『ブラックトリック』の元ネタが『オッドタクシー』だという公式情報はありません。似ているのは原作関係ではなく、伏線と情報操作で視聴者の認識を反転させる構造です。
2026年7月15日時点では『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』は放送開始前です。そのため、この記事では公表済みの設定を基に、共通点と違いを事実・予想に分けて考察します。
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『ブラックトリック』の元ネタはオッドタクシーなのか?
結論から言えば、『ブラックトリック』の原作・原案・元ネタが『オッドタクシー』だとする発表はありません。
『ブラックトリック~裁きを操る弁護人~』は、2026年7月20日からフジテレビ系の月9枠で始まる完全オリジナルのリーガルドラマです。
放送時間は毎週月曜21時から21時54分。GACKTさんがフジテレビの連続ドラマに初出演し、月9初主演を務めます。フジテレビ+1
GACKTさんが演じる浦真鷲直人は、敏腕弁護士であると同時に一級建築士でもある異色の主人公です。
巨大な権力が作り上げた嘘に対し、浦真鷲も巧みな嘘やハッタリ、心理戦、緻密な罠を使って対抗します。
公式が掲げている作品の核は、「嘘で歪められた真実を、嘘で取り戻す」という危うい正義です。浦真鷲は正攻法だけで戦う弁護士ではなく、依頼人を救うためなら証拠や状況さえ「設計」してしまうダークヒーローとして描かれます。フジテレビ+1
一方、『オッドタクシー』は2021年4月に放送されたオリジナルテレビアニメです。
主人公は、花江夏樹さんが声を担当した41歳のタクシー運転手・小戸川。乗客たちとの一見何げない会話が、やがて一人の少女の失踪事件へつながっていきます。
企画・原作はP.I.C.S.、脚本は此元和津也さん、監督・キャラクターデザインは木下麦さんが担当しました。アニメーション制作はP.I.C.S.とOLMです。P.I.C.S.|株式会社ピクス
つまり、二つの作品は制作会社、原作者、脚本家、作品形態のいずれを見ても直接的な原作関係にはありません。
『ブラックトリック』の脚本を担当するのは、吉髙寿男さん、市東さやかさん、阿部沙耶佳さん、萩森淳さん、北浦勝大さん、鈴木洋介さん、金沢達也さんの7人です。
演出には三橋利行さん、下畠優太さん、林徹さんが名を連ね、プロデュースは『ガリレオ』シリーズや『HERO』シリーズで知られる牧野正さんが担当します。フジテレビ
したがって、検索するときに使われる「元ネタ」という言葉より、別々に作られた作品のミステリー構造に共通点があると表現する方が正確です。
僕は、ここを最初に切り分けておくことが大切だと感じます。
雰囲気や仕掛けが似ていることと、原作や原案を借りていることは同じではありません。似ているという感覚だけで「元ネタ」と断定すれば、それぞれの作り手が設計した物語の個性を見失ってしまいます。
『ブラックトリック』とオッドタクシーが似ている4つの共通点
『ブラックトリック』は放送前のため、物語全体の構造や最終的などんでん返しはまだ明らかになっていません。
それでも、公式に公表された設定からは、『オッドタクシー』を連想させる要素が見えてきます。
共通点1:最初に見せられた情報を信用できない
最も大きな共通点は、視聴者が最初に受け取った情報が、必ずしも真実ではないという点です。
『ブラックトリック』では、巨大権力が証拠や世論を操作し、無実の人物を悪人に仕立てる事件が描かれます。
