『豊臣兄弟!』の前田利家役は大東駿介さん。第32回では、秀吉と柴田勝家の間で人生を選ぶ利家が描かれました。
歴代大河の前田利家と比べても、2026年版の特徴は明快です。完成した「加賀百万石の礎を築いた大人物」ではなく、まだ何者になるか決まっていない途中の利家を長い時間をかけて見せています。
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『豊臣兄弟!』前田利家役は誰?大東駿介で正式決定
「前田利家を演じている俳優は誰なのか」を先に確認すると、答えは大東駿介さんです。
大東さんの出演が発表されたのは2025年2月3日。同日に織田信長役の小栗旬さん、お市役の宮﨑あおいさん、徳川家康役の松下洸平さん、明智光秀役の要潤さん、浅井長政役の中島歩さん、柴田勝家役の山口馬木也さんも発表されました。スポーツニッポン+1
『豊臣兄弟!』は2026年1月4日に始まった第65作のNHK大河ドラマです。
主人公は豊臣秀吉本人ではなく、弟の豊臣秀長。小一郎、のちの秀長を仲野太賀さん、兄・藤吉郎、のちの秀吉を池松壮亮さんが演じ、八津弘幸さんの脚本で「天下一の補佐役」の目から豊臣兄弟の天下取りを描いています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア+1
この物語で前田利家が重要なのは、単なる「秀吉の味方」ではないからです。
公式の人物紹介でも、利家は秀吉と同世代の友であり、出世を競うライバルとして位置づけられています。その後は柴田勝家の与力として北陸方面軍を担い、信長の死後には秀吉と勝家の対立に巻き込まれていきます。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
要点を整理すると、こうなります。
- 前田利家役は大東駿介
- キャスト発表は2025年2月3日
- 大東さんにとって『豊臣兄弟!』は7年ぶり4作目の大河
- 第5回では藤吉郎のライバルとして御前試合に登場
- 第32回「賤ケ岳の決闘」では勝家と秀吉の間で重大な決断を迫られる
- 第33回では北庄城を攻める羽柴軍の先鋒を命じられる
僕がここで面白いと思うのは、利家が「秀吉の成功を測る物差し」になっていることです。
小一郎にとって秀吉は、どれほど出世しても兄です。
しかし利家にとって秀吉は、もともと同じ織田家中で競っていた男でした。
横にいた男が一歩前へ出る。
もう一歩前へ出る。
やがて自分へ頭を下げながら、「天下人になる」と言う。
人間の距離は、違う道を歩いたときだけ離れるわけではありません。
同じ道を歩いていても、進む速度が違えば景色は変わる。
大東駿介版の前田利家は、その変化を視聴者に体感させる人物なのです。

大東駿介はどんな俳優?大河は4作目
大東駿介さんは1986年3月13日生まれ、大阪府堺市出身。所属事務所BLUE LABELの公式プロフィールでは身長182cmとされています。2026年8月26日現在は40歳です。BLUE LABEL –
俳優としては2005年にデビュー。
大河ドラマでは2012年『平清盛』、2015年『花燃ゆ』、2019年『いだてん~東京オリムピック噺~』に出演しており、『豊臣兄弟!』が4作目です。前作の『いだてん』から数えると7年ぶりの大河出演となりました。スポーツニッポン+1
今回の配役で効いているのは、182cmの体格だけではありません。
大東さん自身が前田利家を調べる中で注目していたのが、利家には「かぶき者」「槍の名手」という豪快な面がある一方、計算にも強く、家計を自ら管理していたとされる現実的な一面があることでした。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
つまり、ただ突っ込んでいく猛将ではない。
戦うべきときには戦う。
しかし家を残すためには、感情とは別の判断もする。
後年の前田家を考えれば、この「熱さと計算」の二面性は非常に重要です。
大東さんは藤吉郎と利家についても、憎まれ口を叩きながら助言するような、少し「ツンデレ」的な関係として捉えていました。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
第32回まで見て振り返ると、この言葉はかなり的確です。
利家は秀吉に無条件で従う家臣ではない。
だから言いたいことを言える。
嫌なことには怒れる。
それでも、秀吉という人間の底力を昔から知っている。
主人と家臣になってから知り合った二人ではないからこそ、第32回の「天下人になる」という宣言が重く響いたのだと思います。
約2メートルの棒を持ち帰った槍の役作り
大東さんの役作りで象徴的なのが、槍です。
第5回「嘘から出た実」では、小牧山城で開かれる御前試合で藤吉郎と前田利家が激突。公式あらすじの時点から、利家は藤吉郎の「ライバル」と明示されていました。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
大東さんは、実際の撮影用の槍と同じ約2メートルの棒を自宅に持ち帰り、手になじませるため日常的に触れていたとインタビューで明かしています。
殺陣でも、何度も細かく技を繰り出すより、一瞬の隙を突いて強烈な一撃を入れる利家を意識して作ったそうです。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
僕は、この第5回の槍が第32回になって別の意味を持ったように感じました。
第5回の利家は、「強い男」でした。
しかし第32回の利家が向き合うのは、腕力では倒せない相手です。
恩義。
友情。
家族。
未来。
どちらを選んでも、大切な誰かを失う。
半年以上かけて「槍なら迷わない利家」を見せたからこそ、槍では決められない選択に苦しむ姿が深く刺さったのです。
第32回「賤ケ岳の決闘」で前田利家は何を選んだ?
