『豊臣兄弟』20話ネタバレ!感動の再会シーンと今後の波乱を予想

1200×800px想定、横長6:4。戦国時代の信貴山城を背景にした重厚な映画ポスター風。中央に外見がほとんど同じ二つの古びた茶釜「平蜘蛛」を大きく配置し、左には秀吉と小一郎を思わせる兄弟武将の後ろ姿、右には炎と煙に包まれながら不敵に立つ松永久秀を思わせる老将、遠景には織田信長を 大河ドラマ

『豊臣兄弟!』20話は、軍令違反で死罪となった秀吉が、松永久秀との平蜘蛛をめぐる談判を経て赦免される転換回です。

2026年5月24日放送の第20回「本物の平蜘蛛」では、平蜘蛛の真贋、小一郎の心理戦、信長が秀吉を許した理由が一本の物語としてつながりました。NHK公式の第20回ダイジェストでも、上杉攻めから勝手に帰国した秀吉に信長が死罪を申し渡すところから物語が始まることが示されています。YouTube

  1. 『豊臣兄弟!』20話の結末は?ネタバレを5点で整理
  2. 『豊臣兄弟!』20話で秀吉はなぜ死罪に?軍令違反と起請文の意味
    1. 秀吉の死罪は「敗戦」ではなく命令違反が問題だった
    2. 寧々たちが作った「羽柴家の起請文」は史実なのか
  3. 平蜘蛛は本物だった?小一郎が松永久秀との勝負で見抜いたもの
    1. 久秀が語った「父は贋作師」は事実なのか
    2. 小一郎はどうやって平蜘蛛を見抜いた?
    3. 二つの平蜘蛛は結局どちらも偽物だった?
  4. 松永久秀と平蜘蛛の最期は史実?信貴山城の伝承とドラマの違い
  5. 信長はなぜ秀吉を赦免した?ラストの「本物の平蜘蛛」を考察
    1. 信長は最初から秀吉を許すつもりだったのか
    2. 信長が持っていた茶器は本物の平蜘蛛?
    3. 「偽物の平蜘蛛」から地図が出てきた意味
    4. 史実では「赦免後に播磨総大将」と単純には並ばない
  6. 『豊臣兄弟!』20話考察|小一郎・信長・久秀をつなぐ「本物」の意味
    1. 久秀と信長は正反対なのに、どちらも本心を見せない
    2. 秀吉自身もまた「本物かどうか」を試された
    3. 「最初から本物」でなくてもいい
  7. まとめ|『豊臣兄弟!』20話の平蜘蛛と秀吉赦免を整理
  8. よくある質問
    1. 『豊臣兄弟!』20話で秀吉はなぜ死罪を言い渡された?
    2. 二つの平蜘蛛は両方とも偽物だった?
    3. 信長が最後に見ていた茶器は本物の平蜘蛛?

『豊臣兄弟!』20話の結末は?ネタバレを5点で整理

第20回を先に結論から整理すると、押さえておきたいポイントは5つです。

  • 秀吉は上杉攻めの陣から無断で帰陣した軍令違反により、信長から死罪を申し渡された
  • 羽柴家の家族や家臣たちは起請文を作って秀吉の助命を願ったが、この起請文のくだりはドラマの創作
  • 秀吉と小一郎は、平蜘蛛を差し出せば謀反を不問にするという条件を持って松永久秀と談判した
  • 小一郎は二つの平蜘蛛そのものではなく久秀の反応を読み、本物と思われる一つを選んだ。しかし久秀は最後に「二つとも偽物」と語った
  • 信長は秀吉を赦免したが、ラストでは信長自身が本物らしき名器を眺める意味深な場面が描かれた

つまり第20回の答えは、「平蜘蛛の本物がどれだったのか」をすっきり確定させることではありません。

真実が見えそうになるたび、もう一度ひっくり返される。

その構造そのものが「本物の平蜘蛛」というタイトルにつながっています。エンタメOVOの大河ドラマコラムでも、久秀の話、二つの平蜘蛛、信長の真意まで、最後まで割り切れない形で描かれた回として整理されています。OVO [オーヴォ]

