『Tokyo middle 30』の原作は韓国ではなく、中国ドラマ『Nothing But Thirty』です。
日本版は2026年7月22日にフジテレビ系で放送を開始し、8月31日時点で第6話まで放送済み。9月2日に第7話が予定されている現在放送中のドラマです。
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『Tokyo middle 30』原作は中国ドラマ?結論と基本情報
結論から整理すると、『Tokyo middle 30』は中国ドラマ『Nothing But Thirty』を直接の原作とする日本版オリジナルリメイクです。
フジテレビの公式番組情報には、原作として「Chinese Drama by Linmon Pictures – Nothing But Thirty」と明記されています。中国作品を韓国でドラマ化し、その韓国版をさらに日本でリメイクした作品ではありません。
検索前に押さえておきたい4点をまとめると、次の通りです。
確認ポイント 内容
直接の原作 中国ドラマ『Nothing But Thirty』
中国原題 『三十而已』
日本での邦題 『30女の思うこと~上海女子物語~』
日本版 『Tokyo middle 30』。韓国版経由ではない
中国版『Nothing But Thirty』は2020年7月17日に放送・配信を開始した全43話の都市ドラマです。
Tencent系のWeTVでも全43話と確認でき、江疏影(ジャン・シューイン)、童瑶(トン・ヤオ)、毛暁彤(マオ・シャオトン)の3人が中心人物を演じています。
一方、日本版の中心にいるのは、佐倉麻紀、山地遥、永野薫子。
仲里依紗さん、のんさん、深川麻衣さんが演じる35歳の3人は、高校時代の同級生であり、「ズッ友」を誓った親友です。約20年前に地方都市から東京を目指し、35歳になって5年ぶりに再会します。
この時点で、原作をそのまま日本語に置き換えただけのリメイクではないことが分かります。
僕がこの作品でまず面白いと感じたのもそこでした。
上海の30歳を描いた物語を、東京の35歳へどう翻訳するのか。
『Tokyo middle 30』の「原作」を知るということは、元作品のタイトルを知るだけでなく、この翻訳の仕方を知ることでもあるのです。
原作『Nothing But Thirty』とは?全43話・55億回再生のヒット作
原作となった『Nothing But Thirty』は、中国原題を『三十而已』といいます。
舞台は上海。
30歳という節目を迎えた王漫妮(ワン・マンニー)、顧佳(グー・ジア)、鐘暁芹(ジョン・シャオチン)という、生活環境も価値観も異なる3人の女性を描いた都市群像劇です。
フジテレビは日本版の公式イントロダクションで、原作が中国で同時間帯視聴率1位、総再生回数55億回を記録したと紹介しています。
原作の基本情報は次の通りです。
項目 中国版『Nothing But Thirty』
中国原題 『三十而已』
日本での邦題 『30女の思うこと~上海女子物語~』
放送・配信開始 2020年7月17日
話数 全43話
舞台 上海
王漫妮役 江疏影
顧佳役 童瑶
鐘暁芹役 毛暁彤
制作 Linmon Pictures
3人が印象的なのは、単に性格が違うからではありません。
上海という大都市での「立っている場所」が、それぞれ違うのです。
王漫妮は、地方から大都会へ出てきて高級ブランド店で働く販売員。
華やかな商品に囲まれながら働いていても、自分自身がその華やかな世界に属しているとは限りません。China.org.cnは、王漫妮が長時間立って働き、ラッシュ時の地下鉄で郊外の賃貸住宅へ帰る姿を紹介しており、大都市で夢を追う生活の厳しさが人物設定に織り込まれています。
顧佳は、夫の仕事と家庭を支える有能な妻であり母親です。
高級住宅や子どもの教育を通じ、より上の生活圏へ入ろうとする場面も描かれます。家庭を持つことがそのまま安定を意味するのではなく、「家庭を守るために自分がどこまで背負うのか」という問いが彼女について回ります。