2026年8月23日放送の第32回は「賤ケ岳の決闘」。
信雄を味方につけた秀吉は信孝との戦に勝ち、三法師を奪還します。一方の柴田勝家は雪解けを待ちながら秀吉との決戦を準備し、やがて羽柴軍と柴田軍が賤ケ岳で対峙しました。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
その戦いの中心で、大東駿介演じる利家が揺れます。
利家にとって勝家は、単なる軍の上司ではありません。
大東さん自身、2026年2月のインタビューで、利家が勝家を「親父様」と呼ぶほど忠義を尽くす相手であり、一方の秀吉は長年切磋琢磨してきた親友だと捉えていました。
そして賤ケ岳について、「いつか来る選択の日」が怖いという趣旨の心境まで明かしていました。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
その日が、本当にやって来たのです。
秀吉が自ら利家を訪ね「天下人になる」と告げる
第32回で秀吉は、使者だけを送るのではなく、自ら利家のもとへ乗り込みます。
しかも秀吉は、利家との長年の関係や、寧々とまつの関係、利家の娘を養女としているつながりまで持ち出したうえで、自分へ力を貸してほしいと迫りました。
最後に示したのが、自分は天下人となり、新しい世をつくるという意思です。cinemacafe.net+1
利家が即答できないのは当然でしょう。
昔、一緒に出世競争をしていた男です。
御前試合で戦った男です。
家族ぐるみで付き合ってきた男です。
その相手から突然、「自分は天下人になる。お前も来い」と迫られる。
昨日まで並んでいた相手が、未来の話を始めた瞬間でした。
そして利家は、勝家にもまた未来を求めます。
天下を取り、新しい世をつくってほしい。
しかし勝家が守ろうとしているのは、自分自身の天下ではなく、あくまで信長亡きあとの織田家でした。
ここで二人の見ている景色が決定的にずれます。
利家は「次の時代」を求め始めている。
勝家は「信長から受け継いだ時代」を最後まで守ろうとしている。
どちらが善で、どちらが悪という話ではありません。
同じ信長を慕った者たちが、信長亡き世界の守り方で別れてしまった。
第32回が切ないのは、ここだと思います。

勝家との決闘は「裏切り」の一言では片づけられない
ドラマ終盤では、秀吉側へ進む覚悟を固めた利家と勝家が一対一でぶつかります。
利家は勝家に生きる道を求めますが、勝家はそれを受け入れない。
そして二人は、言葉だけでは終わらせられない関係を、武将らしい形で決着させます。放送後には、この利家と勝家の決別に対して、つらさや涙を訴える反応が相次いだと複数メディアが伝えました。ENCOUNT+1
ここで重要なのは、第32回が「利家が勝家を見捨てた」という単純な構図にしなかったことです。
むしろ僕には、勝家が自分とは異なる未来へ利家を送り出したように見えました。
尊敬が消えたわけではない。
恩を忘れたわけでもない。
嫌いになったから離れるわけでもない。
それでも、一緒には行けない。
大人になってから胸に残る別れは、案外こういうものです。
憎んで別れるより、好きなまま道が分かれるほうが痛い。
第32回の利家と勝家には、その痛みがありました。
「雪」が戦のない世を象徴していた
もう一つ、第32回で見逃せないのが「雪」です。
北陸の雪は軍事的には勝家の行動を制限するものとして登場します。史実解説でも、越前の勝家が雪に阻まれ、秀吉側への対応が難しかった時期が説明されています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
しかしドラマは、その雪に別の意味を重ねました。
まつは、雪がある間は戦が起こりにくいことから、ずっと雪が続けば戦のない時間も続くのではないかという願いを抱きます。
そして利家は秀吉へ、その願いにつながる「雪」を背負わせます。Japaaan
もちろん、これは史料に残された前田利家本人の発言として扱うべきものではありません。
ドラマ上の表現です。
けれど脚本としては非常に意味があります。
利家が秀吉へ向かった理由を、「秀吉が勝ちそうだから」という損得だけにしなかった。
まつが暮らせる世。
戦が終わる世。
自分の子どもたちが生きる世。
そうした未来を、秀吉に賭けた。
雪は冷たいはずなのに、第32回では戦の炎を消すものとして描かれていました。
僕の胸に残ったのは、その反転です。
史実の前田利家は賤ヶ岳で本当に柴田勝家を裏切った?