そして僕が重要だと感じたのは、この「真贋」が茶器だけの話で終わっていないことです。

小一郎は久秀を見抜こうとし、信長は秀吉を試し、秀吉は死罪を前に家族との関係を見つめ直す。

平蜘蛛をめぐる勝負の裏側で、人間そのものの「本物らしさ」が試されていた。

そこに第20回の面白さがあります。

『豊臣兄弟!』20話で秀吉はなぜ死罪に?軍令違反と起請文の意味

第20回「本物の平蜘蛛」が扱ったのは、天正5年(1577年)の秀吉にとって大きな危機となる時期です。

時代考証を担当する駿河台大学法学部・黒田基樹教授の解説によれば、第20回では1577年8月、秀吉が信長に無断で加賀陣から帰陣してから、同年10月の松永久秀攻略までが描かれています。駿河台大学

秀吉の死罪は「敗戦」ではなく命令違反が問題だった

信長(小栗旬)は、上杉攻めから勝手に離脱して帰国した秀吉(池松壮亮)に激怒します。

NHK公式の第20回ダイジェストでも、秀吉が上杉攻めから離脱して勝手に帰国したため、信長から蟄居のうえ死罪を申し渡される展開が紹介されています。YouTube

ここで押さえたいのは、「秀吉の戦況判断が正しかったか」という問題と、「主君の命令を破ったか」という問題は別だということです。

秀吉には秀吉なりの理由があったとしても、総大将の指揮系統から勝手に離脱する行為を認めれば、織田軍全体の統率が崩れかねません。

信長の立場からすれば、

「能力があるから命令を破っても構わない」

という前例だけは作れない。

だからこそ、秀吉ほど期待している家臣であっても厳罰を示す必要があったのでしょう。

僕には、信長の怒りは「使えない家臣への怒り」ではなく、その逆に見えました。

秀吉を高く買っていた。

だからこそ、秀吉が自分の命令を外れて動いたことを見過ごせなかった。

信頼が大きいほど、その亀裂も深く見えるものです。

※画像はAIによるイメージ

寧々たちが作った「羽柴家の起請文」は史実なのか

死罪を告げられた秀吉を救うため、小一郎(仲野太賀)だけでなく、寧々(浜辺美波)や慶(吉岡里帆)ら羽柴家の人々も動きます。

NHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』公式SNSでも、寧々が秀吉に「皆で助けに参りました」と告げる第20回の場面が紹介されました。Instagram+1

その「皆」を形にしたのが、羽柴家の人々による起請文でした。

ただし、ここは史実とドラマを明確に分ける必要があります。

時代考証の黒田基樹教授は、寧々やお慶たちが羽柴家家中全員による起請文を作成し、秀吉の赦免を願う展開は創作だと説明しています。駿河台大学

一方で、小道具としての起請文はかなり細かく作られていました。

主要人物には確認できる当時の花押を入れ、慶やあさひが血判を据える場面については、黒田教授自身が撮影にも立ち会ったといいます。実例が確認できない人物については創作した花押もあることまで明かされています。駿河台大学

ここが歴史ドラマとして興味深いところです。

出来事そのものは創作でも、当時ならどういう文書になるのかは考証する。

史実に存在しない場面だから何でも自由に作るのではなく、史実の空白へ、時代に合った形で人間ドラマを置いているわけです。

そして脚本上、この起請文にはもう一つ大きな意味がありました。

これまでの秀吉は、自分の機転と勢いで道をこじ開ける人物として描かれてきました。

しかし死罪を前にした秀吉を救おうとしたのは、秀吉本人ではありません。

弟がいる。

妻がいる。

家族がいる。

家臣がいる。

「皆で助けに参りました」という寧々の言葉は、秀吉がいつの間にか一人の成り上がり者ではなく、多くの人の人生を背負う武将になっていたことを示す場面でもあったのだと思います。

