『LOST10』監督は塚原あゆ子!代表作・泉正英との演出体制・制作秘話を解説

「LOST10」「監督・塚原あゆ子」「泉正英との演出体制」「代表作と制作秘話」。北海道の山岳風景と監督用チェア、撮影カメラを組み合わせた濃紺とシルバーのサスペンス風イラスト LOST10
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TBS金曜ドラマ『LOST10』の監督は塚原あゆ子。泉正英も演出を担当し、奥寺佐渡子の脚本を映像化している。

2026年10月16日に放送が始まった本作には、『Nのために』『最愛』で実績を重ねた制作陣が再集結した。

塚原監督の代表作と泉正英の経歴、北海道ロケの舞台裏、横浜流星との役づくりまで、公式情報と制作インタビューから詳しく読み解いていく。

『LOST10』監督・演出の結論

塚原あゆ子が中心的な監督として紹介され、TBS公式スタッフ欄には塚原あゆ子と泉正英の2人が「演出」として掲載されている。

脚本は奥寺佐渡子、プロデュースは新井順子。塚原監督の代表作には『Nのために』『最愛』『着飾る恋には理由があって』『下剋上球児』などがある。

制作秘話で押さえたいのは、北海道を舞台に選んだ理由、撮影前に全話の脚本を完成させたこと、横浜流星の身体能力が主人公の人物像に影響したことの3点だ。

  1. 『LOST10』の監督は誰?塚原あゆ子と泉正英の演出体制
    1. 『LOST10』の監督・脚本・プロデューサー一覧
    2. 泉正英はどんな演出家?過去の担当作品を紹介
    3. 第1話・第2話は塚原監督が担当した?
  2. 塚原あゆ子監督の代表作は?『Nのために』『最愛』との関係
    1. 代表作の放送年と監督としての担当範囲
    2. 『Nのために』と『最愛』は何が共通している?
    3. 『最愛』では塚原監督が演出賞を受賞
  3. 『LOST10』はどう生まれた?奥寺佐渡子・新井順子との制作秘話
    1. 『下剋上球児』の終了後、次の作品を模索
    2. 奥寺佐渡子は全話脚本を撮影開始前に完成
    3. 奥寺脚本の「説明の少なさ」を監督がどう補うか
  4. 北海道ロケを選んだ理由は?塚原監督のサスペンス演出
    1. 防犯カメラが少ない山で証言の重みが変わる
    2. 約3週間の北海道ロケで天候が変化
    3. 小駒と直の職業の違いも演出の鍵になる
  5. 横浜流星との役づくりで何が変わった?塚原監督の演出を考察
    1. 能力がない刑事ではなく、能力を生かせない刑事へ
    2. 小駒の衣装や部屋にも生活感を反映
    3. 出演者のコメントから分かる現場の姿勢
  6. 『最愛』と『LOST10』の演出は何が違う?制作方針から考察
    1. 『最愛』の成功を再現するのではなく、新しい構造へ
    2. 「すべてを疑え」と人間ドラマは両立するのか
    3. 『LOST10』の今後で確かめたい演出のポイント
  7. 『LOST10』監督・演出スタッフと制作秘話のまとめ
  8. よくある質問
    1. 『LOST10』の監督は塚原あゆ子だけですか?
    2. 『LOST10』の脚本家は誰ですか?
    3. 『LOST10』は原作のあるドラマですか?
  9. 参考

『LOST10』の監督は誰?塚原あゆ子と泉正英の演出体制

『LOST10』の監督としてTBSの制作インタビューで紹介されているのは、塚原あゆ子(つかはら あゆこ)。

ただし、作品全体の演出スタッフは塚原監督だけではない。TBS公式サイトのスタッフ欄には、塚原あゆ子と泉正英(いずみ まさひで)の2人が演出担当として明記されている。

まずは、この違いから整理しておこう。

『LOST10』の監督・脚本・プロデューサー一覧

2026年10月24日時点で確認できる『LOST10』の主要スタッフは、次のとおり。

担当氏名・内容
監督として紹介塚原あゆ子
公式スタッフ欄の演出塚原あゆ子、泉正英
脚本奥寺佐渡子
プロデュース新井順子
編成荒木沙耶
音楽Gabriele Roberto
主題歌Maya「LOST」
製作TBSスパークル、TBS
放送開始2026年10月16日(金)
放送枠TBS系・毎週金曜22時