ここはドラマと歴史をきちんと分けておきたいところです。
結論から言うと、前田利家が柴田側から離れ、のちに秀吉と関係を深めていく大きな流れには史実上の根拠があります。ただし、第32回の決闘や会話をそのまま史実と考えることはできません。
ステラnetで歴史解説を担当する東京大学史料編纂所准教授・遠藤珠紀氏は、秀吉が家臣の大村由己に書かせた『柴田合戦記』について紹介しています。
そこでは、賤ヶ岳の戦い後の1583年4月22日、利家が居城の越前府中城で秀吉に降参したと記されていると説明されています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
さらに江戸時代の軍記には、秀吉が自ら利家を説得したという逸話もある一方、本当にどのようなやり取りがあったかまでは確定できません。
ただし、戦後に利家が家臣へ送った手紙からは、自分と秀吉が以前から非常に親しい関係にあったことがうかがえるとされています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
ここが大切です。
歴史上確認しやすいのは「利家が最終的にどう動いたか」。
しかし、
「その晩、何を考えたのか」
「勝家にどんな言葉をかけたのか」
「秀吉の天下取りを、いつ心から信じたのか」
までは残されていません。
そこへドラマが人間の感情を置く。
歴史が点を残し、脚本が点と点の間に橋を架けるわけです。
第32回の一対一の決闘も、そのまま史実として見るのではなく、勝家から秀吉へ軸足を移さなければならなかった利家の葛藤を可視化したドラマ上の表現と見るのが安全でしょう。

利家は1581年に能登、1583年に金沢へ進んだ
利家のその後も確認しておきましょう。
石川県の金沢城に関する公式資料では、1581年に前田利家が織田信長から能登国を与えられて七尾城へ入り、1583年には北加賀二郡を加増され、金沢城へ移った流れが整理されています。石川県公式ウェブサイト
つまり賤ヶ岳前後は、利家にとって単なる「所属先変更」ではありません。
人生の地図そのものが塗り替わった時期です。
勝家のもとに残る未来。
秀吉と進む未来。
能登から金沢へ向かう未来。
後世の僕たちは結果を知っていますが、その瞬間を生きる利家には結果が見えません。
歴史人物をドラマで見る面白さは、ここにあります。
教科書なら、
「1583年、北加賀二郡を与えられ金沢城へ」
と一行で終わります。
けれど、その一行を生きる本人にとっては、何年も続く人間関係と、恩義と、家族の未来を背負った決断だったかもしれない。
『豊臣兄弟!』は、そこを物語にしています。
「初代加賀藩主・前田利家」と言い切ると少し違う
もう一つ、検索記事だからこそ補足しておきたいポイントがあります。
前田利家は「加賀百万石の礎を築いた人物」と呼ばれます。
これは間違いではありません。
しかし石川県の金沢城資料では、江戸幕府の藩体制として数える場合、利家の長男・前田利長を加賀藩の初代藩主とする整理が示されています。利家自身は1583年から金沢城主となり、その土台を築いた人物です。石川県公式ウェブサイト
つまり、
利家=加賀百万石の礎を築いた人物
と、
加賀藩初代藩主=前田利長
は両立します。
細かな違いですが、ここを分けるだけで記事の正確さは大きく変わります。
そして僕には、この「礎を築いた」という言葉が大東駿介版にとても似合って見えます。
完成したものを受け取ったのではない。
何も確定していないところから道を選んだ。
