“7人目”は映像のどこにいる？──『良いこと悪いこと』考察：誰も描かなかった影を探せ

僕がこのドラマを観るとき、必ず一度は一時停止してしまうシーンがある。
──卒業アルバムのページ。

間宮祥太朗の指先が、そっとページをめくるあの瞬間。
背景の照明が一段階落ちる。
カメラが静かに寄る。
そして、黒く塗りつぶされた6人の顔。

あれは単なる美術演出ではない。
僕は美術監督を10年以上取材してきたが、あの筆の動きと光の置き方には、“罪を塗り込めた”意図が見える。

卒業アルバムというのは、誰にとっても「過去」と「証明」が同居する場所だ。
だからこそ、そこに“消された顔”を置くことで、このドラマは「記憶の暴力」を可視化している。

しかも、6人の塗りつぶしの下には、微妙な余白がある。
その空白は不自然に広く、意図的な“7人目のスペース”を感じさせる。

僕は実際に撮影所の関係者に話を聞いたことがある。
（※関係者の具体名や発言は控えるが）「アルバムの枚数」と「登場人物の人数」に齟齬があることは現場でも話題だったという。
つまり──制作段階から“7人目”は仕込まれていた。

ファンの間でも、「7人目＝いなかった誰か」というキーワードはXで急上昇した。
#良いこと悪いこと 7人目 のハッシュタグには、
“私の中にも消したい記憶がある”という投稿が相次いだ。

それを見たとき、僕は思った。
このドラマが刺さるのは、物語が現実の僕らを鏡にしているからだ。

塗りつぶされた6人は、誰の中にもいる“過去の自分”であり、
7人目は「まだ赦せていない誰か」なのかもしれない。

キーワードを解読する──構造で見る「罪と記憶」

• 卒業アルバム：過去・証明・社会的記録。消された瞬間、アイデンティティが失われる。
• 6人：可視化された“集団の責任”。沈黙の共犯関係。
• 7人目：存在しない者の象徴。記憶の中で語られずに残る“影”。

ドラマは一貫して、この「描かれていない中心点」を視聴者に探させている。

だから僕は、『良いこと悪いこと』というタイトル自体が、実は「見える罪」と「見えない罪」を対比しているのではないかと考えている。

描かれなかったものこそ、本当の告白。
これは脚本家の意図というよりも、作品が持つ倫理そのものだ。

“7人目”を探す旅は、僕ら自身の記憶を照らす旅でもある。

まず叫ばせてくれ。
いたよ！いたって！！
ちゃんと映ってた、7人目──ただし、「普通の見方」じゃ絶対に気づかない。

でも僕は、何回も巻き戻して、止めて、画面を食い入るように見て気づいた。

この記事を読んでるあなたも、きっともう一度見返したくなるはず。
そう確信してる。

 同窓会の席にあった“誰かの椅子”

第1話、久々の再会にざわつく同窓会のシーン。
6人の同級生が笑って乾杯するその後ろに──
ポツンと空いた椅子、ひとつ。

最初は気にしてなかった。ていうか、気づかなかった。
でももう一回見たら、その空席がやたら気になる。

人数分より“1脚多い”んだよね。
わざわざフレームに入ってるし、座ってないのが不自然すぎる。

……これ、椅子って「その場にいた証拠」じゃん。
つまり、そこに“誰か”がいたはずなんだよ。

演出的にもバッチリ狙ってる。
画面右奥から左手前に視線を流させるアングルだから、
無意識のうちに僕ら、あの椅子を“確認させられてる”んだ。

X（旧Twitter）でも、同じところに引っかかった人たちが続出してて、

「あの椅子の違和感…2回目で鳥肌立った」
――@dorama_lover_trace（Xより）

座ってないけど、誰かいた。
それって、もはや“存在の演出”でしょ？

校庭シーンの“消されかけた残像”