TBS公式 YouTuboo/公式紹介映像

放送・作品紹介の公式情報を確認できるため。記事で扱う対象の公式映像です。予告・先行映像には該当話の内容が含まれます。本編で確定した内容とは区別してください。

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公式掲載元確認日:2026-10-24。掲載当時の情報と現在の放送状況は区別してください。

この情報は、TBS公式サイトの「STAFF/スタッフ」と番組案内で確認できる。

特に重要なのは、作品全体の演出担当と、各話を実際に演出した担当者は別の情報という点だ。

テレビドラマでは、複数の演出家が作品に参加することがある。公式スタッフ欄に名前が掲載されていても、その人物が全話を単独で演出したとは限らない。

『LOST10』でも、塚原監督が作品全体の中心的な監督として紹介されている一方、泉正英も演出に名を連ねている。

僕が大切だと考えるのは、単に監督の人数を数えることではない。

誰が物語を作り、誰が映像として具体化し、その制作を誰が支えているのか。

この役割を整理すると、作品の見方も少し変わってくる。

泉正英はどんな演出家?過去の担当作品を紹介

泉正英は、『LOST10』以前にもTBS系ドラマの演出を担当してきた人物だ。

TBSスパークルの作品紹介ページでは、『インビジブル』『マイ・セカンド・アオハル』『王様に捧ぐ薬指』『ライオンの隠れ家』などに演出スタッフとして参加したことが確認できる。

代表的な担当作品を放送年とともに整理した。

放送年作品名泉正英の担当
2020年『病室で念仏を唱えないでください』演出
2022年『インビジブル』演出
2022年『ユニコーンに乗って』演出
2023年『王様に捧ぐ薬指』演出
2023年『マイ・セカンド・アオハル』演出
2024年『ライオンの隠れ家』演出
2025年『19番目のカルテ』演出
2026年『LOST10』演出

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『インビジブル』は刑事と犯罪コーディネーターが協力するサスペンス、『ライオンの隠れ家』は家族関係と事件の謎が絡み合うヒューマンサスペンス。

一方、『王様に捧ぐ薬指』や『マイ・セカンド・アオハル』では、恋愛や人生の転機を描くドラマにも関わっている。

つまり泉は、サスペンスだけでなく、医療ドラマや恋愛ドラマなど、複数のジャンルで演出経験を積んできた人物といえる。

ここは、以前の記事では十分に触れられていなかった重要な部分だ。

塚原監督の知名度が高いため、制作スタッフの説明も塚原監督だけに集中しやすい。

しかし、『LOST10』には泉正英という、別の作品で経験を重ねてきた演出家も参加している。

その事実を知ることで、作品が一人の監督だけで完成するものではないことが見えてくる。

ただし、泉が担当した過去作品の特徴を、そのまま『LOST10』の個別場面の演出に結びつけることはできない。

今回確認できるのは、泉が複数のジャンルで演出を担当してきた経歴と、『LOST10』の演出スタッフに参加している事実までになる。

第1話・第2話は塚原監督が担当した?

