ドラマ『おもかげ』主題歌は誰の曲?歌詞に込められた想い

夜の小さな警察署の窓明かりと、机の上に置かれたヘッドホン 面影(おもかげ)

「おもかげ」がドラマ主題歌として流れたのは、2022年8月放送のNHK夜ドラ「事件は、その周りで起きている」(シリーズ1)で、エンディングを飾ったのはVaundyのセルフカバー版「おもかげ -self cover-」だ。

検索で一緒に出てくるChara「面影」とシド「面影」は、どちらも同名の別曲である。この記事では、原曲とセルフカバーの違い、同名曲との関係を事実ベースで整理し、ドラマ評論を続けてきた僕の視点で読み解いていく。

「おもかげ」が主題歌のドラマはどれ?答えはNHK夜ドラ「事件は、その周りで起きている」

結論:Vaundyが歌う「おもかげ -self cover-」は、小芝風花主演のNHK夜ドラ「事件は、その周りで起きている」のエンディングテーマだ。

まず、ここで扱う範囲をはっきりさせておく。以下はシリーズ1(2022年8月1日〜4日放送)で確認できた情報が基本になる。

同作はNHK総合の「夜ドラ」枠で放送された、1話15分・全4話のシチュエーション・コメディ。コント番組『LIFE!』の制作チームが手がけ、刑事ものなのに事件そのものは描かず、事件の“周り”で起きるトラブルに焦点を当てている。

作品情報を見ると、エンディングテーマはVaundy「おもかげ -self cover-」(Sony Music Labels)と作品全体のクレジットとして記載されている。シリーズごとに別の曲へ差し替えたという記載は、僕が調べた範囲では見当たらなかった。

ただし、2024年9月30日〜10月3日放送のシリーズ2、2026年3月9日〜12日放送のシリーズ3で流れた曲について、シリーズ別に明記した一次情報までは確認しきれていない。最新シリーズで流れた曲を確かめたい人は、NHKの番組公式ページで確認してほしい。

「おもかげ」と「面影」で検索すると、次の曲が混ざって表示されやすい。

  • 「おもかげ」(原曲とセルフカバー=同じ曲の2バージョン):原曲はmilet×Aimer×幾田りら、ドラマで流れたのはVaundy版
  • Chara「面影」:ドラマ主題歌「A・O・U」と同じシングルに入ったもう一方の収録曲
  • シド「面影」:アニメ「天官賜福 貮」日本語吹替版のオープニングテーマ

つまり「曲としては3曲、音源としては4つ」。この数え方を頭に置いておくと、混乱がぐっと減るはずだ。

原曲「おもかげ」とは?milet×Aimer×幾田りら版からVaundyセルフカバーまでの経緯

結論:原曲はmilet×Aimer×幾田りら(ikura)が歌い、Vaundyが作詞・作曲・プロデュースした曲で、2021年12月17日に配信リリースされた。

THE FIRST TAKE発、ソニーのCMで広がった原曲

原曲「おもかげ (produced by Vaundy)」は、YouTubeチャンネル「THE FIRST TAKE」から生まれたアーティストコラボ企画の一曲だ。

ソニーの完全ワイヤレスイヤホン「WF-1000XM4」のCMソングにも起用され、CMには3人の一発撮りパフォーマンスの映像が使われた。

その後の伸びは数字が物語っている。Vaundy公式サイトによると、この曲はBillboard JAPANのストリーミング累計1億回再生を突破(2023年5月の発表)。Vaundyが他のアーティストに提供した曲としては、Ado「逆光」に続く2曲目の1億回突破だった。

2022年末の第73回NHK紅白歌合戦では、milet×Aimer×幾田りら×Vaundyの4人で歌唱し、大きな話題を呼んだ。

※画像はAIによるイメージ

セルフカバーはEP『裸の勇者』の4曲目

Vaundy自身が歌うセルフカバー「おもかげ -self cover-」は、2022年2月23日発売のEP『裸の勇者』に収録された。

公式情報によると、CDは初回生産限定盤・通常盤・期間生産限定盤の3形態で、「おもかげ -self cover-」は全形態共通の4曲目。収録曲は「裸の勇者」「二人話」「HERO」「おもかげ -self cover-」の順だ。

