ドラマ『キャスター』は完全オリジナル！脚本家6人の狙いと過去作を徹底解説

2025年春のTBS日曜劇場『キャスター』は、阿部寛主演で話題の社会派エンタメドラマですが、原作の存在しない完全オリジナル作品です。

ドラマはテレビ局の報道番組を舞台に、生放送中に真実を暴く型破りなキャスターが、不正に立ち向かう姿を描いています。

脚本は日本の連ドラとしては異例の6人体制による共同執筆で進められており、それぞれの視点と専門性が複雑な社会テーマにリアリティと深みを加えています。

今回は、『キャスター』の原作がなぜ存在しないのか、脚本家チームの構成とその魅力、そして彼らの過去作を丁寧に解説します。

『キャスター』に原作はない！完全オリジナル脚本で描く報道の裏側

TBS日曜劇場『キャスター』には原作が一切存在しません。

これは完全オリジナル脚本で構成された社会派エンターテインメントであり、現代の報道現場と倫理観をリアルかつ鋭く描いています。

テレビ局内の報道番組を舞台に、生放送中に真実を暴き出す主人公・進藤壮一（阿部寛）の行動が、視聴者に衝撃と快感を与える構成となっています。

原作がないからこそ描ける“今”のリアル

『キャスター』が原作を持たない理由は、「報道を巡るリアルな課題を、自由に、迅速に反映する」ことを目的としているためです。

原作付きのドラマでは難しい、社会情勢に即したテーマ選定と演出が可能になるため、視聴者の共感を得やすくなります。

実際の社会問題を題材にしたストーリー展開

『キャスター』の各話では、実在の事件やニュースにインスパイアされたテーマが取り上げられています。

• 第2話：スポーツ通訳による賭博事件（大谷翔平選手の通訳問題を想起）
• 第3話：iL細胞騒動（STAP細胞問題をベース）
• 第5話：警察による暴行事件の隠蔽（メディアとの癒着問題）

これらのエピソードは視聴者の記憶に新しい出来事とシンクロし、「これは実話？」と錯覚するリアリティを生み出しています。

公式サイトでも明言された“原作なし”の理由

主演・阿部寛、共演に永野芽郁、道枝駿佑！テレビ局の報道番組を舞台にオリジナル脚本で描く社会派エンターテインメント！（TBS公式サイトより）

以上のように、『キャスター』は原作に頼らない“完全オリジナル”の強みを最大限に活かし、社会性・エンタメ性・時事性の3要素を高次元で融合させた稀有なドラマとなっています。

次回以降もその展開に注目が集まることは間違いありません。

6人体制の脚本家チームによるライターズルーム方式とは？

『キャスター』最大の特徴は、日本では異例ともいえる「脚本家6人体制」を採用している点です。

これは、海外ドラマやハリウッドで主流となっている「ライターズルーム方式」を取り入れた試みであり、複雑な社会テーマを描くために、複数の視点と専門性を集結させることが目的です。

1人の脚本家だけでは描ききれない、多面的でリアリティある物語構築が可能になるという点で、ドラマの質を飛躍的に高めています。

そもそも「ライターズルーム方式」とは？

ライターズルーム方式とは、複数人の脚本家がチームでストーリーやキャラクターの設計を行い、話ごとに脚本を分担して執筆する手法です。

海外では、下記のような人気ドラマで採用されており、安定した物語構成と連続性のある脚本作りに強みがあります。

『キャスター』における6人脚本体制のメリット

• 最新社会問題に即応する柔軟な企画力
• 専門分野に強い脚本家が担当するリアリティ
• 緻密な構成による伏線と回収の巧みさ
• トーンやテンポの多様性がシリーズ全体に奥行きを与える

たとえば、第1話では政治家スキャンダル、第2話ではスポーツ界の闇、第3話では科学不正といったように、それぞれ異なる社会問題を軸に据えたエピソードが展開されています。

このように、テーマに応じて脚本家が得意分野を発揮することで、視聴者に新鮮な驚きと深い考察を提供できるのです。

過去の反省を活かした脚本体制の進化

実は2023年放送のTBS日曜劇場『Get Ready！』でも、6人脚本家体制が採用されましたが、構成の統一感に課題があったと指摘されています。

しかし『キャスター』では、明確な役割分担とテーマ性の一貫性が保たれており、脚本チームとしての連携と進化が明確に見られます。

つまり『キャスター』の脚本体制は、“社会を映す鏡”としてのドラマの質を担保する最適解とも言えるのです。

脚本家6人のプロフィールと注目の過去作

『キャスター』の大きな話題となっているのが、日本では極めて珍しい6人脚本家による共同執筆という点です。

これはまさに、ハリウッド式「ライターズルーム方式」の日本型進化形とも言える取り組みで、報道というセンシティブなジャンルに多角的な視点を持ち込むことに成功しています。

『キャスター』脚本家陣の一覧と特徴

以下は、2025年春ドラマ『キャスター』の脚本に関与している6人の脚本家と、代表作・ジャンル傾向をまとめたものです。

各脚本家が物語に与えている役割とは？

• 泉康一：全体構成とシリーズ設計を統括するブレイン的存在
• 高山直也＆小峯裕之：リアルな捜査や警察の描写を担当
• 渡辺啓：意外性あるトリック構築や伏線配置を担う
• 吉田真侑子＆政池洋佑：社会問題の切り口と心理描写の深さを担当