『LOST10』第1話は2026年10月16日、第2話は10月23日に放送された。

第2話のTBS番組案内には、スタッフとして塚原あゆ子の名前が「演出」に掲載されている。

一方、番組公式サイトの作品全体のスタッフ欄には、塚原と泉の両名が掲載されている。

このため、番組案内と作品全体のスタッフ一覧を同じ意味で扱うことは避けたい。

注意:放送回ごとの演出担当について

TBS公式サイトでは塚原あゆ子と泉正英の演出参加を確認できるが、今回の調査では第1話・第2話のエンドクレジットを直接照合できていない。

そのため、各話の担当範囲や共同演出の詳細については、確認できた公式表記を超えて断定しない。

塚原監督がどのような制作方針を持っているかは、公開インタビューから読み取れる。

一方、個々の場面を誰が演出したのかについては、放送クレジットなど、より具体的な資料が必要になる。

監督の名前を調べるとき、この二つを混同しないことが大切だと思う。

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※画像はAIによるイメージ

塚原あゆ子監督の代表作は?『Nのために』『最愛』との関係

塚原あゆ子監督の代表作として、『LOST10』とのつながりが特に深いのは、2014年の『Nのために』と2021年の『最愛』だ。

いずれも奥寺佐渡子が脚本を担当し、新井順子がプロデューサーを務めた作品である。

さらに『着飾る恋には理由があって』『下剋上球児』などでも、塚原監督は演出に関わってきた。

代表作の放送年と監督としての担当範囲

TBSの作品情報や過去の制作スタッフ紹介をもとに、主な作品を整理すると次のようになる。

放送年作品塚原あゆ子の役割
2014年『Nのために』監督・ディレクターの一人
2018年『アンナチュラル』演出・監督
2019年『グランメゾン東京』チーフディレクター
2020年『MIU404』チーフディレクター
2021年『着飾る恋には理由があって』チーフディレクター
2021年『最愛』チーフディレクター
2023年『下剋上球児』演出
2024年『海に眠るダイヤモンド』演出
2026年『LOST10』監督として紹介・演出

『Nのために』のTBSチャンネル作品情報には、塚原監督のほか、山本剛義、阿南昭宏が監督・ディレクターとして掲載されている。

『最愛』も、塚原監督だけの単独演出ではない。TBSの作品情報では、山本剛義、村尾嘉昭とともに監督・ディレクターとして名前が載っている。

また、TBSの『石子と羽男ーそんなコトで訴えます?ー』制作インタビューでは、塚原監督が『最愛』『着飾る恋には理由があって』『MIU404』『グランメゾン東京』でチーフディレクターを務めたことが紹介されている。

こうして見ると、塚原監督は長年、さまざまな演出家と協力しながら作品を作ってきたことが分かる。

『LOST10』で泉正英が参加していることも、その制作経験の延長にあると捉えられる。

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『Nのために』と『最愛』は何が共通している?

『Nのために』は、湊かなえの小説を原作に、過去の事件と複数の人物の関係を描いた2014年のサスペンスドラマ。

『最愛』は2021年に放送され、事件の真相を追う過程で、登場人物たちの過去や大切な人との関係が浮かび上がる物語だった。

両作品に共通するのは、単に犯人を見つけることだけが物語の目的ではないところだ。

事件を調べていく中で、それまで見えていなかった人物の事情が明らかになり、同じ行動が別の意味を持つようになる。

ただし、二作品は同じ脚本構成ではない。

『Nのために』には原作小説があり、『最愛』はドラマのオリジナル作品として制作された。

脚本の出発点そのものが異なる。

僕は、ここに塚原監督らの制作チームを考える手がかりがあると思う。

同じスタッフが参加していても、扱う原作や物語の構造によって、映像化で向き合う課題は変わる。

『LOST10』では、さらに別の課題が用意された。

北海道の遭難事件を出発点に、物語が何度も方向を変えていくヒューマンサスペンスを作ること。

過去作との共通点は制作陣の顔ぶれにあり、違いは物語の設計にある。

『最愛』では塚原監督が演出賞を受賞

『最愛』は作品そのものだけでなく、塚原監督の演出も評価された。

TBSの2022年10月25日付ニュースでは、東京ドラマアウォード2022において、『最愛』が連続ドラマ部門の作品賞グランプリを獲得し、塚原監督が演出賞を受賞したことが紹介されている。

これは、単に人気作品を手がけたという実績とは少し違う。

演出という仕事そのものが、賞という形で評価されたことを示している。

もちろん、過去に受賞しているからといって、『LOST10』の演出が必ず高く評価されるわけではない。

それでも、制作陣が再び集まる背景を理解するには、重要な実績だ。

『最愛』で確かな評価を得たチームが、今回はどのような表現を選ぶのか。

その疑問を考えるうえで、次に見ておきたいのが企画の始まりになる。

※画像はAIによるイメージ

『LOST10』はどう生まれた?奥寺佐渡子・新井順子との制作秘話

『LOST10』の企画は、『下剋上球児』の制作終了後に、塚原監督と新井順子プロデューサーが次の作品を検討したことから動き始めた。

最初から2026年10月の金曜ドラマとして決まっていたわけではない。

制作インタビューでは、企画の構想から脚本の完成まで、いくつかの重要な経緯が明かされている。

『下剋上球児』の終了後、次の作品を模索

2026年10月15日にTBSが公開した「脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子、金曜ドラマ『LOST10』はどう生まれた?」という制作インタビューで、塚原監督は企画の出発点を語っている。