表題曲「裸の勇者」はTVアニメ『王様ランキング』第2クールのオープニングテーマで、2022年1月7日に単曲で先行配信されている。セルフカバーを含むEP全曲の配信は、CD発売直前の2月21日に始まった。

なお、『裸の勇者』はVaundy公式では4曲入りEPとされる一方、オリコンではシングル扱いで集計されている。「シングルのカップリング」と書く記事が多いのはこのためだ。

原曲とVaundyセルフカバーの違いとは?3人の声と1人の声

結論:いちばん大きな違いは「3人の声が交差する曲」か「作り手1人の声で語られる曲」かという点にある。

ここは音楽評論として、僕自身の聴き比べに基づく見解だ。キーやテンポといった数値の比較は公式に公表されていないため、ここでは聴感の違いに絞る。

原曲は、milet、Aimer、幾田りらという声質のまったく違う3人が、フレーズを受け渡しながら進んでいく。一発撮りの緊張感も手伝って、まるで3人の人生が一瞬だけ同じ場所で交わったような華やかさがある。

一方のセルフカバーは、Vaundyの少しかすれた低めの声がひとりで曲を運ぶ。華やかさは引き、代わりに独り言のような近さが生まれている。

同じメロディなのに、原曲が「みんなで分かち合う歌」なら、セルフカバーは「ひとりで思い返す歌」に聴こえる。

僕はこの差こそが、セルフカバー版がドラマのエンディングに選ばれた理由だと考えている。15分の群像コメディが終わったあと、画面の余白に残るのは“誰かひとり”の気配だからだ。

※画像はAIによるイメージ

Vaundy「おもかげ」がED曲に選ばれたドラマ「事件は、その周りで起きている」とは

結論:地方の小さな警察署・新月署を舞台に、事件を一切解決しない刑事たちの“小事件”を描く、1話完結15分のコメディだ。

脚本は『LIFE!』の人気キャラクターを数多く生んだ倉持裕による完全オリジナル、演出は『LIFE!』総合演出の西川毅が担当している。

主な登場人物は次の5人だ。

  • 真野一花(小芝風花):何でも独力でやり遂げたい若手刑事
  • 宇田川和人(笠松将):真野とバディを組む、合理的で効率重視の刑事
  • 谷崎誠(北村有起哉):二人の上司。10歳年上の警部補に頭が上がらない
  • 向田舞(倉科カナ):自称・元科捜研のエース
  • 徳大寺玲央(中野周平/蛙亭):真野に片思いする交通課の警察官

シリーズ3ではゲストに向井理が加わった。シリーズ2の開始前にはシリーズ1が、シリーズ3の前には過去作が再放送されており、NHKがこの作品を“育てるシリーズ”として扱っていることが分かる。

コメディのEDに叙情的な曲を合わせる意味

笑いの作品に、影を帯びた曲を合わせる。この組み合わせは、実はVaundy自身の仕事の中にも手がかりがある。

Vaundyは、アニメ『SPY×FAMILY』Season 2のエンディング「トドメの一撃」を担当した際、作品についてコメディとシリアスのバランスが良いこと、平穏に見える日常の裏でそれぞれの思惑が交差していることを、曲づくりの難しさとして語っていた。

僕は、ここに「事件は、その周りで起きている」との共通点を見る。

真野と宇田川たちの言い争いは笑えるが、その根っこには「人に頼れない」「効率で割り切りたい」といった、誰にでもある不器用さがある。笑いの裏にある小さな本音を、エンディングの一曲がそっと拾い上げる。それがこの起用の効きどころだと考えている。

僕がシリーズ1を見たときも、15分のテンポのいい掛け合いが終わった直後、Vaundyの声が流れた瞬間に、急に部屋の静けさが戻ってくる感覚があった。笑いの熱が引いたあとに残る温度こそ、この作品の余韻なのだと思う。