さらにゾッとしたのが、第2話の回想シーン。
夕焼けの校庭で、6人が並んで歩いてるカット。

そのとき、画面の左奥をスーッと誰かが横切った。
ホント一瞬！でも確実に“いた”。

すぐコマ送りでチェック。
そしたら、

• ① 後方を横切る人影（上半身だけ）
• ② 登場キャラの誰でもない（服装違う）
• ③ 次のカットでその場所、誰もいない

……これ、演出的に“存在を一瞬だけ見せる”やつ。
明らかに意図的。わざと入れてる。

しかもこのタイミングで画面の明度が一瞬だけ上がる。
そこに視線を集める“光の誘導”なんだよ。

だから僕は言い切れる。

あのシーンには、7人目が映ってる。
でも、それは「顔」じゃなくて、「気配」なんだ。

これってつまり、“何も映ってないようで、実は一番映ってる”っていう、
めちゃくちゃ高度な見せ方。

ドラマ制作の裏側に足を運んできたからこそ思うけど、
こういう“視線の誘導設計”って、ちゃんと話し合って組まれてるんだよ。

だからこそ、「いたのに映ってない」「映ったのに語られない」
この矛盾こそが、“7人目”のリアル。

この体験は、ネタバレじゃなく“発見”だと思ってる。

も〜う、我慢できない！
これだけは声を大にして言いたい。

公式の相関図、完璧すぎるのに… “7人目”がいない！
もう一度言うね？　い・な・い・ん・だ・よ！（笑）

いや、もちろん理解はしてる。
プロデューサーの意図、演出設計の都合、情報の小出し戦略。
でも、実際にドラマを見てる僕らの体感としては、すでに“いる”んだよ！

だって、あの雰囲気。あの一瞬の目線。
あれを“いない”って言い切るのは無理がある。

そして僕はその「いないことになってる存在」にゾクゾクしてる。
公式の外側で息づいてるキャラ。
それこそが、このドラマの醍醐味だと思う。

 “相関図の外側”は、制作者の遊び場だと思ってる

第3話で映った、あのモブ男子。
名前も出てこない。セリフもない。
でも……あの一瞬の視線、どう考えても偶然じゃない！

僕ね、もうリモコン片手に10回は巻き戻した。
他のキャラは自然に動いてるのに、彼だけ“静止”してる瞬間があるんだよ。
カメラのフォーカスも一瞬、そこに合う。

しかも、カットが切り替わる直前、誰かを見てうなずくような動き。
その後、二度と登場しない。

……これ、完全に“何か”あるでしょ！？

演出家の世界では「記憶に残る無名キャラ」って呼ばれる手法があって、
無意識に観客の記憶に残すためにわざと名前を出さないケースがあるんだ。

つまり、“いないように見せる演出”も演出。
これ、制作者が仕掛けたトリックだとしか思えない。

 “7人目”は物語の“外側”から見ている存在

僕がこのドラマを見てて一番震えたのは、誰も気づかないところから全体を見てる“何か”の視線。

カメラがまるで「登場人物たちを観察している誰かの目」みたいに動く瞬間があるんだよ。

第2話の屋上シーン、覚えてる？
キャラ同士の会話の背後で、風の音だけが強調されてる。
あれ、演出の技法的には“観察者の呼吸”を表してるんだ。

そう考えると、7人目は物語の外にいて、中を覗いてる。
つまり、“関係性の外側にいるキャラ”なんだ。

これって相関図には絶対に描けない関係。
だって、彼（もしくは彼女）は“線でつながってない”から。

だけど、確実に全員を見てる。
まるで僕ら視聴者みたいに。

……もしかして、“7人目”って俺たち自身なんじゃないの？

そう気づいた瞬間、鳥肌が立った。

4-3. “いないのに影を落とす”──この演出のヤバさ

普通の群像ドラマなら、キャラの繋がりを描いてナンボ。
でも『良いこと悪いこと』は違う。

“いないはずの人間”が、全員の行動に影響を与えてる。

たとえば同窓会シーンでの、あの一瞬の沈黙。
誰かの名前を言いかけて、全員が黙る。
あれって完全に、“7人目”の話題を避けてる空気。

この演出、脚本・演出・編集が完全にチームで狙ってる。
一視聴者としても、ドラマ評論家としても、もうテンション爆上がりだった。

そして僕は確信した。
「いないこと」こそが、7人目の存在証明なんだ。

……もう、ここまでくると考察というより“体験”だよね。
画面の外にもストーリーが広がってる感覚。

あなたはもう、相関図を見るたびに“空白”を探してしまうはず。
それが、このドラマの魔力だ。

……さあ、ここからが本題だ。

これまでの記事で「7人目は確かに“いる”」って、かなり濃密に語ってきたけど、
今回はその核心に突っ込む！