ネットで拡散された印象、メディアの報道、法廷へ提出された証拠。多くの人が信じたからといって、それが事実とは限りません。
浦真鷲は世間の評価をそのまま受け入れず、自分の目で依頼人を確かめます。
ただし、彼が真実を取り戻す方法も正直とは言えません。
浦真鷲が作り出す嘘の証拠や罠も、「ブラックトリック」を構成する部品だからです。視聴者は権力者だけでなく、主人公が見せるものまで疑いながら物語を追うことになります。
『オッドタクシー』でも、一人の証言や一つの場面だけでは事件の全体像が分かりませんでした。
小戸川のタクシーへ乗り込む人物たちは、それぞれ秘密や欲望を抱えています。会話の中で嘘をつく者もいれば、重要な情報をあえて話さない者もいます。
何げない雑談、ドライブレコーダーの映像、スマートフォン、ボールペン、金の動き。散らばった情報をつなぎ直すことで、ようやく女子高生失踪事件の輪郭が見えてきました。
両作品で重要なのは、嘘の有無だけではありません。
誰が、何の目的で、どの情報を、どの順番で見せたのか。
この情報の順番が、視聴者の判断を特定の方向へ誘導します。
夜道では、同じ交差点でも入る角度によって違う景色に見えるものです。ミステリーにおける情報も同じで、最初の角度を少し変えるだけで、視聴者は別の真実へ運ばれてしまいます。
共通点2:複数人物の行動が一本の事件につながる
『オッドタクシー』は、小戸川一人だけを追えば理解できる物語ではありません。
バズりたい大学生の樺沢、看護師の白川、アイドルグループ「ミステリーキッス」、警察官の大門兄弟、裏社会に生きるドブやヤノ、ゲームへ執着する田中など、多数の人物がそれぞれ異なる目的で動きます。
序盤では無関係に見えた人物たちの選択が少しずつ重なり、終盤には一つの大きな事件へ収束しました。
『ブラックトリック』でも、浦真鷲が一人で法廷を支配するわけではありません。
彼が所属する「はかり建築設計事務所」には、所長で一級建築士の呉田利静、事務・経理・広報を担う紺野飛香、アルバイトの中崎遊星、一級建築士の鯖山周平、アシスタントの土生洸太がいます。
呉田利静を竹財輝之助さん、紺野飛香を三浦真椰さん、中崎遊星を春本ヒロさん、鯖山周平を戸塚純貴さん、土生洸太を神尾楓珠さんが演じます。フジテレビ+1
浦真鷲は、この建築設計事務所の仲間たちへ予測不能な指示を出し、法廷の外で罠を組み立てます。
ある人物が建物を調査し、別の人物が関係者へ接触する。失敗に見えた行動が相手を油断させ、最後には一つの逆転劇を完成させる。
そのようなチーム戦になることが予想されます。
ただし、現時点で『ブラックトリック』が『オッドタクシー』と同じ規模の群像劇になるとは断定できません。
『オッドタクシー』は街に生きる多数の人間が物語の主体でしたが、『ブラックトリック』では浦真鷲がチームを動かす中心人物です。
似ているのは、脇役の行動まで伏線になり得る点です。
人の運命は一本の大通りだけで動くのではありません。名も知らない誰かが曲がった小さな路地が、遠く離れた人の人生へつながることがあります。
共通点3:SNSやメディアによる情報操作を描く
『ブラックトリック』の背景には、ネットやメディアの情報によって悪人が簡単に作られてしまう現代社会があります。
本人が何を訴えているかより、短く切り取られた映像や刺激的な見出しの方が広く届く。疑惑が繰り返し拡散されれば、証明されていない話まで事実のように受け取られてしまいます。
浦真鷲が戦う相手は、法廷にいる検事や証人だけではありません。
一度決められた世間の印象も、彼が崩さなければならない巨大な壁です。
『オッドタクシー』でも、SNSや動画配信は単なる小道具ではありませんでした。