鐘暁芹は、安定した仕事と結婚生活を持つ、比較的「普通」に見える女性です。
ところが、普通に見える生活にも夫婦間の温度差や、自分が本当に望んでいる人生が分からないという揺らぎがある。
つまり原作の3人は、上昇を夢見る働く女性、家庭を築いた女性、平穏な生活にいる女性という違う場所から、「30歳になったのに人生は思ったほど完成していない」という同じ地点へ集まってきます。

そして原作の評価を語るうえで外せないのが、上海テレビフェスティバルの白玉蘭賞です。
2021年6月10日に行われた第27回上海テレビフェスティバル「白玉蘭賞」の授賞式で、顧佳役の童瑶が『三十而已』によって最優秀主演女優賞を受賞しました。
日付については少し注意が必要です。
授賞式そのものは2021年6月10日。上海テレビフェスティバル公式サイトには6月11日付の閉幕記事が掲載され、6月12日付の受賞紹介記事でも童瑶の受賞が改めて報じられています。
原作が支持された理由を、僕は「30歳の女性をひとくくりにしなかったこと」に感じます。
結婚しているか。
子どもがいるか。
仕事で成功しているか。
経済的に余裕があるか。
外から見える条件が違っても、「自分の人生はこれでいいのか」という問いだけは平等に訪れる。
その設計があったからこそ、上海だけの物語で終わらず、別の国や都市へ移植できる強さを持ったのでしょう。
中国版と日本版の違いは?30歳から35歳へ大胆に変更
『Tokyo middle 30』で最も分かりやすい変更は、30歳から35歳への年齢変更です。
原作『三十而已』はタイトルそのものが30歳を示していますが、日本版は「middle 30」、つまりミドサー世代を正面から描きます。
さらに、原作以上に日本版の個性を決定づけているのが、「主人公3人が高校時代からの親友」という設定です。
違いを整理すると、こうなります。
比較ポイント 中国版『Nothing But Thirty』 日本版『Tokyo middle 30』
舞台 上海 東京
人生の節目 30歳 35歳
中心人物 王漫妮・顧佳・鐘暁芹 佐倉麻紀・山地遥・永野薫子
3人の関係 異なる人生が交差していく 高校時代からの親友
時間的背景 30歳の現在が中心 上京の約束から約20年
日本版独自の仕掛け ― 疎遠になった3人が5年ぶりに再会
主な壁 仕事・結婚・家庭・自立 仕事・結婚・妊娠・子育て・経済的不安
フジテレビ公式も、日本版制作にあたって主人公たちを35歳に変更し、高校時代からの親友というオリジナル設定を加えたことを明確に説明しています。
では、なぜ35歳なのでしょうか。
制作側は、35歳前後を社会的な責任や立場が高まりながら、結婚、出産、キャリアといった選択を改めて意識しやすい年代と捉えています。
プロデューサーの鹿内植さんも、仕事、恋人、結婚、家庭、子育てなど多くの選択肢の中で決断を積み重ね、自分らしさを形成していく複雑な年代として35歳を位置づけています。
これは単なる「日本では30歳より35歳のほうがドラマになる」という話ではないと僕は思います。
30歳は、未来への焦りが強く表れやすい年齢。
一方で35歳になると、「まだ何も選んでいない」というより、すでに何かを選んだ結果が目の前に積み上がっている。
そこに日本版らしさがあります。

原作3人と日本版3人はどう違う?「人物」より悩みを再配置
中国版を見た人なら、「日本版の3人は原作の誰に対応しているの?」と気になるはずです。
ただし、ここは断定しないほうが正確です。
フジテレビが「麻紀=顧佳」「遥=王漫妮」「薫子=鐘暁芹」といった公式対応表を発表しているわけではありません。
ここからは、両作品の人物設定を踏まえた僕自身の比較です。
仲里依紗さん演じる佐倉麻紀は、かつて仕事でキャリアを築く未来を思い描いていたものの、妊娠を機に現在は5歳の息子を育てる専業主婦となっています。
夫が営む美容クリニックを支えながらも、「社会とつながっていたい」という気持ちとキャリアへの未練を抱えている人物です。