『下剋上球児』の制作が終わった後、次にどのような作品を作るかという話が出ていたという。

当初は、具体的な放送時期や放送枠が決まっていたわけではなかった。

その中で塚原監督らが考えたのが、一つの事件を同じ形で追い続けるのではなく、展開が何度も変化するサスペンスだった。

企画書を作り、新井プロデューサーと相談したうえで、奥寺佐渡子に脚本を依頼する流れになった。

奥寺は『Nのために』『最愛』などで制作陣と仕事をしてきた脚本家だ。

映画『八日目の蝉』『国宝』、アニメーション映画『時をかける少女』『サマーウォーズ』など、幅広いジャンルでも脚本を手がけている。

その奥寺が、今回もオリジナル作品の脚本を担当することになった。

興味深いのは、制作陣が過去の成功をそのまま繰り返そうとしなかったことだ。

制作インタビューでは、塚原監督と奥寺が、以前の作品と同じ内容にならないよう意識していたことを明かしている。

長く一緒に仕事をしてきたスタッフだから、以前の作り方をそのまま使うのではない。

LOST10 【公式】 TBS金曜ドラマ/2026-10-20の公式動画投稿

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むしろ、お互いの経験を知っているからこそ、違う形を探す。

僕には、そこが今回の再タッグの大きな意味に思える。

奥寺佐渡子は全話脚本を撮影開始前に完成

『LOST10』では、撮影が始まる前に全話分の脚本が完成していたことも、制作上の特徴になっている。

奥寺は公開インタビューで、その制作過程について説明している。

ドラマでは、撮影が進む中で後半の脚本が調整される場合もある。

しかし、今回は北海道でのまとまったロケが予定されていたこともあり、物語全体を早い段階で具体化する必要があった。

塚原監督によると、北海道ロケは約3週間にわたって行われた。

遠方での撮影では、出演者のスケジュール、撮影場所、天候など、さまざまな条件を調整しなければならない。

脚本が先に完成していれば、必要な場所や小道具、衣装などをまとめて準備しやすくなる。

一方、脚本家にとっては、撮影現場で生まれた新しい発想を後から物語へ反映しにくいという側面もある。

奥寺も、その点について触れていた。

ここで僕が注目したいのは、脚本を先に完成させることと、人物の表現を固定することは同じではないという違いだ。

物語の大きな流れが決まっていても、実際に俳優が演じたとき、人物の印象が変わることはある。

『LOST10』では、その具体例が主人公・小駒の役づくりに表れている。

完成した脚本を土台にしながら、現場では人物の細部を探っていく。

この二つが並行して進められたことに、制作の難しさと工夫が見えてくる。

奥寺脚本の「説明の少なさ」を監督がどう補うか

2026年10月17日公開のMANTANWEBのインタビューでは、塚原監督が奥寺の脚本について、山場となる場面で言葉が少なくなる特徴を語っている。

これは、奥寺のすべての脚本やすべての場面に当てはまるという意味ではない。

監督が今回の制作経験を踏まえて紹介した、脚本の一つの特徴になる。

重要な場面を台詞ですべて説明する方法もあるが、人物の行動や映像によって伝える方法もある。

後者では、脚本に書かれていない細部を、監督や俳優がどのように具体化するかが問われる。

僕は、ここに塚原監督と奥寺の長年の協力関係が生きていると読む。

脚本家が言葉を減らした部分を、監督が勝手に意味づけするのではない。

何を伝え、何を観客の解釈に残すのか。その加減を探る仕事になる。

『LOST10』で制作陣が目指したのは、謎を増やすことだけではないはずだ。

人物の行動を見た視聴者が、すぐには一つの答えにたどり着けない状況を作ること。

脚本の余白は、そうしたサスペンスと相性のよい要素と考えられる。

ただし、具体的なカット構成や沈黙の長さについては、本編映像を直接比較した結果ではないため、ここでは制作インタビューから読み取れる範囲にとどめたい。

※画像はAIによるイメージ

北海道ロケを選んだ理由は?塚原監督のサスペンス演出

『LOST10』の舞台に北海道の山岳地帯が選ばれた理由は、防犯カメラや通信記録による確認が難しく、人の証言が重要になる環境を作るためだ。

塚原監督は、現代の事件を描くときに、客観的な記録が残りやすいことがサスペンスの構成に影響するという趣旨の説明をしている。

山という環境は、単なる美しい背景ではなかった。

防犯カメラが少ない山で証言の重みが変わる

現代の都市部では、防犯カメラやスマートフォンの記録によって、人がいつ、どこにいたのかを検証できる場合がある。

もちろん、映像が残っていても事件のすべてが分かるわけではない。

それでも、人の記憶だけを頼りにする場合と、記録で確認できる場合では、捜査の進め方が変わってくる。

『LOST10』で制作陣が選んだのは、山や森という、客観的な記録に頼りにくい場所だった。

奥寺も制作インタビューで、携帯電話が使えない環境の重要性に触れている。

物語の発端となるのは、北海道の架空の山・支樺岳(しからだけ)で起きた遭難事件。

登山ツアーの参加者とガイドを合わせた6人が遭難するところから、物語が動き始める。

2026年10月23日放送の第2話では、遺体で発見された二階堂の体内から睡眠薬の成分が検出される。

さらに、二階堂に水を渡した人物について、ツアーガイドの田畠と参加者の亜矢の証言が食い違う。

山岳保険金の受取人が亜矢になった経緯も、疑惑の一つとして描かれる。

ここでは第2話までの公式あらすじに触れているが、事件の犯人や今後の結末を断定するものではない。

監督の演出という観点で考えるなら、重要なのは疑惑の数だけではない。

記録による裏付けが少ない環境だからこそ、人物の証言が事件の理解を大きく左右する。

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山の景色を見せるために北海道を選んだのではなく、山という条件を事件の構造に組み込んだ。