※画像はAIによるイメージ

Chara「面影」はドラマ主題歌?「最果てから、徒歩5分」との本当の関係

結論:「最果てから、徒歩5分」の主題歌はChara「A・O・U」で、「面影」は同じシングルに収録されたもう一方の曲だ。ドラマの主題歌ではない。

ドラマ「最果てから、徒歩5分」の基本情報

BSテレ東の土曜ドラマ9「最果てから、徒歩5分」は、2022年10月1日にスタートした。

舞台は崖っぷちのオーベルジュ。悲劇と喜劇が入り交じるヒューマンドラマだ。

主演は岡田結実で、これがゴールデンタイム初主演。共演には栁俊太郎、竹財輝之助、内山理名が名を連ねた。

原作は糸井のぞの同名コミック(新潮社バンチコミックス刊)である。

シングル「A・O・U」と「面影」

シングル「A・O・U」は2022年11月1日発売で、Charaの日本コロムビア移籍第1弾。シングルCDとしては約10年ぶりの作品だった。

表題曲はmabanuaがサウンドプロデュースを担当。永久凍土で眠っていた約3万年前の植物が花を咲かせたというニュースに着想を得て作られた。

Charaは、書き下ろしではないのに原作と新曲には「悲劇と喜劇のロマネスク」という共通点がある、とコメントしている。

もう一方の収録曲「面影」は、大橋トリオがサウンドプロデュースを務め、演奏と編曲も手がけたオーガニックなミディアムナンバーだ。

ちなみに「A・O・U」は、ABEMA『恋愛ドラマな恋がしたい in NEW YORK』のドラマ主題歌(第5話)にも起用されている。同じシングルが2つのドラマに関わっていたことも、「Chara 面影 ドラマ」という検索が生まれる一因だと僕は見ている。

※画像はAIによるイメージ

シド「面影」とは?3つの「おもかげ/面影」を比較表で整理

結論:シドの「面影」は、アニメ「天官賜福 貮」日本語吹替版のオープニングテーマで、ドラマとは関係がない。

「天官賜福」は、中国の作家・墨香銅臭のファンタジー小説を原作とするアニメだ。シドは前作に続いてオープニングを担当した。

公式サイトでシドは、「面影」のテーマを距離も時間も越えた永遠の愛だと説明している。

楽曲は2024年1月8日に配信リリースされ、同年3月20日には3形態のシングルCDとして発売された。

ここで、4つの音源を1枚の表にまとめる。

曲名歌唱タイアップ発表時期・ポイント
おもかげ (produced by Vaundy)milet×Aimer×幾田りらソニー「WF-1000XM4」CMソング2021年12月17日配信、THE FIRST TAKE発
おもかげ -self cover-VaundyNHK夜ドラ「事件は、その周りで起きている」ED2022年2月23日発売EP『裸の勇者』4曲目
面影Charaタイアップなし(主題歌「A・O・U」と同じシングルに収録)2022年11月1日発売、大橋トリオがサウンドプロデュース
面影シドアニメ「天官賜福 貮」日本語吹替版OP2024年1月8日配信、3月20日CD発売