ここは感動場面であると同時に、秀吉の地位の変化を示す重要なシーンでした。

平蜘蛛は本物だった?小一郎が松永久秀との勝負で見抜いたもの

秀吉の運命を変えることになったのが、松永久秀(竹中直人)の再度の離反です。

信長は久秀に対し、名物茶器「平蜘蛛」を差し出せば謀反を不問にするという条件を示し、久秀と面識のある秀吉と小一郎を談判へ向かわせます。エンタメOVOの第20回コラムでも、この条件を受けて兄弟が久秀との交渉に臨んだことが確認できます。OVO [オーヴォ]

秀吉にとって、この交渉は単なる使者の仕事ではありません。

成功すれば命がつながる。

失敗すれば死罪が待っている。

平蜘蛛一つに、秀吉の命まで乗せられたのです。

久秀が語った「父は贋作師」は事実なのか

久秀は交渉の中で、自分の出自や大和への執着についてさまざまな話をします。

財宝が眠っているから大和にこだわる。

三好長慶から託された特別な土地だから大和を守る。

父親は贋作師で、自分はその側女の子だった。

幼いころ、自分まで「まがい物」のように感じ、本物になって周囲を見返そうと思った――。

しかし久秀は、自分で物語を語っておきながら、ことあるごとに相手へ「信じるか」と揺さぶりをかけます。

エンタメOVOのコラムでも、父が贋作師だったという久秀の告白について、どこまでが真実なのか分からない描写として整理されています。OVO [オーヴォ]

したがって、

「ドラマ版の松永久秀の父は贋作師だった」

と確定設定のように断言するのは正確ではありません。

より正しくは、

「久秀は父が贋作師だったと語ったが、その話自体も真実かどうか分からない」

です。

この曖昧さは偶然ではないでしょう。

平蜘蛛が本物か偽物か分からない。

久秀の生い立ちも本物か偽物か分からない。

つまり第20回では、茶器だけでなく松永久秀が発する言葉そのものまで鑑定対象になっています。

※画像はAIによるイメージ

小一郎はどうやって平蜘蛛を見抜いた?

久秀は兄弟の前に二つの平蜘蛛を示し、どちらが本物かを見極める勝負を持ちかけます。

小一郎は茶器の専門家ではありません。

そこで彼が見たのは、茶釜そのものではなく久秀の心の動きでした。

小一郎が一方を壊そうとする。

その瞬間、久秀が反応する。

壊されることを本気で嫌がったものこそ、久秀が大切にしている平蜘蛛ではないか。

小一郎は、茶器を鑑定したのではありません。

松永久秀という人間を鑑定した。

ここは主人公・小一郎の人物造形を考えるうえで、非常に重要な場面だと僕は思います。

秀吉は前へ出て状況を動かす人です。

一方、小一郎は一歩引き、人を見る。

誰が何を恐れているのか。

何を守ろうとしているのか。

言葉と表情のどこが食い違っているのか。

第20回の平蜘蛛勝負は、小一郎が将来「秀吉を支える人物」になっていくうえで必要になる能力を、分かりやすい形で見せた場面でした。

剣の強さでも、大声で相手を圧倒する力でもない。

相手の心が動いた一瞬を逃さない。

小一郎の武器は、そこにあります。

二つの平蜘蛛は結局どちらも偽物だった?