僕は、ここに制作陣の明確な狙いを見る。

約3週間の北海道ロケで天候が変化

北海道での撮影では、実際の天候も大きな要素になった。

2026年10月16日公開の共同通信社のインタビューで、塚原監督は第1話の山岳ロケについて具体的なエピソードを紹介している。

小駒と直が電話をする場面の撮影時、山には濃い霧がかかっていた。

ところが、撮影を進めるうちに天候が変わり、小栗旬の場面を撮る頃には晴れてしまったという。

撮影終盤には、山の全景まで見える状態になった。

同じ山であっても、霧に覆われているときと、遠くまで見渡せるときでは、映像の条件がまったく異なる。

そこで問題になるのは、単に景色がきれいに撮れるかどうかではない。

同じ場面を構成する複数のカットで、天候が違って見える可能性があることだ。

監督には、自然環境の変化を受け止めながら、場面のつながりを成立させる判断が求められる。

計画していた映像と、現場で実際に撮影できる映像は必ずしも一致しない。

この違いが、北海道ロケのエピソードからよく分かる。

僕が興味深いのは、制作陣が山の環境を物語の設定として利用しながら、現実の撮影ではその環境に対応しなければならなかったこと。

脚本にとって山は、通信や証言に制約を与える場所。

撮影現場にとって山は、天候や視界が変わる場所になる。

同じ北海道の山でも、物語を作る立場と映像を撮る立場では、向き合う課題が違う。

そこに、実際のロケでドラマを作る難しさが表れている。

小駒と直の職業の違いも演出の鍵になる

『LOST10』では、横浜流星(よこはま りゅうせい)演じる刑事・小駒と、小栗旬(おぐり しゅん)演じるフリーの保険調査員・直が、遭難事件の真相を追っていく。

塚原監督は共同通信社のインタビューで、警察と保険調査員の着眼点の違いについて説明している。

刑事が人物の行動や事件の経緯を調べるのに対し、保険調査員は金銭的な事情や動機にも注目する。

制作にあたっては、実際の保険調査員への取材も行われたという。

同じ事件を調べていても、二人は立場が異なる。

刑事の小駒には、捜査という仕事の中で事件を理解しようとする視点がある。

一方、直には、保険契約や金銭面から出来事を捉える視点がある。

この違いは、視聴者が事件を考えるうえでも一つの手がかりになる。

僕は、二人を組ませた意味は、捜査方法の違いを説明することだけではないと考える。

一つの事実に対して、複数の疑問を持てること。

誰かの行動を不自然だと感じたとしても、その理由を一方向からしか考えなければ、別の可能性を見落とすかもしれない。

小駒と直の異なる立場は、同じ事件を複数の角度から考えるための仕組みになっている。

制作陣が保険調査員への取材まで行った背景には、その違いを人物設定だけで終わらせず、物語の中で具体化する意図があったと読める。

※画像はAIによるイメージ

横浜流星との役づくりで何が変わった?塚原監督の演出を考察

『LOST10』の制作秘話で、僕が特に重要だと考えるのが、横浜流星の身体能力によって主人公・小駒の人物像が具体化したというエピソードだ。

塚原監督は、当初想定していた小駒の印象と、横浜が実際に山を登る姿から受けた印象に違いがあったことを明かしている。

これは、俳優の特徴が役柄の受け取り方に影響した具体例になる。

能力がない刑事ではなく、能力を生かせない刑事へ

小駒は、北海道の所轄警察署で働く刑事。

正義感と出世欲がありながら、大きな事件が少ない環境で、自分の能力を十分に発揮できずにいる人物として紹介されている。

塚原監督は、当初の小駒について、地方でなかなか活躍できない刑事という印象を持っていた。

しかし、横浜が実際に山を登る姿を見て、その人物像の捉え方に変化が生まれたという。

横浜は身体能力が高く、山岳地帯で動く姿にもその特徴が表れていた。

そこから、小駒は単に頼りない刑事というより、能力を持ちながら十分に発揮する機会に恵まれていない人物として具体化していった。

この違いを整理すると、次のようになる。

比較項目当初の人物像の捉え方役づくりで具体化した見方