こうして並べると、同じ言葉がまったく違う場所で鳴っていることが分かる。ドラマ主題歌として実際に流れたのは、表の2行目だけだ。

「おもかげ」の歌詞のテーマとは?“見えない愛”という核

結論:「おもかげ」の中心にあるのは、喪失を通してはじめて気づく“目に見えない愛”というテーマだ。

歌詞そのものは、正規の配信サービスや歌詞サイトでぜひ確かめてほしい。ここでは引用や言い回しのなぞりはせず、僕が受け取った主題だけを書く。

この曲は、悲しみから目をそらしていた主人公が、何かを失った経験を通じて、ずっとそばにあった大切なものに気づいていく物語として読める。

重さを抱えながらも、曲調は軽やかで、最後には前を向く明るさがある。僕はそこに、面影は過去を縛る影ではなく、今を照らす灯りにもなるというメッセージを受け取った。

この“見えないものに気づく”という構造は、事件そのものではなく周りを描くドラマの視点とよく重なっている。

※画像はAIによるイメージ

考察|「おもかげ」がドラマ主題歌として聴き継がれる理由と今後

ここからは、僕の私見として読んでほしい。

要点:「おもかげ」は、タイアップごとに歌い手と場所を替えながら聴き継がれてきた“移動する曲”であり、その最新の居場所がドラマのエンディングだ。

CM、THE FIRST TAKE、紅白、そしてドラマ。ひとつの曲がこれほど多くの舞台を渡り歩く例は、J-POPでもそう多くない。

しかも舞台が変わるたびに、歌い手の組み合わせも変わっている。3人の声で広まり、4人で紅白に立ち、作り手1人の声でドラマに寄り添う。これは「提供曲は歌い手のもの」という従来の常識を、Vaundyが柔らかく揺さぶった事例だと僕は評価している。

数字の面でも、この曲の定着は裏づけられている。ストリーミング累計1億回突破は、一過性のヒットではなく、繰り返し聴かれる曲になった証拠だ。音楽ナタリーによれば、Vaundyは現在までに計17曲がサブスクでの累計再生1億回を突破しているという。そのなかで「おもかげ」は、提供曲でありながらセルフカバーでもあるという珍しい立ち位置にある。

もうひとつ見逃せないのは、ドラマ側の事情だ。

「事件は、その周りで起きている」は、シリーズ1から約1年半〜2年ごとに続編が作られ、そのたびに過去作が再放送されている。続編のたびに新しい視聴者が過去回に触れ、エンディングの「おもかげ」にも再び出会う。放送が終わったあとも曲が聴かれ続ける仕組みが、シリーズの形そのものに組み込まれているわけだ。

今後、シリーズ4が作られるかどうかは現時点では分からない。ただ、もし続くなら、エンディング曲がどう扱われるかは注目点になるだろう。変わらず「おもかげ」が流れれば作品の“顔”としての地位が固まり、差し替えられれば、それはそれで新しい物語の始まりの合図になるはずだ。

同名曲との混同についても触れておきたい。Chara、シドの「面影」は、本来それぞれ別の文脈で生まれた曲だ。けれど検索という入口で出会い直すことで、互いのリスナーが少しずつ交わっていく。僕はこの“誤解から始まる出会い”も、音楽の楽しみ方のひとつだと考えている。

まとめ|「おもかげ」主題歌ドラマの答え

  • ドラマで流れた「おもかげ」は、Vaundyのセルフカバー版。NHK夜ドラ「事件は、その周りで起きている」(2022年シリーズ1ほか)のエンディングテーマ。
  • 原曲はmilet×Aimer×幾田りらが歌う2021年12月のCMソングで、ストリーミング累計1億回を突破。
  • Chara「面影」とシド「面影」は同名の別曲で、ドラマ主題歌ではない。

笑いのあとに流れる、ひとりの声。その静けさに気づいたとき、このドラマの本当の余韻が始まるのだと僕は思う。

よくある質問

「事件は、その周りで起きている」のシリーズ3でも「おもかげ」は流れた?

作品情報ではエンディングテーマとしてVaundy「おもかげ -self cover-」が記載されていますが、シリーズ3(2026年3月放送)に限定して明記した一次情報は確認できていません。確実に知りたい場合は、NHKの番組公式ページで確認するのがおすすめです。

Vaundy版「おもかげ」はどこで聴ける?

2022年2月23日発売のEP『裸の勇者』に4曲目として収録されています。CDは初回生産限定盤・通常盤・期間生産限定盤の全形態に収録されており、各種配信サービスでも聴くことができます。配信状況は変わる場合があるため、最新情報は各サービスで確認してください。

原曲の「おもかげ」とVaundy版はどう違う?

原曲はmilet、Aimer、幾田りらの3人がフレーズを受け渡して歌うコラボ曲で、Vaundy版は作詞・作曲・プロデュースを手がけたVaundy本人がひとりで歌うセルフカバーです。同じ曲でも、華やかな原曲に対し、セルフカバーは語りかけるような近さが特徴です。

(文・岸本湊人/ドラマ見届け人・湊の部屋)

参考

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