第32回の利家は、まさにその入り口に立っていたのです。
歴代大河の前田利家役は誰?大東駿介版との違い
前田利家は、NHK大河ドラマに繰り返し登場してきた武将です。
作品ごとに描かれる年代が違うため、同じ「前田利家」でも、若いかぶき者から豊臣政権の重鎮まで印象はかなり変わります。
代表的な配役を比較すると、次のようになります。【大河ドラマ】データベース+3【大河ドラマ】データベース+3【大河ドラマ】データベース+3
放送年 大河ドラマ 前田利家役 描かれる利家の特徴
1965年 『太閤記』 川津祐介 若き秀吉と同時代を生きる武将
1992年 『信長 KING OF ZIPANGU』 橋爪淳 信長に仕える若き家臣
1996年 『秀吉』 渡辺徹 秀吉と歩む盟友・有力武将
2002年 『利家とまつ』 唐沢寿明 若年期から晩年まで描く主人公
2009年 『天地人』 宇津井健 豊臣政権を支える晩年の重鎮
2014年 『軍師官兵衛』 横内正 豊臣政権期の有力大名
2016年 『真田丸』 小林勝也 五大老時代の重鎮
2020年 『麒麟がくる』 入江甚儀 若き織田家臣としての利家
2023年 『どうする家康』 宅麻伸 豊臣政権末期の大大名
2026年 『豊臣兄弟!』 大東駿介 秀吉のライバルから時代の選択者へ
この比較で最も分かりやすいのが、2002年の『利家とまつ~加賀百万石物語~』でしょう。
唐沢寿明さんが利家、松嶋菜々子さんがまつを演じた大河第41作で、2002年1月6日から12月15日まで全49回放送。尾張から北陸へ進み、加賀百万石の礎を築いていく利家とまつの人生そのものが物語の中心でした。放送ライブラリー公式ページ+1
唐沢寿明版と大東駿介版は「カメラの位置」が違う
唐沢寿明版では、前田利家が主人公です。
信長との出会いも、まつとの夫婦生活も、秀吉との友情も、勝家との葛藤も、すべてが「利家の人生」として語られます。
一方、『豊臣兄弟!』の主人公は豊臣秀長です。
カメラの中心には秀長と秀吉がいる。
その横に前田利家が立つ。
この違いは、とても大きいと思います。
『利家とまつ』では、
「利家はどう生きたのか」
を見る。
『豊臣兄弟!』では、
「秀吉が天下へ近づくとき、利家にはその変化がどう見えたのか」
を見る。
同じ人物でも、物語の中心から見るか、中心人物を映す鏡として見るかで役割が変わります。
僕は大東版の利家を、「秀吉のサイドミラー」のような人物だと感じています。
秀吉自身だけを見ていると、天下人への上昇は物語の勢いとして受け入れてしまう。
でも利家を見ると、その速さが分かる。
少し前まで口げんかしていた男。
御前試合で戦った男。
家族ぐるみで付き合っていた男。
その男が、天下を口にしている。
利家の驚きは、そのまま視聴者が感じるべき「秀吉の異常な出世速度」なのです。
宇津井健版・宅麻伸版と違い、大東版はまだ「重鎮」ではない
2009年『天地人』の宇津井健さんや、2023年『どうする家康』の宅麻伸さんが演じるころの利家には、すでに名前そのものの重みがあります。
有力大名。
豊臣政権を支える存在。
家康とも対峙できる大人物。
その完成形を知っているからこそ、2026年版が新鮮です。
大東駿介版は、まだ完成していません。
藤吉郎に張り合う。
勝家を「親父様」と慕う。
まつの言葉に耳を傾ける。
自分の進む道に迷う。
そして大切な人と別れる。
後世から見れば「前田利家の正解」に進んでいるのに、本人だけはそれが正解だと知らない。
この時間差こそ、大東版の魅力だと思います。

考察|大東駿介版の前田利家はなぜ今こんなに面白い?
