『VIVANT』の1話1億円は報道上の数字で、公式に確認できるのはモンゴル撮影の予算超過までです。
総制作費、スポンサー収入、配信権料、最終損益は公表されていません。ただし、視聴率、国内配信、Netflix世界配信、2026年の2クール続編まで含めると、地上波広告だけで回収する作品ではなかったことが見えてきます。
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VIVANTの制作費1話1億円は本当?
結論から言えば、「1話1億円」はTBSが公式発表した制作費ではありません。
この数字は、2023年9月5日にNEWSポストセブンが関係者の証言として報じたものです。一方、TBSは同年8月31日の改編説明会で制作費を尋ねられましたが、具体的な金額を明かしませんでした。
公開情報を「公式確認」「報道」「非公表」の3つに分けると、現在地が分かりやすくなります。
情報の区分 確認できる内容 発表主体・時期
公式に確認済み モンゴル撮影で当初予算を上回った 福澤克雄監督・2023年12月20日
メディア報道 制作費は1話あたり約1億円 NEWSポストセブン・2023年9月5日
非公表 総制作費、広告収入、配信権料、最終損益 TBSは具体額を開示せず
公式に確認済み U-NEXT、無料配信、Netflix世界配信などを実施 TBS、U-NEXT
公式に確認済み 2026年7月26日から2クール続編を放送 TBS
福澤克雄監督は、TBS INNOVATION LANDが2023年12月20日に公開したインタビューで、モンゴルに約2か月滞在し、慣れない環境で撮影した結果、当初の予算を超えたと説明しています。
したがって、正しく言えるのは次の二点です。
- 海外ロケによる予算超過は公式に確認できる
- 1話1億円と最終赤字は公式には確認できない
「1話1億円なら全10話で10億円」と計算したくなりますが、それも正確ではありません。
報道された1億円に、出演料、海外ロケ、国内撮影、編集、音楽、特殊効果、宣伝費、拡大放送分の費用がどこまで含まれているのか分からないからです。
さらに『VIVANT』は、初回108分をはじめ、通常より長い放送回が複数ありました。1話ごとの尺が一定ではない以上、単純な掛け算では制作費総額を求められません。
赤字説が広がった背景には、「1話1億円」という強い数字と、福澤監督が認めた予算超過がありました。
しかし、予算を超えたことは、予定より支出が増えたという意味です。作品全体の収入を差し引いた結果まで赤字だったことを示すものではありません。
夜の砂漠では、遠くの灯りほど近くに見えることがあります。
『VIVANT』の赤字説もまた、目立つ制作費だけを見れば近く感じますが、収益資料がない以上、その正体まではつかめないのです。

なぜVIVANTの制作費は高額化した?他の日曜劇場との違い
『VIVANT』の制作費が膨らんだ最大の理由は、モンゴルで約2か月から2か月半に及んだ長期海外撮影です。
福澤克雄監督は滞在期間を約2か月と説明しています。一方、演出を担当した加藤亜季子さんは、別のTBS公式インタビューでモンゴル滞在を約2か月半と振り返っています。担当期間や数え方に違いはあるものの、連続ドラマとして異例の長期ロケだった点は共通しています。
海外撮影で必要になるのは、航空券やホテル代だけではありません。
- 撮影機材、衣装、小道具の国際輸送
- 現地スタッフ、通訳、運転手の手配
- 車両、動物、エキストラ、撮影場所の確保
- 食事、医療、通信、衛生環境の整備
- 撮影許可と安全管理
- 天候や移動遅延に対応する予備日
- 撮影データの保管と国内への共有
道路や水道などの環境が日本とは異なる地域では、撮影以外の時間と人員も増えます。砂漠の風景そのものに料金はかからなくても、そこへ数十人規模の撮影隊を運び、安全に撮って戻るまでには大きな費用が必要です。
同じTBS日曜劇場の海外ロケと比べても、その規模は際立ちます。
2024年放送の『ブラックペアン シーズン2』では、オーストラリア・ゴールドコーストで10日間のロケが行われました。オーストラリア政府観光局とTBSは、これを大規模な撮影として紹介しています。
撮影内容、出演者数、物価、移動条件が違うため、両作品の費用を直接比較することはできません。
それでも、海外ロケとして大規模とされた『ブラックペアン シーズン2』が10日間だったのに対し、『VIVANT』は約2か月以上です。撮影期間だけを見ても、『VIVANT』が通常の日曜劇場とは異なる制作計画だったことが分かります。
豪華キャストは物語の仕掛けにもなった
第1シーズンには、堺雅人さん、阿部寛さん、二階堂ふみさん、松坂桃李さん、役所広司さん、小日向文世さんら、主演経験の豊富な俳優が集まりました。
第1話の最後には、事前に出演が発表されていなかった二宮和也さんが登場しています。
個別の出演料は公表されていないため、キャスト費を具体的に計算することはできません。ただし、一般に主役級の俳優を多数起用すれば、出演料だけでなく、撮影日程の調整や情報管理にも相応の負担が生じる可能性があります。
『VIVANT』の場合、豪華キャストは宣伝のためだけではありませんでした。
誰もが重要人物に見える配役によって、乃木憂助、野崎守、柚木薫、黒須駿、ノゴーン・ベキのうち、誰が敵で誰が味方なのかを読みにくくしています。
福澤監督は、本来なら第1話で乃木が別班員だと明かす構想もあったものの、正体を伏せ、逃走や潜伏を中心とした映画的な展開を選んだと説明しました。第2話、第3話と視聴率が上昇したことで、その判断が機能したと振り返っています。
秘密を第4話まで守るためには、俳優の表情、台詞、小道具、衣装、撮影角度、編集を細かくそろえなければなりません。
僕は、『VIVANT』の制作費には、砂漠や爆破を映す費用だけでなく、物語の正体を壊さず運ぶための設計費も含まれていたと考えています。
画面に映る豪華さは氷山の上です。
その下には、視聴者に先を読ませないための準備と、数か月にわたって巨大な物語を動かす人々の時間が沈んでいました。

VIVANTのスポンサーはどこ?広告収入だけで回収できた?
2023年当時の日曜劇場では、固定スポンサーとして花王、サントリー、日本生命、SUBARUの4社が挙げられていました。
これは番組の提供表示や当時の報道から確認できる企業名です。ただし、各社が『VIVANT』に支払った契約額、追加出稿額、スポンサー収入の合計は公開されていません。
スポンサー名が分かることと、番組の広告収入が分かることは別です。
テレビ広告には、特定番組を提供するタイムCMと、放送局が時間帯や期間を組み合わせて販売するスポットCMがあります。
固定スポンサーが存在しても、契約金額は契約期間、放送地域、提供秒数、企業との年間取引などによって変わります。外部から提供表示を見るだけでは、『VIVANT』単体に配分された金額を計算できません。
拡大放送は6回だったが収入増とは限らない
『VIVANT』は全10話のうち、初回や最終回を含む6回が拡大放送だったとJBpressが集計しています。
放送時間が長くなれば、通常回より多くのCMを編成できる可能性はあります。
しかし、増えたCM枠が新規販売されたのか、既存スポンサーとの契約内で調整されたのか、別番組から振り替えられたのかは分かりません。
拡大放送には、撮影、編集、音楽、字幕、宣伝などの追加費用も発生します。
そのため、「放送時間が延びたから、その分だけ利益が増えた」とは言えません。
視聴率は広告価値を示す材料になった
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