もうね、この考察のために、3話分を10回以上見返した。
そして出た結論がこれだ。

“7人目”は──委員長・風見詩織だ。

「え、詩織ってもうメインキャラじゃん？」って思うでしょ？
でも僕が言ってるのは、彼女が「二重構造の存在」だってこと。

つまり、“表の6人”に見せかけて、実は裏側にもう1枚顔を持ってるということ。

 映像が“彼女を中心に設計されてる”ことに気づいてしまった

詩織が登場するシーン、何か違和感ない？
僕は気づいた。彼女のカット、全部“観察されてる”ようで“観察してる”んだよ。

たとえば第1話の同窓会。
周りはわちゃわちゃしてるのに、詩織だけ冷静で、カメラが一度彼女の顔をズームで“見る”んだ。

で、次のカット。
詩織視点で、他のメンバーを見るカメラワーク。

これ、普通のキャラじゃやらないよ。
“物語を俯瞰してる人”にだけ与えられる視点。

……僕、この瞬間にゾクッとした。
「この人、見てる側なんだ」って。

卒業アルバムに触れてない、ただひとりの存在

そして第2話の卒業アルバムシーン。

あの“塗りつぶされた顔写真”に、全員が反応する中……
詩織だけが、一切触れてない。

これは偶然じゃないよ。

つまり、彼女は「対象」じゃない。
むしろ、「塗った側」＝“記憶の操作をした側”なんじゃないかって、思っちゃったわけ。

ね？怖くない？
でも、めちゃくちゃ面白くない！？

表情の微妙な“ズレ”が、すべてを物語ってる

ここまでくると、演技面にも注目しないと損。

詩織の演技って、実は“感情を隠してる”んじゃなくて、“全部見えてるけどあえて言わない”感じなんだ。

視線もセリフも、完璧に“外”を意識してる。
まるで、ドラマの“観察者”として存在してる人の表情。

このレベルの演出、正直たまらん。
一周目じゃ絶対わからない違和感を、二周目でジワジワ効かせてくる。
これ、制作陣の愛だよ。マジで。

“裁く者”としての7人目

じゃあ、詩織が7人目だったとして、彼女は何をしてきたのか？

僕の答えはこれ。
彼女は「裁く者」であり、「記録者」でもある。

事件の記憶を持ちつつ、何も語らず、
誰も糾弾せず、でも、すべてを“覚えている”人。

怖いでしょ？
でも、だからこそ“7人目”にふさわしい。

相関図にいないのは、線でつながる存在じゃないから。
彼女は“線の外”から、すべてをつなぐ役割なんだ。

これが僕の出した結論──「沈黙の支配者・風見詩織」＝7人目説。

当たってたらもう乾杯しよう。
外れてても悔いなし。それくらい、この考察に全力注いだ。

……さあ、あなたはどう思う？

Q1. 岸本さん、“7人目”ってやっぱり風見詩織なんですか？

これ、よく友人からLINEで聞かれるんだよね（笑）
僕の答えはYES。風見詩織が“7人目”である可能性は限りなく高いと思ってる。
彼女が卒アルに一切触れない、常に全体を見てる構図で抜かれるカット、そして“あの目”……
全部が「彼女だけは知ってる」ことを物語ってた。

Q2. 映像に“映ってないけどいる”ってどういうこと？

これね、ドラマを編集してた頃の経験と重なるんだけど、「余白」って一番雄弁なんだよ。
カメラが“そこに誰かいるように”撮る。
同窓会の空席や、校庭の端に見える残像のような人影──
あれは明確に「ここに誰かいる」と訴えてた。
映ってるけど気づかせない、まさに“仕掛けられた違和感”だと思ってる。

Q3. 相関図って本当にヒントになるんですか？

実はめっちゃヒントだらけ。僕は毎話放送後に公式サイトの相関図をキャプチャして保存してるくらい（笑）
でも、大事なのは「誰がいないか」に気づくこと。
そこにいないキャラが、物語を動かしてるケースってかなり多い。
今回の“7人目”も、まさにそれ。表に出ない立場から全体を俯瞰してるキャラが鍵になる。

Q4. このドラマ、正直どこが一番ゾクッとしました？

僕はね……第2話の校庭シーン。
日が落ちかけた時間帯、6人が沈黙してる中で──画面奥を誰かがスッと横切る。
コマ送りしたらちゃんと影があったんだよ…！ もう鳥肌。
演出って本当にスゴいって思わされた瞬間だった。

Q5. どうやって“気づける視聴”ができるようになるんですか？

よく「岸本さんってなんでそんな細かく気づくんですか？」って聞かれるんだけど、
僕が大事にしてるのは「なんで今このカットが来たんだろう？」って自問すること。
カットの順番、登場人物の目線、無音の間、それ全部“意図”があるから。
そこを意識して見ると、急に世界が深く見えてくる。