小一郎は久秀との勝負に勝ち、久秀はいったん説得に応じます。

しかし久秀は「支度をする」と奥へ退いた後、自ら最期へ向かいます。

そして駆け付けた兄弟に、先ほどの二つの平蜘蛛について、どちらも偽物だったという趣旨の話をします。

さらに、小一郎が最初に壊そうとしたものは父親が作った品で、自分はとうとう本物を手に入れることができなかったとも語ります。

ところが、その直後まで久秀は相手を煙に巻く態度を崩しません。

エンタメOVOの記事でも、久秀は「二つとも偽物」と明かしながら、最後までその話自体を信じていいのか分からない態度を取ったことが紹介されています。OVO [オーヴォ]

したがって、結論はこうです。

久秀は「二つとも偽物」と語りましたが、それが客観的事実として完全に確定したわけではありません。

ここを断定しないことが、第20回を理解するうえで大切です。

答えが見つかった瞬間に、久秀がその答えへ煙をかける。

小一郎は勝ったはずなのに、「本当に勝ったのか?」という疑問だけが残る。

僕はこの後味こそ、竹中直人さん演じる久秀の退場にふさわしかったと感じました。

松永久秀と平蜘蛛の最期は史実?信貴山城の伝承とドラマの違い

松永久秀と平蜘蛛の関係は、『豊臣兄弟!』だけが作った設定ではありません。

奈良県の「信貴山城」解説によると、信貴山城は松永久秀が大規模に改修して拠点とした城で、天正5年(1577年)、信長に反抗した久秀は信貴山城の戦いで追い詰められました。奈良県公式サイト

同じ奈良県の解説には、久秀が信長の欲していた「平蜘蛛茶釜」とともに自爆したとも伝えられているとあります。1577年の久秀の自害に伴い、信貴山城は廃城になったとされています。奈良県公式サイト

重要なのは、「とも伝えられている」という部分です。

「松永久秀は平蜘蛛を抱えて爆死した」

というイメージは非常に有名ですが、ドラマ記事で細部まで確定した史実として扱うのは慎重であるべきでしょう。

史実として押さえやすいのは、

1577年に久秀が信長へ反抗し、信貴山城で最期を迎えたこと。

そして平蜘蛛とその最期を結びつける強烈な伝承が後世に残っていることです。奈良県公式サイト

『豊臣兄弟!』第20回が巧いのは、その有名な逸話をそのまま映像化するだけで終わらせなかった点にあります。

「久秀と平蜘蛛はどうなったのか」だけなら、一つの歴史エピソードです。

しかしドラマはそこへ、

「その平蜘蛛は本物なのか」

「久秀の言葉は本当なのか」

「そもそも人間にとって本物とは何なのか」

という複数の問いを重ねました。

史実の空白を勝手に「事実」で埋めるのではなく、分からないからこそ生まれる物語として使っている。

僕はここに、第20回の脚本の強さを感じます。

信長はなぜ秀吉を赦免した?ラストの「本物の平蜘蛛」を考察

信貴山城から戻った秀吉と小一郎は、久秀を生きたまま連れ帰ることができませんでした。

しかも持ち帰った茶器について、久秀本人は「偽物」だと語っています。

それでも信長は秀吉を赦免します。

エンタメOVOの第20回コラムによれば、信長は兄弟から報告を受けると持ち帰った平蜘蛛を二人へ与え、上杉との戦いから勝手に離脱した秀吉を許しました。そこで小一郎は、信長が最初から茶器が偽物であることを知っており、久秀との件は秀吉を許す口実だったのではないかと推し量ります。OVO [オーヴォ]

信長は最初から秀吉を許すつもりだったのか

ここからは僕の考察です。

僕は、信長が秀吉を無条件で許すことはできない一方、挽回する道までは閉ざしていなかったと考えています。

秀吉の軍令違反を何の処分もなく許せば、組織として示しがつきません。

しかし秀吉を本当に処刑すれば、ここまで育てた有能な家臣を失います。

そこへ久秀の離反が起きた。

久秀と関係を築いてきた兄弟に交渉を任せ、結果を出せば処分を軽くできる。

信長にとって都合のいい「功績を立て直す機会」が突然現れたとも考えられます。

ただし、

「信長は最初から秀吉を赦免する計画だった」

とまで断定する材料は劇中にありません。

小一郎がそう推測したところにとどまります。

僕はむしろ、そこを明言しなかったことが重要だと思います。

第20回には、二人の「読めない男」がいました。

一人は松永久秀。

もう一人は織田信長です。

久秀は話すほど本音が分からなくなる。

信長は話さないから本音が分からない。

真逆の方法で、二人とも兄弟に自分の心を読ませません。

その間に置かれた小一郎が、人間観察によって必死に真意へ近づこうとする。

平蜘蛛の真贋を描いた回でありながら、実際には「人の本心をどこまで読めるか」という物語になっている。

ここが第20回の脚本構造として、とても面白いところです。

信長が持っていた茶器は本物の平蜘蛛?

