邸へ侵入します。
ベキは、妻を失い、息子と引き離された怒りを上原へ突きつけました。
そこへ現れたのが乃木です。
乃木はベキの狙いを読み、復讐を止めるために待ち構えていました。
ベキが刀を手に上原へ近づくと、乃木はベキ、バトラカ、ピヨの3人を銃撃します。
その後、上原邸は炎に包まれました。
公安の記録上、3人は火災によって死亡した扱いになります。
しかし、視聴者には遺体の状態が明確に示されず、乃木の弾丸がどこへ命中したのかも確認できません。
乃木はノコルとの会話で、墓へ「花を手向けるのはまだ先にする」という趣旨の言葉を伝えます。
この言葉は生存説を支える重要な材料ですが、第1シーズンだけでベキたちの生存が確定したわけではありません。
乃木は神田明神で薫、ジャミーンと再会します。
長い任務を終え、ようやく家族のような時間へ戻れるように見えました。
ところが、祠の上には赤い饅頭が置かれています。
第1シーズンのラストでは新たな任務の合図として描かれ、後に続編の公式あらすじで、別班からの緊急招集を示すサインだったことが明記されました。
乃木の家族を捜す旅はひと区切りを迎えましたが、別班員としての任務は終わっていなかったのです。
『VIVANT』最終回の結末を3つのポイントで考察
ベキ、バトラカ、ピヨは本当に死亡したのか
第1シーズンの段階では、ベキ、バトラカ、ピヨの死亡は確定していません。
作中の公安記録では、3人は上原邸の火災で死亡した扱いです。
しかし、遺体の状態は視聴者に明示されず、乃木が3人の急所を撃ったのかどうかも分かりません。
乃木は第7話で別班員4人を撃ちながら、全員の急所を避けていました。
極めて高い射撃能力を持つ乃木が、ベキたちにも同じ処置をした可能性は残ります。
また、ノコルへ伝えた「花を手向けるのはまだ先」という言葉も、3人の生存をにおわせる表現として受け取れます。
ただし、これらは生存説の根拠であり、生存を確定させる証拠ではありません。
僕は、乃木が撃ったのは父の命ではなく、復讐者としての「ノゴーン・ベキ」だったのではないかと考えています。
ベキを死亡扱いにすれば、追跡される立場から姿を消せます。同時に、上原への復讐も止められるからです。
乃木は父を無条件に許したのではありません。
父が復讐に支配されたまま生きる道を、息子として断ち切ろうとしたのではないでしょうか。

第4話と第7話の反転はなぜ強く印象に残るのか
『VIVANT』は、主人公の見え方を二度大きく反転させました。
第4話では、守られる側に見えた乃木が、別班の精鋭だと判明します。
第7話では、国家を守る別班員だった乃木が、仲間を撃ってテント側へ移ったように見えました。
最初の反転は、「乃木は何者なのか」という正体の裏返しです。
二度目の反転は、「乃木は何を信じているのか」という忠誠心の裏返しでした。
しかも、第7話の真相を解く鍵は、乃木の計量能力と射撃能力として、第1話から提示されています。
一つの能力を、商社マンとしての特技、親子の共通点、潜入作戦の伏線として重ねた点に、脚本構造の巧みさがあります。
驚かせるために突然設定を加えたのではありません。
視聴者がすでに見ていた情報の意味を、後から反転させているからこそ、見直したときにも新しい発見が生まれるのです。
乃木は国家と家族のどちらを選んだのか
乃木は、国家と家族のどちらか一方だけを選んだわけではありません。
別班の任務を遂行しながら、父、ノコル、孤児たちの未来を守る第三の道を探しました。
テントを完全に壊滅させれば、日本への潜在的な脅威を排除できます。
しかし、ベキが支援してきた孤児院や学校、農業施設も存続できなくなる恐れがありました。
反対に、父への情だけでテントを見逃せば、犯罪行為を容認することになります。
乃木が選んだのは、危険な活動を続ける理由を減らし、蛍石事業によって孤児支援を維持する道筋を残すことでした。
善と悪の間に線を引くだけではなく、その境界に新しい出口を作ろうとしたのです。
福澤克雄さんが演出した『半沢直樹』では、組織の不正に個人の信念が立ち向かいました。
『下町ロケット』では、巨大企業の論理と、技術を守る人々の誇りが衝突します。
『VIVANT』は同じ構図を、企業から国家、国家から家族へと広げました。
ただ敵を倒して勝つのではなく、相手が守ろうとしたものまで見つめなければ、物語は終わらない。
それが、乃木とベキの対決を単純な勧善懲悪にしなかった理由だと僕は感じます。
まとめ|全10話で描かれた乃木とベキの40年
『VIVANT』第1シーズンは、丸菱商事から送られた約130億円の誤送金をきっかけに始まります。
誤送金を仕組んだ山本巧はテントのモニターであり、事件を追う乃木憂助の正体は別班員でした。
さらに、テントの指導者ノゴーン・ベキが、乃木の実父・乃木卓だと判明します。
テントは危険な依頼を請け負う一方、得た資金を主にバルカ共和国の孤児院、学校、農業施設へ使っていました。
乃木は別班の任務としてテントへ潜入しながら、犯罪行為に依存せず、孤児支援を続けられる道を探します。
最終回では、蛍石事業をノコルへ残す道筋を作り、上原史郎への復讐を果たそうとするベキを阻止しました。
ベキ、バトラカ、ピヨは死亡扱いとなりますが、3人の生死は第1シーズンでは確定していません。
そして神田明神に置かれた赤い饅頭は、乃木への新たな緊急招集を告げていました。
約130億円の誤送金は、物語を動かす最初の一押しにすぎません。
本当に描かれていたのは、40年前に引き裂かれた父と息子が、国家と家族の間でどの道を選ぶのかという物語でした。
僕の胸に最後まで残ったのは、上原邸の炎ではなく、ようやく再会しながら家族として抱き合えなかった父と息子の静かな距離です。
家族を捜す旅が終わっても、赤い饅頭の先で、別班員・乃木憂助の足音は再び動き始めます。
よくある質問
『VIVANT』第1シーズンは全何話ですか?
第1シーズンは全10話です。
2023年7月16日に第1話が放送され、同年9月17日に第10話となる最終回が放送されました。
ノゴーン・ベキの正体は誰ですか?
ノゴーン・ベキの正体は、乃木憂助の実父・乃木卓です。
公安の任務でバルカ共和国へ渡り、家族を失った後、戦争孤児を支援する組織テントを作りました。
最終回でベキは死亡したのですか?
第1シーズンでは、ベキの死亡は確定していません。
公安上は、バトラカ、ピヨとともに上原邸の火災で死亡した扱いです。しかし、遺体や銃撃箇所は明確に描かれず、乃木の発言にも生存をにおわせる余地が残されています。
執筆:岸本 湊人(ドラマ評論家/『ドラマ見届け人・湊の部屋』)
カテゴリー:VIVANT/ドラマあらすじ・最終回考察
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