脚本家それぞれが持つ得意分野を活かしながら協力し、重層的で没入感のあるドラマを実現している点が、『キャスター』の最大の強みとなっています。

『Get Ready！』からの教訓を活かした構成力

同じく脚本家6人制を試みた2023年のTBS作品『Get Ready！』では、構成の一貫性やトーンのばらつきが課題となりました。

しかし『キャスター』では、明確なテーマごとの分担、全体統括の存在、各話ごとの一貫した“正義”と“報道”の姿勢が全体に貫かれており、脚本チームとしての成熟度が感じられます。

まさにこの脚本家陣の連携こそが、ドラマ『キャスター』を“日曜劇場の中でも異質かつ挑戦的な作品”に押し上げているのです。

報道×エンタメの融合がもたらす“日曜劇場らしさ”

TBS日曜劇場『キャスター』の最大の魅力は、「報道」と「エンターテインメント」という一見対極の要素を見事に融合させている点にあります。

正義を追求する報道の使命感と、視聴者を惹きつける娯楽性のバランスを巧みに取り、“社会派ドラマ”としてのリアルさと、“痛快ドラマ”としての爽快感を両立させています。

「社会を照らす鏡」としてのドラマの力

『キャスター』は現実社会で起きている問題、たとえば政治腐敗、科学不正、警察の隠蔽などに深く踏み込みながらも、それをヒーロー性のあるキャラクターと劇的な展開でエンタメに昇華しています。

視聴者は、ただ社会問題を突きつけられるのではなく、「自分だったらどうするか？」と考えさせられる構成になっており、ドラマでありながら現代のニュース解説のような側面も持っています。

日曜劇場らしい“感情の揺さぶり”と“正義の痛快さ”

TBS日曜劇場といえば、『半沢直樹』や『下町ロケット』など、「巨大な敵に立ち向かう個人の正義」を描いてきた作品群が思い出されます。

『キャスター』でも同様に、進藤キャスターが一見不可能に思える不正や隠蔽を次々と暴いていく姿は、“令和版・正義の味方”としての新たなヒーロー像を提示しています。

• 生放送中にスクープを流す緊迫感
• 組織に属しながらも信念を貫く姿勢
• 事件解決の後に残る余韻とモラルの問い

これらはまさに、日曜劇場らしい「熱」と「意志」のあるドラマ構成であり、視聴者の心を強く揺さぶります。

報道ドラマにとってのエンタメ性とは何か

報道の現場を題材にすると、ドキュメンタリーや硬派な内容に寄りがちですが、『キャスター』ではそうした印象を逆手に取り、“楽しめる報道ドラマ”としてエンタメ性をしっかり加味しています。

例えば、進藤の決め台詞や感情を爆発させる演技、リアルタイムで事件が動く描写は、視聴者にスリルとカタルシスを提供します。

その上で、事件の背景や構造にはリアルな社会批判が潜んでおり、「考えさせる余白」が残されているのです。

報道とエンタメのバランスを取る制作陣の妙

このようなバランスを成立させているのは、脚本家陣の専門性と経験、そして演出陣の的確な演技指導と構成力に他なりません。

脚本家チームが事前に実際の報道現場を取材し、キャスター経験者の視点を取り入れているため、“リアリティが高いのにドラマとして面白い”という絶妙なバランスを実現できているのです。

まさに『キャスター』は、報道の本質とエンタメの力を融合させた、新時代の社会派ドラマといえるでしょう。

ドラマ『キャスター』原作なし脚本家体制の魅力まとめ

ここまで紹介してきたように、TBS日曜劇場『キャスター』は原作に一切依存しない完全オリジナル作品でありながら、視聴者の心を掴み、多くの話題を集めています。

それを可能にしているのが、6人の脚本家による緻密な分業体制と、報道現場に迫るリアルな視点です。

「報道×エンタメ」という難易度の高いテーマに挑みながら、視聴後に“深く考えさせられる時間”を提供する構成は、まさに今の時代に必要なドラマの在り方を体現しています。

知の結集で実現したドラマの新境地

脚本家たちはそれぞれ異なる専門性を持ち、政治、警察、科学、心理といった多様な領域から物語を構築。

1人の脚本家では限界がある複雑なテーマも、6人が知恵と経験を持ち寄ることで、より立体的で信頼性の高い脚本へと昇華されています。

この手法は、日本のテレビドラマ制作のあり方そのものを変えるきっかけになる可能性すら秘めています。

“原作なし”だからこそ生まれる強さ

• 社会情勢の変化に即応できる構成力
• 過去にない新鮮なキャラクターと展開
• 視聴者の予測を裏切る痛快さと驚き

こうした魅力は、既存の物語構造に頼らない“自由な表現”があってこそ成立するものであり、完全オリジナルの最大の利点と言えるでしょう。

『キャスター』が描く“令和の正義”

主人公・進藤壮一のように、組織の中で葛藤しながらも真実を伝えようとする姿は、現代社会において非常にリアルです。

視聴者は単なる娯楽として楽しむだけでなく、「伝えること」「正しさとは何か」を深く考えるきっかけを得ています。

まとめ：原作なし・脚本家6人制が生んだ奇跡

『キャスター』は、以下のような要素が組み合わさることで唯一無二のドラマへと昇華されています。

今後のドラマ制作のモデルケースともなり得る『キャスター』。

この挑戦的な作品は、“ドラマの力で社会を照らす”という理想を、まさに現実のものにしています。