樺沢は注目を集めたいという欲求から事件へ近づき、発信する側になります。しかし、本人が制御できないほど反応が広がると、現実の人間関係や裏社会の動きまで変えてしまいます。
両作品が描くのは、情報を持つ者だけが強い社会ではありません。
情報を編集し、もっともらしい物語として広められる者が強い社会です。
これは2026年に『ブラックトリック』が放送される意味にもつながります。
情報量が増えれば真実へ近づけるとは限りません。むしろ、事実と意見、報道と演出、告発と印象操作を見分ける力が必要になります。
視聴者にとって浦真鷲の戦いは、特殊な法廷劇ではなく、自分が日々見ているニュースやSNSの受け取り方を振り返る物語になるのかもしれません。
共通点4:小道具や場所が伏線になる
以下には、『オッドタクシー』終盤の仕掛けに触れる内容が含まれます。
『オッドタクシー』では、ドライブレコーダー、押し入れ、スマートフォン、消しゴム、ボールペンなど、画面に自然に置かれた物が後から重要な意味を持ちました。
特にボールペンは、テレビアニメ本編だけでなく、放送と並行して公開されたオーディオドラマにも関わる仕掛けです。
初めて見たときには背景の一部にしか思えなかった物が、物語を見直すと事件の中心に置かれている。
この「最初から見えていたのに気づけなかった」という感覚が、伏線回収の大きな快感になりました。
『ブラックトリック』では、浦真鷲が一級建築士であることから、建物や空間そのものが証拠になる可能性があります。
例えば、次のような検証です。
- 証人がいた場所から、本当に事件現場が見えたのか
- 証言どおりの時間で、建物内を移動できたのか
- 窓の向きや採光から、写真の撮影時刻を判断できないか
- 図面と現場の構造に食い違いがないか
- 防音、死角、非常口、隠された部屋が事件に関係していないか
一般的なリーガルドラマでは、書類、証言、鑑定結果が逆転の鍵になりやすいものです。
本作ではそこへ建築知識が加わります。壁、窓、階段、廊下、光、音、距離までが証言者になる可能性があるのです。

これは『オッドタクシー』との共通点であると同時に、『ブラックトリック』だけが持つ強い個性でもあります。
タクシーが別々の人物をつなぐ「移動する密室」だったとすれば、建築物は人間の行動を制限する「動かない証人」です。
この対照は、二つの作品を比較するうえで見逃せないポイントでしょう。
『ブラックトリック』とオッドタクシーの違いは?
共通点はありますが、物語の中心人物、真相への近づき方、どんでん返しの性質は大きく異なります。
比較項目 ブラックトリック オッドタクシー
作品形態 実写のリーガルドラマ オリジナルテレビアニメ
主人公 弁護士兼一級建築士・浦真鷲直人 タクシー運転手・小戸川
主な舞台 法廷、建築設計事務所、事件現場 タクシー車内、街、芸能界、警察、裏社会
真実への接近 罠、ハッタリ、心理戦、建築知識 会話、偶然の接触、映像、複数人物の行動
主人公の役割 自ら仕掛けを設計する 散らばった人物や事件をつなぐ
反転するもの 証拠、証言、勝敗、作戦の意味 認識、人物関係、事件の時系列
基本的な見せ方 各話の事件と縦軸の謎が想定される 多数の物語が終盤で収束する連続劇
浦真鷲は「仕掛ける側」、小戸川は「つながれる側」
浦真鷲は、事件の外側から偶然巻き込まれる人物ではありません。
相手の心理を読み、チームへ指示を出し、敵が特定の行動を選ぶように盤面を作ります。
単に証拠を発見するのではなく、相手が隠している証拠や本音を引きずり出すための状況を設計する人物です。