小駒の立場地方で活躍できない刑事能力を発揮する機会が少ない刑事
注目する点活躍できていない現状身体能力と置かれた環境の関係
人物の印象不遇な立場が中心実力を秘めた人物という側面
制作上の変化脚本段階の人物設定俳優の特徴を踏まえた具体化

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これは監督の説明をもとにした整理であり、脚本の設定が全面的に書き換えられたという意味ではない。

重要なのは、小駒を見るときの基準が変わったことだ。

能力がないために活躍できない人物なら、物語の焦点は能力をどう身につけるかに向かいやすい。

しかし、能力があるのに活躍できない人物なら、焦点は別のところへ移る。

その能力を発揮する機会がなかったのか。

置かれた環境と本人の力が合っていなかったのか。

あるいは、本人がまだ自分の力を十分に理解できていないのか。

もちろん、これらは小駒の過去や心理についての確定情報ではない。

ただ、人物を見るための問いが変わることは確かだ。

僕は、小駒の不遇さを能力不足ではなく、能力と環境の不一致から捉えられるようになった点に、今回の役づくりの大きな意味があると思う。

塚原監督は、最初に決めた人物像を守ることだけに集中したのではない。

横浜という俳優が実際に持つ特徴を見て、役柄の可能性を捉え直した。

脚本を尊重しながら、俳優の個性も生かす。

その両方が必要な仕事なのだと感じる。

小駒の衣装や部屋にも生活感を反映

横浜流星との役づくりは、身体能力だけにとどまらない。

2026年10月15日のTBS制作インタビューでは、小駒の衣装や部屋についても、横浜とスタッフが相談しながら具体化したことが紹介されている。

例えば、部屋にどのような物が置かれているのか。

ベッドの近くでテレビを見るような生活をしているのか。

毎日の身だしなみを、どの程度整える人物なのか。

こうした細部から、小駒の日常生活を形づくっていったという。

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衣装にも設定がある。

塚原監督によると、小駒には、都市部で流行した服が地方に時間差で伝わり、古着として手に入れたような設定が取り入れられている。

さらに、物語が進む中で服装にも変化があるという。

この説明で興味深いのは、衣装を単なる見た目の飾りとして扱っていないことだ。

身につけている服は、その人物がどのような環境で暮らし、何を選んできたのかを考える材料になる。

ただし、衣装だけで小駒の経済状況や過去の経験まで断定することはできない。

確認できるのは、制作陣が服装や美術によって生活感を具体化しようとしていることだ。

小栗旬が演じる直についても、コートの丈や着こなし方を、本人と衣装スタッフが相談したという。

刑事の小駒と保険調査員の直は、仕事も性格設定も異なる。

その違いを台詞だけで説明するのではなく、身につけるものからも表現していく。

こうした制作過程を知ると、人物の外見を考えるときにも、単純に似合うかどうかだけでは判断できなくなる。

出演者のコメントから分かる現場の姿勢

塚原監督の制作姿勢については、出演者の公開コメントにも手がかりがある。

飯豊まりえ(いいとよ まりえ)は、今回初めて塚原監督と仕事をした際の印象について、俳優や役柄と丁寧に向き合う姿勢を語っている。

市川実日子(いちかわ みかこ)は、役の背景を考えるときに、塚原監督が一緒に考えてくれることについて触れている。

中村アン(なかむら あん)は、『着飾る恋には理由があって』以来となる塚原監督と新井プロデューサーとの再タッグについて語っている。

また、井口理(いぐち さとる)は、『MIU404』以来となる制作チームとの仕事に触れ、撮影現場の雰囲気についてコメントしている。

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これらは公開インタビューで紹介された出演者の発言を要約したもので、すべての撮影現場が常に同じ雰囲気だったという意味ではない。