家庭の運営能力が高く、夫や子どものために動きながら「自分自身はどう生きるのか」を問われる構図には、原作の顧佳との共通点があります。
しかし、重要なのは一致ではなく違いです。
原作の顧佳には、家庭を守ることだけでなく、上海の高所得層や教育環境へ入り込もうとする「階層上昇」の側面が強くあります。
一方、日本版の麻紀では、すでに比較的恵まれた家庭環境にいながら、失った社会との接点やキャリアを取り戻せるのかという問題が前面に出ています。
同じ「家庭を持つ女性」でも、葛藤の向きが少し違うのです。
のんさん演じる山地遥は、ミュージシャンを夢見て東京へ来たものの、現在はアパレルショップの店長。
お金がなかなか貯まらず、販売員として働き続ける将来にも不安を抱えています。
これは、地方から大都会へ出て高級ブランド店の販売員として働く原作の王漫妮と響き合います。
2人に共通するのは、都市への憧れです。
東京にいる。
上海にいる。
けれど、「その街で暮らしている」ことと「その街で成功した」ことは同じではない。
大都市の光は、近づけば近づくほど、自分との距離まで照らしてしまいます。
そして深川麻衣さん演じる永野薫子。
大学卒業後には結婚して子どもを持つ人生を思い描いていましたが、35歳の現在は小学校教諭として働き、4年間同棲している恋人との結婚にも踏み出せずにいます。
結婚生活やパートナーとの関係を通して「普通の幸せとは何か」を問い直す構造は、原作の鐘暁芹を思わせます。
ただ、日本版では「すでに結婚している女性」ではなく、「結婚するかどうかの手前で止まっている女性」へ変更されました。
この差は小さくありません。
原作が「結婚した後にも迷いはある」と描いた悩みを、日本版は「長く付き合っていても結婚を選べない」という悩みへ動かしたからです。
僕はここに、日本版のローカライズで最も興味深い部分を感じています。
人物を丸ごと移植したのではない。
原作に存在した「階層」「仕事」「家庭」「結婚」という悩みの部品をいったん分解し、2026年の東京で生きる35歳の3人へ配置し直している。
だから『Tokyo middle 30』を見るときは、「この人は原作の誰?」と照合するより、「この悩みは原作のどこから受け継がれ、何が変わった?」と見るほうが、作品の設計が見えてきます。
『Tokyo middle 30』は韓国ドラマが元ネタ?韓国説を整理
では、検索で見かける「韓国ドラマが原作?」という疑問はどう考えればいいのでしょうか。
答えはシンプルです。
日本版『Tokyo middle 30』の直接の原作は、中国の『Nothing But Thirty』です。
日本版の公式原作クレジットもLinmon Picturesの中国ドラマを示しており、韓国ドラマを原作とする表記はありません。
では、韓国がまったく無関係なのかというと、原作IPの海外展開という意味では接点があります。
『Nothing But Thirty』は中国国外でもローカライズが進んでおり、フジテレビ公式はベトナムやタイでリメイクされたことを紹介しています。さらに2025年のVarietyは、このIPの海外展開としてタイ、ベトナム、日本、韓国のアダプテーションを挙げています。
つまり、整理すべきなのは「系列」です。
中国版を起点として、日本版や他国版がそれぞれ枝分かれしているのであって、日本版が韓国版を経由したわけではありません。

また、「韓国ドラマっぽく感じる」という感想そのものは理解できます。
30代女性の友情を中心に、恋愛、結婚、仕事、家族を並行して描く都市型群像劇は、韓国ドラマでも親しまれている題材だからです。
しかし、作品の雰囲気と原作の出自は分けて考えなければなりません。
検索ユーザーが知りたいのは「なんとなく似ているか」ではなく、「何を正式にリメイクしているのか」です。
その答えは中国の『Nothing But Thirty』。
ここは曖昧にしないほうがいいでしょう。
考察|「30歳の壁」を日本版はなぜ「35歳の選び直し」にした?