将棋に例えるなら、相手の次の一手を当てるだけではありません。
相手がその一手を指すしかない形を、何手も前から組み立てておく存在です。
小戸川は、巨大な計画を作って全員を動かしていたわけではありません。
タクシー運転手という仕事を通じて、別々の事情を抱えた人々と出会います。
小戸川の車内は作戦を立てる司令室ではなく、普段なら交わらない人生が一時的に隣り合う場所でした。
浦真鷲が物語を動かす「設計者」なら、小戸川は散らばった物語を結びつける「中継点」です。
この違いにより、どんでん返しの驚き方も変わります。
『ブラックトリック』では、「浦真鷲はどこまで先を読んでいたのか」が驚きになりやすいでしょう。
『オッドタクシー』では、「視聴者はすでに答えを見ていたのに、その意味を誤解していた」という驚きが中心でした。
法廷で決着する物語と街全体で収束する物語
『ブラックトリック』は、無実の罪を着せられた依頼人を救うリーガルエンターテインメントです。
法廷外でどれほど複雑な作戦が動いても、証言や証拠を崩し、依頼人の無罪を勝ち取ることが大きな目的になります。
第1話には芸能事務所社長の石川修人と衆議院議員の息子・田島祐希、第2話には元アイドルで都議会議員の新島みく、第3話には谷津製作所副社長の谷津浩輔と警視庁公安部長の的場敦史が登場します。
第4話には帝都医科大学教授の島津真理子と、帝都医科大学病院の医師・遠野正親が登場すると発表されています。フジテレビ
芸能、政治、製造業、警察、医療と、事件の舞台は幅広く用意されています。
各話で独立した事件を解決しながら、浦真鷲の過去、大物政治家・古瀬義親、物語の鍵を握る白元美志らに関する長期的な謎が進む可能性があります。
ただし、縦軸の具体的な構造は放送前のため、現時点では予想です。
一方の『オッドタクシー』は、一つの法的争点へ向かう作品ではありません。
失踪事件を中心にしながら、金銭トラブル、芸能界、警察、裏社会、友情、承認欲求といった複数の問題が街全体へ広がります。
終盤で人物同士のつながりは明らかになりますが、全員の問題が同じ方法で解決するわけではありません。
『ブラックトリック』が各話ごとに一枚の設計図を完成させるドラマなら、『オッドタクシー』は街を上空から見下ろしたとき、無数の道路が一枚の地図としてつながる作品です。
最大の違いは「何が反転するか」
『オッドタクシー』を象徴する仕掛けは、犯人が誰かという問題だけではありません。
視聴者が作品世界をどう見ていたのか、その前提自体を問い直すどんでん返しでした。
小戸川が周囲の人々を動物の姿として認識していたことには理由があり、終盤で見え方が変化します。
この反転により、親しみやすく見えていた動物たちの世界が、生々しい人間社会として再構成されました。
『ブラックトリック』で反転すると考えられるのは、事件の組み立て方です。
公式情報では、浦真鷲が作った嘘の証拠や罠が「ブラックトリック」の一部だと説明されています。敵との知的バトルと大どんでん返しも、作品の見どころとして明示されています。フジテレビ+1
そのため、次のような展開が考えられます。
- 本物だと思われた証拠が、浦真鷲の作った仕掛けだった
- 失敗に見えた行動が、相手を油断させる計画だった
- 追い詰められた浦真鷲の姿そのものが演技だった
- 依頼人の証言にも嘘があり、浦真鷲は最初から把握していた
- 味方の独断に見えた行動が、チーム全体の作戦だった
『オッドタクシー』は世界の見え方を反転させました。
『ブラックトリック』は証拠の意味、作戦の目的、法廷の勝敗を反転させる作品になると予想できます。
『ブラックトリック』のどんでん返しはどう描かれる?