そして第20回ラストには、もう一段ひねりがあります。

市(宮崎あおい)が、信長の眺める茶器を見ながら「本物の名器」であることをうかがわせる言葉をかけます。

エンタメOVOのコラムも、この場面について、信長が眺めているのは「平蜘蛛らしき茶器」であり、仮に本物の平蜘蛛なら信長が以前から持っていたのかという疑問が生じる、としています。OVO [オーヴォ]

したがって、

「ラストで信長が持っていた茶器=本物の平蜘蛛」

と確定させることはできません。

正確には、

信長が本物の平蜘蛛をすでに所有していた可能性を強く連想させる演出だった

という整理になります。

ここで仮に本当に信長が最初から本物を持っていたと考えてみると、話はさらに面白くなります。

信長にとって重要だったのは、最初から茶器ではなかったことになるからです。

久秀がどう出るのか。

秀吉と小一郎がどう交渉するのか。

そして軍令を破った秀吉が、与えられた最後の機会にどう応えるのか。

そう考えると、「平蜘蛛を持って帰れ」という命令そのものが、一種の試験だったようにも見えてきます。

もちろん、これはあくまで劇中描写からの僕の読みです。

しかし第20回が「平蜘蛛の正解」をあえて確定させなかったことで、信長の目的が茶器だったのか、久秀の帰参だったのか、それとも秀吉を試すことだったのか、複数の読み方が成立しています。

「偽物の平蜘蛛」から地図が出てきた意味

さらに見逃せないのが、兄弟が持ち帰った「偽物」とされた平蜘蛛から、久秀が語っていた財宝の隠し場所に関わる地図が出てきたことです。OVO [オーヴォ]

これによって、「久秀の話は全部嘘だった」とも言えなくなります。

嘘の中に本当がある。

本当らしい話の中に嘘がある。

偽物の茶器の中に、本物かもしれない情報が隠されている。

これは第20回全体を小さく圧縮したような仕掛けです。

僕がここで感じたのは、久秀が最後まで小一郎へ「答えを疑え」と教えているような感覚でした。

目の前に差し出されたものを、そのまま信じない。

肩書だけで人を判断しない。

誰かが「これが本物だ」と言ったからといって、そこで考えることを止めない。

これから秀吉と小一郎が大勢の武将を相手にしていくことを考えれば、平蜘蛛をめぐる一件は小一郎にとって、かなり大きな経験だったのではないでしょうか。

史実では「赦免後に播磨総大将」と単純には並ばない

そして、ここにはドラマと史実研究の興味深い違いがあります。

劇中では、松永久秀の一件を経て秀吉が信長から赦免され、その後、播磨攻めの総大将へ進むという流れになっています。

しかし時代考証の黒田基樹教授によれば、実際には秀吉は1577年9月初めにはすでに播磨攻めの総大将に任じられており、播磨へ進軍する前に松永攻めへ参加した可能性があると考えられています。駿河台大学