ここからは、公式情報を踏まえた僕の考察です。
中国版から日本版への最大の翻訳は、30歳を35歳に変えたこと以上に、「これから何を選ぶか」という物語を、「これまでの選択をどう受け止め、必要なら選び直すか」という物語へ寄せたことではないでしょうか。
麻紀は何もしてこなかったわけではありません。
仕事を手にし、妊娠を経験し、家庭を築き、息子を育ててきた。
遥も夢がかなわなかったから人生が空白だったわけではありません。
東京で働き、店長になり、自分の生活を自分でつないできた。
薫子も結婚していないから止まっていたわけではない。
教師として働き、恋人と長い時間を過ごしてきた。
3人ともちゃんと走ってきたのです。
だからこそ、35歳になって親友と再会したときに苦しい。
高校時代は同じスタート地点に立っていた友人が、20年後には自分の持っていないものを持っている。
仕事。
家庭。
子ども。
恋人。
経済的な安定。
自由。
自分が苦労しているものを、友人だけは簡単に持っているように見えてしまう。
フジテレビも、日本版では親友が支えになる一方、相手の人生が眩しく見え、自分が見ないふりをしていた本音と向き合わされる関係を描くと説明しています。
ここが原作との面白い違いだと僕は思います。
中国版は、異なる社会的位置にいる3人を並べることで、「30歳の女性」という言葉では一括りにできない人生を見せました。
日本版はそこへ「昔は同じ場所にいた」という過去を加えた。
すると比較の痛みが、もっと近くなる。
知らない誰かの成功なら「すごい」で終われるのに、同級生の成功は自分の人生を測る定規になってしまうことがあります。
僕にも、久しぶりに昔の友人と会い、「あの頃は同じ場所で笑っていたのに、ずいぶん違う道を走ってきたんだな」と感じた経験があります。
もちろん、どちらが正しい道だったのかなんて決められません。
人生には同じゴールへ向かう一つの車線があるわけではないからです。

そして、日本版の「35歳」という設定にはもう一つ意味があるように感じます。
30歳なら、まだ「これから変える」という言葉が比較的似合う。
35歳になると、仕事でも家庭でも人間関係でも、積み上げてきたものがあるから簡単には動けません。
捨てるものがある。
守りたいものもある。
それでも、本当に違う道へ行きたいと思ったとき、ハンドルを切れるのか。
僕は『Tokyo middle 30』が描いているのは、そんな「選び直し」の勇気なのだと思います。
脚本を担当する北川亜矢子さんも、30代をキャリア、結婚、妊娠、出産など、その後の人生を左右する選択が集中する時期として捉えています。
だから「middle」というタイトルが効いてくる。
35歳は人生の完成地点ではありません。
文字通り、まだ途中です。
過去の選択を否定せず、それでも次の交差点で方向を変えることはできる。
ステアリングを切る角度は、人生の選択に少し似ています。
大きく切れば景色は変わる。
けれど、ほんの少し切るだけでも、長く走れば到着する場所は違ってくる。
『Tokyo middle 30』は、中国版の「30歳になった女性たち」という強いテーマを受け継ぎながら、日本版では「35歳になっても人生は決まっていない」という物語へ踏み込んだ。
僕はそこに、単なるコピーではないリメイクの意味を感じています。
『Tokyo middle 30』の原作・元ネタは、中国で2020年に放送された『Nothing But Thirty(原題:三十而已)』です。
日本版は2026年7月22日にスタートし、35歳の佐倉麻紀、山地遥、永野薫子という高校時代からの親友3人へ設定を再構築しました。
原作の仕事、家庭、結婚、自立というテーマは残しながら、上海から東京へ、30歳から35歳へ、そして異なる人生を歩む女性たちから「同じ青春を知る親友」へ。
変えた部分を見るほど、逆に原作から受け継いだ問いがはっきりします。
「他人からどう見えるかではなく、自分はこの人生を選びたいと思えているか」。
上海で生まれたその問いが、2026年の東京でもう一度投げかけられている。
ドラマを見終えたあと、自分自身の今いる場所まで少し違って見えるとしたら――。
それこそが、『Nothing But Thirty』をいま日本でリメイクする一番の意味なのかもしれません。
よくある質問
『Tokyo middle 30』の原作は何ですか?
中国ドラマ『Nothing But Thirty』です。
中国原題は『三十而已』で、日本では『30女の思うこと~上海女子物語~』という邦題でも知られています。フジテレビの公式原作欄にもLinmon Pictures制作の『Nothing But Thirty』が明記されています。
『Tokyo middle 30』は韓国ドラマのリメイクですか?
いいえ。日本版が直接リメイクしているのは中国版『Nothing But Thirty』です。
原作IPには韓国を含む他地域での海外展開がありますが、「中国→韓国→日本」という制作経路ではありません。
中国版と『Tokyo middle 30』は同じストーリーですか?
テーマには共通点がありますが、人物設定は大きくローカライズされています。
原作は上海を舞台に30歳の女性3人を描きますが、日本版では東京で暮らす35歳の3人へ変更。さらに麻紀、遥、薫子を高校時代からの親友にし、約20年前の上京の約束や5年ぶりの再会という日本版独自の設定が加えられています。
執筆:岸本 湊人
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