『ブラックトリック』では、各話の依頼人を救う逆転と、シリーズ全体を貫く大きな逆転が重ねられる可能性があります。
その根拠の一つが制作陣です。
演出の三橋利行さんは『コンフィデンスマンJP』シリーズにも参加し、プロデューサーの古郡真也さんも同シリーズを手がけています。
プロデュースの牧野正さんは、『ガリレオ』シリーズや『HERO』シリーズに携わってきました。フジテレビ
もちろん、過去の作品と同じ仕掛けになるとは限りません。
ただ、法廷の論理、科学的な検証、信用できない人物同士の駆け引きを、テンポよく組み合わせる制作体制であることは分かります。
GACKTさんも台本について、第1話の展開感を強く感じたことや、せりふのキャッチボールとテンポを大切にしたいと語っています。Real Sound|リアルサウンド
この発言から考えると、最後の数分だけで種明かしをするのではなく、会話の応酬そのものが罠になっている可能性があります。
浦真鷲は相手を問い詰めて自白させるだけではなく、相手が自分から余計なことを話してしまうように会話を組み立てるのでしょう。
僕が注目しているのは、浦真鷲の勝利にも代償があるのかという点です。
竹財輝之助さんは台本を読んだ印象として、「毒を持って毒を制す」「必要悪」「ダークヒーロー」という言葉を挙げています。
さらに、浦真鷲たちが行うこと自体は、正しいとは言い切れない可能性を示しました。フジテレビ
浦真鷲は無実の依頼人を救うヒーローです。
しかし、証拠を作り、証言を誘導し、相手を罠へかける行為を繰り返せば、彼自身も法や正義の境界線を越えていきます。
アクセルを踏む理由が正しくても、走っている道まで正しいとは限りません。
敵を倒した瞬間には爽快感があるでしょう。
その直後に、「この勝ち方を認めてよいのか」という小さな痛みが残れば、『ブラックトリック』は単純な勧善懲悪を超えた作品になります。

さらに重要なのが、浦真鷲を取り巻く人物です。
志田未来さん演じる麻生縁は、コルディア総合法律事務所で働くエリート弁護士。白元美志との関係をきっかけに、弁護士を志した人物です。
北村一輝さん演じる古瀬義親は大物政治家で、ポスタービジュアルでも浦真鷲を囲む主要人物として配置されています。フジテレビ+1
麻生縁は、法に従う正統派の弁護士として浦真鷲と対立するのか。
それとも、正攻法だけでは救えない現実に直面し、浦真鷲へ近づいていくのか。
古瀬義親は巨大権力を象徴する敵なのか、それとも視聴者が敵だと思い込むように配置された人物なのか。
放送前の今は答えが分かりません。
だからこそ、人物の肩書だけで善悪を決めないことが、作品を楽しむ第一歩になるでしょう。
考察|似ているのは物語ではなく「視聴者の騙し方」
僕は、『ブラックトリック』と『オッドタクシー』が似て見える最大の理由は、あらすじや主人公の設定ではないと考えています。
共通しているのは、視聴者へ情報を渡す順番を利用して、思い込みを作る方法です。
どんでん返しのある作品で、重要な情報を最後まで完全に隠してしまえば、種明かしは後出しに見えます。
反対に、答えを分かりやすく見せれば、視聴者にすぐ読まれてしまいます。
優れた伏線は、答えを隠すのではありません。
答えを画面の中へ置きながら、それが答えだと気づかせないのです。
『オッドタクシー』は、会話の端、背景の小物、人物同士の意外な接点へ答えを忍ばせました。
それぞれの情報は視聴者へ公平に示されています。しかし、その意味を理解するための角度だけが、最後まで伏せられていました。
『ブラックトリック』では、建築図面、現場の構造、証拠の配置、チームの不自然な行動、浦真鷲の言葉の裏側へ答えが置かれるのではないでしょうか。
ここで僕が期待しているのは、単なる「実は作戦でした」という種明かしではありません。
浦真鷲が相手だけでなく、視聴者の正義感まで誘導していたと分かる展開です。
例えば、ドラマの前半で明らかな悪人に見えた人物が、実は切り取られた情報によって悪人に仕立てられていたとします。
視聴者は浦真鷲と同じように情報を疑っているつもりでも、ドラマが用意した印象へ乗せられていたことになります。
これは、『ブラックトリック』のテーマと非常に相性がよい仕掛けです。
権力者が世間向けの物語を作る。
浦真鷲がそれを壊すための物語を作る。
そしてドラマ自身が、視聴者を騙すための物語を作る。