つまり史実の順番は、ドラマほど単純な、

「死罪の危機」

「久秀との交渉」

「赦免」

「播磨攻めの総大将」

という一直線ではなかった可能性があります。

それでもドラマがこの順番に整理したことには、物語上の意味があると僕は考えます。

秀吉が一度、すべてを失いかける。

家族や家臣に支えられる。

小一郎とともに久秀との困難な交渉を経験する。

そして赦免されたうえで、大軍を預かる次の段階へ進む。

こう並べることで、第20回が「秀吉の死罪危機」ではなく「羽柴兄弟の再出発」として一本につながります。

史実の時系列をただ再現するのではなく、人物の成長が伝わるよう再構成した。

僕はここに、歴史ドラマとしての脚本意図がよく表れていると感じました。

※画像はAIによるイメージ

『豊臣兄弟!』20話考察|小一郎・信長・久秀をつなぐ「本物」の意味

第20回の題名は「本物の平蜘蛛」です。

でも僕は、見終わったあと、この題名の「本物」は茶器だけを指していないと感じました。

この回で小一郎は、二つの平蜘蛛を前にして、物そのものの価値を見極めようとはしませんでした。

見たのは人です。

久秀の表情。

声。

反応。

何を壊されたくないと思っているのか。

その一点から答えへ近づこうとした。

これは、今後の小一郎の成長を考えるうえでも象徴的です。

秀吉が突破力で扉を開ける人物なら、小一郎は人と人との間にあるわずかな隙間を見つける人物です。

第20回は、その小一郎の能力を「平蜘蛛当て」という極めて分かりやすい勝負へ落とし込んでいました。

久秀と信長は正反対なのに、どちらも本心を見せない

さらに僕が面白いと思ったのは、松永久秀と信長の対比です。

久秀は、しゃべります。

過去を語る。

財宝を語る。

大和への思いを語る。

父を語る。

自分自身を語る。

けれど、話せば話すほど本当のことが分からなくなる。

一方の信長は逆です。

余計な説明をほとんどしない。

なぜ秀吉へ久秀との交渉を命じたのか。

どこまで結果を予想していたのか。

本当に平蜘蛛を欲しがっていたのか。

なぜ最終的に秀吉を許したのか。

本人の口から丁寧な答えは示されません。

しゃべり続けて真意を隠す久秀と、語らないことで真意を隠す信長。

この二人の間に、小一郎が置かれている。

僕には、ここが第20回で最も巧い人物配置に見えました。

小一郎は今後、秀吉の側近として、表面の言葉だけでは動けない場面に何度も直面するはずです。

誰が本当に味方なのか。

誰の約束を信じるべきなのか。

言葉の裏に何があるのか。

第20回は、そうした小一郎の将来を先取りする「人を見る授業」のような一話だったのかもしれません。

秀吉自身もまた「本物かどうか」を試された

そして、平蜘蛛の勝負で試されたのは小一郎だけではありません。

秀吉もまた、信長から試されていたと考えることができます。

軍令を破った。

死罪を告げられた。

その状態で難しい交渉を任される。

ここで秀吉が逃げたり、久秀をだましたり、偽物を本物と言い張ったりすれば、信長との関係はさらに崩れていたでしょう。

しかし兄弟は久秀との顛末を抱えて信長のもとへ戻ります。

結果として持ち帰った茶器が本物だったかどうかより、与えられた役目から逃げずに戻ってきたことの方が重要だったのではないか。

僕はそう感じます。

平蜘蛛を鑑定していたはずが、いつの間にか兄弟の側も鑑定されていた。

その意味では、第20回に登場した「本物/偽物」というテーマは、久秀の茶器だけに閉じません。

小一郎は本物の補佐役になれるのか。

秀吉は大軍を任せられる本物の武将になれるのか。

信長は二人を見ていた。

そう読むと、秀吉の赦免とその後の播磨への展開も一本につながります。

「最初から本物」でなくてもいい

久秀が語った「まがい物」という言葉は、それが真実かどうかを別にして、秀吉と小一郎にも重なります。

兄弟は最初から大名だったわけではありません。

最初から歴史に名を残す人物として扱われていたわけでもない。

一つ仕事を任される。