ただ、複数の出演者が役づくりや制作スタッフとの関係について言及していることは参考になる。

俳優が役柄について考え、監督もその考えを受け止める。

横浜の身体能力によって小駒の印象が変わったという話も、そうした制作のあり方とつながっている。

僕がここから読み取るのは、監督が人物の完成形を一方的に与えるだけではなく、俳優とともに具体化していく姿勢だ。

もちろん、塚原監督だけがすべての役づくりを担当したわけではない。

衣装、美術、撮影など、さまざまなスタッフの仕事が重なって一人の人物が映像の中に成立している。

監督の仕事を知ることは、結果として、その周囲で働く人たちの役割を知ることにもつながる。

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『最愛』と『LOST10』の演出は何が違う?制作方針から考察

『最愛』と『LOST10』には、塚原あゆ子、奥寺佐渡子、新井順子という共通の制作陣がいる。

一方、今回の制作インタビューから確認できる最大の違いは、『LOST10』では物語が何度も方向を変えるサスペンスを目指していることだ。

ここからは、公式に語られた制作方針と、僕自身の考察を分けて整理したい。

『最愛』の成功を再現するのではなく、新しい構造へ

2026年10月15日のTBS制作インタビューで、塚原監督と奥寺は、過去に手がけた作品と同じ内容にならないよう意識していたことを説明している。

『Nのために』『最愛』という実績がある以上、視聴者が似た雰囲気のサスペンスを期待することは自然だろう。

しかし、『LOST10』の企画では、一つの事件を最後まで同じ形で追うのではなく、物語の方向が次々と変わることが重視された。

遭難事件から始まった物語に、睡眠薬の検出や食い違う証言、保険金を巡る疑惑が重なっていく。

第2話までの公式あらすじを見る限り、事件を理解するための材料が段階的に増えている。

ここで比較したいのは、特定のカメラワークや音楽の使い方ではない。

制作陣が、何を物語の中心的な課題として設定したかという違いだ。

『最愛』では、事件と人間関係が複雑に結びついた物語が描かれた。

『LOST10』では、遭難という出来事を起点に、疑惑が広がり、事件そのものの捉え方が変化していく構成が目指されている。

同じサスペンスというジャンルでも、視聴者に何を追わせるかによって物語の設計は変わる。

僕は、塚原監督らが過去作との違いを意識したという発言を、この物語設計の違いから読むのが自然だと思う。

過去作で評価された演出手法を、そのまま別の事件へ移し替えるのではない。

新しい物語に合う映像表現を探す必要がある。

そこに、再タッグでありながら新しい作品を作る難しさがある。

「すべてを疑え」と人間ドラマは両立するのか

『LOST10』の宣伝では、「すべてを疑え」という言葉が使われている。

一方、新井順子プロデューサーは、疑うことだけでなく、信じる強さも描く人間ドラマだと説明している。

この二つの考えは、必ずしも対立しない。

事件を調べるには、証言や証拠を慎重に検証しなければならない。

しかし、疑わしい情報が出たという理由だけで、その人物が犯人だと決まるわけでもない。

第2話の保険金受取人を巡る疑惑も、その違いを考える材料になる。

受取人であるという事実と、事件へ関与したという結論は同じではない。

人物について何か新しい情報が示されたとき、視聴者はその人物への評価を変えるかもしれない。

けれども、その情報だけで人物のすべてが説明できるとは限らない。

僕は、『LOST10』が人間ドラマとして大切にしているのは、疑うこと自体を目的にしない姿勢ではないかと考える。

疑うためには、相手の行動をよく見る必要がある。

信じるためにも、都合の悪い情報から目をそらさず、相手を理解しようとする必要がある。

どちらも、簡単に答えを出さないという点でつながっている。

制作陣が掲げるサスペンスの方向性と、人間ドラマとしての主題は、この部分で結びついているように思える。

『LOST10』の今後で確かめたい演出のポイント

2026年10月24日時点では、『LOST10』は第2話まで放送されている。

今後の演出を見るうえで、僕が特に確かめたいのは、小駒という刑事がどのように描かれていくかという点だ。