この三層が重なれば、『ブラックトリック』は単なる逆転法廷劇ではなくなります。
見る側の情報判断まで試す、現代的なミステリーになるでしょう。
『オッドタクシー』は、複雑に絡まった糸が最後に一つの模様へ変わる作品でした。
『ブラックトリック』は、完成したと思っていた設計図を裏返すと、まったく別の建物が描かれていたと分かる作品になるかもしれません。
ただし、二つの作品には決定的な違いがあります。
『オッドタクシー』では、人物たちの小さな嘘、欲望、善意、偶然が連鎖し、街全体で一つの事件を作りました。
誰か一人だけがすべてを操っていたわけではありません。
『ブラックトリック』では、浦真鷲という強い設計者が物語の中心にいます。
そのため、仕掛けがあまりにも万能になると、「結局は主人公がすべて先読みしていた」で終わってしまう危険もあります。
面白さを左右するのは、浦真鷲にも読み切れない人間の感情が描かれるかどうかです。
図面には壁の位置も、階段の寸法も、扉の開く方向も記せます。
けれど、人が罪悪感に耐えられなくなる瞬間や、愛する人のために予定外の選択をする瞬間までは設計できません。
完璧な策略へ、人間の感情が小さな狂いを生じさせる。
その狂いを浦真鷲がどう受け止めるのかが、本作独自のドラマになると僕は考えています。
もう一つ注目したいのは、「ブラックトリック」という言葉の意味です。
表面的には、浦真鷲が作る証拠、罠、ハッタリを指しています。
しかし物語が進めば、権力者が世論を操る手法、メディアが印象を作る編集、企業が不都合な事実を隠す仕組みまで、すべてがブラックトリックとして見えてくるかもしれません。
そのとき、タイトルは主人公の必殺技ではなく、社会全体に張り巡らされた情報操作の総称へ変わります。
浦真鷲の鮮やかな勝利に拍手しながら、僕たちも根拠の薄い評判や、切り取られた映像を信じていなかったかと問われる。
そこまで描かれれば、『ブラックトリック』は「オッドタクシーに似ている作品」という比較を超えていくはずです。
本当に優れたどんでん返しは、犯人や証拠だけを裏返すものではありません。
見終わった人の価値観を静かに裏返し、昨日まで信じていた景色へ細い亀裂を入れるものです。
まとめ|『ブラックトリック』の元ネタ説は断定できない
『ブラックトリック』の元ネタが『オッドタクシー』だという公式発表はありません。
『ブラックトリック』は原作漫画や小説を持たない完全オリジナルドラマで、2026年7月20日からフジテレビ系月9枠で放送されます。
両作品には、次の共通点があります。
- 最初に見せられた情報をそのまま信用できない
- 複数人物の小さな行動が大きな事件へつながる
- SNSやメディアが作る印象を物語へ取り入れている
- 小道具や場所が重要な伏線になり得る
- 情報の意味を終盤で反転させる構造がある
ただし、主人公の役割は大きく違います。
小戸川が街を走りながら別々の人生をつないだ人物だとすれば、浦真鷲は自ら嘘の設計図を描き、敵を罠へ導く人物です。
『オッドタクシー』が世界の見え方を反転させたのに対し、『ブラックトリック』は証拠、作戦、法廷の勝敗を反転させる作品になると予想できます。
放送が始まったら、浦真鷲の派手な言動だけでなく、建物の構造、背景の小物、チームの不可解な行動にも目を向けてみてください。
ドラマが終わったあと、最初から見えていた景色が、まるで別の建物のように立ち上がるかもしれません。
よくある質問
『ブラックトリック』の原作はオッドタクシーですか?
いいえ。『ブラックトリック』は完全オリジナルストーリーです。『オッドタクシー』が原作、原案、参考作品だという公式発表もありません。
『ブラックトリック』とオッドタクシーは何が似ていますか?
信用できない情報、複数人物の行動がつながる構造、SNSによる印象操作、小道具を使った伏線、終盤で意味が反転する見せ方などに共通点があります。
『ブラックトリック』のどんでん返しは確定していますか?
公式は、敵との知的バトルと大どんでん返しを見どころとして紹介しています。ただし、2026年7月15日時点では放送前のため、具体的な仕掛けや最終的な結末は明かされていません。
執筆:岸本 湊人
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