失敗する。

誰かに助けられる。

また次の仕事を任される。

その積み重ねの途中にいます。

第20回で秀吉は大きく失敗しました。

小一郎も久秀に完全勝利したわけではありません。

それでも次へ進む。

僕は、そこにこの回の「本物」という言葉のもう一つの意味を感じました。

本物とは、最初から完成している人ではなく、失敗や迷いを抱えながら役割に追いついていく人なのかもしれない。

ただ、第20回の魅力はこの人生論そのものではありません。

それを、平蜘蛛という具体的な小道具、久秀という読めない人物、信長の赦免、小一郎の心理戦、そして史実の時系列を組み替えた脚本構成によって見せたところにあります。

感動だけで終わらせず、「なぜこの場面をここに置いたのか」と考えると、第20回はかなり緻密な転換回だったことが見えてきます。

まとめ|『豊臣兄弟!』20話の平蜘蛛と秀吉赦免を整理

『豊臣兄弟!』第20回「本物の平蜘蛛」は、上杉攻めから無断で帰陣した秀吉が、信長から死罪を申し渡されるところから始まりました。NHK公式ダイジェストでも、この軍令違反と死罪宣告が第20回の出発点として示されています。YouTube

秀吉を救おうと、寧々や慶、小一郎ら羽柴家の人々は動きます。家中全員による起請文はドラマの創作ですが、時代考証を踏まえた花押や血判まで用意されていました。駿河台大学

その後、松永久秀が再び信長に背いたことで、秀吉と小一郎には挽回の機会が与えられます。

兄弟は「平蜘蛛を差し出せば謀反を不問にする」という条件を携えて久秀のもとへ向かい、小一郎は二つの茶器を前に、久秀の反応から本物と思われる一つを見抜きました。OVO [オーヴォ]

しかし久秀は最後に「二つとも偽物」だと語り、その説明さえ本当かどうか分からないまま最期を迎えます。

さらに信長は秀吉を赦免し、ラストでは本物らしき名器を眺める意味深な場面まで描かれました。ただし、信長が見ていた茶器が本物の平蜘蛛だと明言されたわけではありません。OVO [オーヴォ]

そして史実研究上は、秀吉が1577年9月初めにはすでに播磨攻めの総大将に任じられ、播磨進軍前に松永攻めへ参加した可能性が指摘されています。ドラマはこの時系列を整理することで、「死罪の危機から赦免され、新たな大任へ進む」という秀吉の再出発を鮮明にしたと考えられます。駿河台大学

僕が第20回で最も面白いと感じたのは、最後まで「本物」を簡単に決めさせなかったことでした。

久秀の話は本当なのか。

平蜘蛛は本物なのか。

信長は何を考えていたのか。

答えは完全には明かされません。

だからこそ、小一郎が「物」ではなく「人」を見る姿が際立ちました。

この先、兄とともにさらに大きな戦場へ進む小一郎に必要なのは、正解が書かれた地図ではありません。

相手の言葉を聞き、表情を読み、それでも自分で判断する力です。

二つの平蜘蛛を前にしたあの瞬間、小一郎が見抜こうとしていたのは茶器の価値だけではなかった。

人の心を見抜くことこそ、これから兄を支える小一郎最大の武器になる。

松永久秀の炎が消えたあと、僕の胸に残ったのは、そんな静かな予感でした。

よくある質問

『豊臣兄弟!』20話で秀吉はなぜ死罪を言い渡された?

上杉攻めの陣から信長の許可なく離脱し、勝手に帰国した軍令違反が理由です。信長は秀吉に蟄居と死罪を申し渡しました。YouTube

二つの平蜘蛛は両方とも偽物だった?

松永久秀は終盤、二つとも偽物だったと語りました。ただし久秀は最後まで真実と嘘を混ぜるような態度を取るため、劇中ではその発言まで含めて完全には確定させない演出になっています。OVO [オーヴォ]

信長が最後に見ていた茶器は本物の平蜘蛛?

本物の平蜘蛛である可能性を連想させる場面ですが、明確には断定されていません。市が「本物の名器」を示唆する言葉をかけることで、信長が以前から本物を所有していたのではないかという余韻を残しています。OVO [オーヴォ]

――岸本 湊人

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