横浜の身体能力を踏まえ、小駒は能力を発揮しきれていない人物として具体化された。

では、その能力が事件の調査でどのように生かされていくのか。

人物の行動が変わるのか。

それとも、周囲が小駒の能力を認識することで、人物同士の関係に変化が生まれるのか。

現時点で先の展開は断定できないが、監督の役づくりに関する説明を踏まえると、確かめたい部分になる。

もう一つは、北海道という場所の使い方だ。

第1話では、ロケの最中に霧から晴天へと天候が変わったエピソードが語られている。

撮影現場の条件が変わる中で、どのような映像が選ばれたのか。

山の景色をどの程度見せるのか。

人物の位置関係を、どのように理解させるのか。

本編映像を直接比較することで初めて具体的に評価できる項目もある。

そのため、制作陣のインタビューだけから特定の映像技法を使っていると決めつけることは避けたい。

ただ、監督がどのような課題に向き合っていたのかを知っていれば、映像を見るときの着眼点は増える。

『LOST10』で僕が最も気になるのは、事件の犯人をどう隠すかだけではない。

俳優の特徴から生まれた小駒の人物像と、複雑に変化する事件の構成が、どのように一つのドラマとして結びつくのか。

そこに、塚原監督の今回の挑戦が表れると考えている。

『LOST10』監督・演出スタッフと制作秘話のまとめ

『LOST10』の中心的な監督は塚原あゆ子。TBS公式スタッフ欄には、泉正英も演出担当として掲載されている。

塚原監督は『Nのために』『最愛』『着飾る恋には理由があって』『下剋上球児』などに関わり、泉正英も『インビジブル』『ライオンの隠れ家』など、幅広いジャンルで演出経験を積んできた。

今回の制作秘話で特に重要なのは、北海道を舞台に選んだ理由、撮影前に全話脚本を完成させたこと、そして横浜流星の身体能力を踏まえて小駒の人物像が具体化されたことだ。

なかでも僕が注目しているのは、小駒が単に能力のない刑事ではなく、能力を生かす機会に恵まれていない人物として捉え直された点になる。

脚本に書かれた設定を、俳優が演じることでさらに具体化する。

その変化を受け止めることも、監督の大切な仕事なのだと思う。

過去作で実績を重ねた制作陣が、『LOST10』では新しい物語構造に挑んでいる。

今後は、人物設定と完成映像がどのようにつながっていくのかを、放送回ごとの演出担当も含めて確かめていきたい。

よくある質問

『LOST10』の監督は塚原あゆ子だけですか?

塚原あゆ子が中心的な監督として紹介されているが、TBS公式スタッフ欄には泉正英も「演出」として掲載されている。

各話の詳しい演出分担については、放送回ごとのクレジットによる確認が必要になる。

『LOST10』の脚本家は誰ですか?

脚本は奥寺佐渡子(おくでら さとこ)が担当している。

『Nのために』『最愛』のほか、映画『八日目の蝉』『国宝』なども手がけた脚本家で、『LOST10』では撮影開始前に全話分の脚本を完成させている。

『LOST10』は原作のあるドラマですか?

『LOST10』は、TBSが完全オリジナル作品として発表したヒューマンサスペンスだ。

特定の小説や漫画を原作とする映像化作品ではなく、奥寺佐渡子の脚本を塚原あゆ子らが演出している。

情報確認時点:2026年10月24日。制作体制はTBS公式『LOST10』スタッフ情報、代表作はTBSチャンネルの『Nのために』『最愛』作品情報およびTBSスパークルの作品紹介を参照した。

制作秘話はTBS DRAMAが2026年10月15日に公開した「脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子、金曜ドラマ『LOST10』はどう生まれた?」、共同通信社が10月16日に公開した「ドラマ『LOST10』脚本・奥寺佐渡子×監督・塚原あゆ子 横浜流星と小栗旬が演じるバディの魅力と制作の舞台裏を語る」、MANTANWEBが10月17日に公開した制作インタビューなどをもとに整理した。

第2話の事件内容については2026年10月23日のTBS公式番組案内と照合している。本文の演出に関する分析は、制作陣の発言をもとにした筆者の考察であり、完成映像の全カットを直接比較した結果ではない。

参考

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