ここからは僕の考察です。
大東駿介版の前田利家が歴代大河と違って見える最大の理由は、英雄の「結果」ではなく、英雄になる直前の「選択」に時間を使っているからだと思います。
歴史上の人物は、結果で覚えられます。
秀吉は天下人。
家康は江戸幕府を開いた人物。
利家は加賀百万石の礎を築いた人物。
ところが本人たちは、その肩書きを知らずに生きています。
第5回の利家にとって藤吉郎は、「将来の天下人」ではありません。
倒したい相手です。
負けたくない相手です。
でも、いなくなれば少し寂しい相手でもある。
第32回になると、その同じ男が自分へ未来を提示する。
この変化を30回近くの物語の中で見てきたから、利家の一歩が重く感じられます。
僕自身、年齢を重ねてから、ドラマで強く惹かれるのは「成功した瞬間」より、その前に何を捨てたのかという場面になりました。
選択には、選んだものだけでなく、選ばなかったものが残ります。
利家が秀吉を選んだ瞬間、その背後には勝家が残った。
ステアリングを切る角度は、一瞬です。
けれど曲がったあと、バックミラーに映る人の姿は長く残る。
第32回は、そんな物語でした。
第33回「北庄城の別れ」で利家の選択は終わらない
そして利家の苦しさは、第32回で終わりません。
2026年8月30日放送予定の第33回「北庄城の別れ」では、敗走した勝家が市の待つ北庄城へ籠城します。
小一郎は降伏を促すべきだと考えますが、秀吉は勝家が降伏することはないと判断。
そして利家に先鋒を命じることが公式あらすじで明らかになっています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア+1
これは残酷です。
第32回で別れた相手の城へ、第33回では攻める側の先頭として進む。
選択とは、「決めました」で終わるものではない。
決めたあとに訪れる結果まで背負う必要があります。
だから僕は、第33回の利家に注目しています。
秀吉を選ぶことはできた。
では、勝家を攻められるのか。
新しい世を望むことと、古い恩義を断ち切ることは、本当に同じなのか。
第32回で「道を選ぶ利家」を描いた以上、第33回では「選んだ道を歩かなければならない利家」が描かれるはずです。
金沢百万石まつりでは現実の大東駿介が「利家公」になった
2026年には、ドラマの外でも象徴的な出来事がありました。
6月5日から7日まで開催された第75回金沢百万石まつりで、6月6日の百万石行列の前田利家公役を大東駿介さんが担当。
お松の方役は、『豊臣兄弟!』でもまつを演じる菅井友香さんでした。金沢百万石まつり+1
僕はこの組み合わせが、とても面白いと思っています。
ドラマの中の利家は、まだ金沢の未来を知りません。
第32回の時点では、勝家と別れる痛みの中にいる。
一方、2026年の金沢に集まった人たちは、その先を知っています。
1583年に利家が金沢城へ入り、前田家の時代へつながっていくことを知っている。
つまり大東さんは同じ年に、
未来を知らない前田利家
と、
未来を知った金沢が顕彰する前田利家公
の両方を演じたことになります。
これは2026年ならではの重なりです。
ドラマの一場面だけを見れば、利家は迷っている男です。
歴史全体から見れば、その迷いの先に金沢がある。
未来を知っている視聴者と、未来を知らない登場人物。
その距離があるから、歴史ドラマは切ない。
僕は第32回を見ながら、そのことを強く感じました。
まとめると、『豊臣兄弟!』で前田利家を演じているのは大東駿介さんです。
第5回では藤吉郎のライバルとして槍の強さを見せ、第32回「賤ケ岳の決闘」では柴田勝家と秀吉の間で人生最大級の選択を迫られました。
史実では、賤ヶ岳後に利家が秀吉へ降参したことを示す記録があり、1583年には北加賀二郡を加増されて金沢城へ移ります。ただし、ドラマの勝家との決闘や細かな会話まで史実と考えるべきではありません。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア+1
歴代大河と比べても、大東駿介版の面白さは「完成前」にあります。
唐沢寿明版のように人生全体を描く主人公でもなく、宇津井健版や宅麻伸版のような完成された重鎮でもない。
秀吉に張り合い、勝家を慕い、まつとの未来を考え、それでも次の時代へ進まなければならない男です。
英雄とは、迷わなかった人ではないのかもしれません。
迷いながら、大切なものを背負い、それでも次の道を選んだ人。
第5回で勢いよく振るっていた槍よりも、第32回で利家が踏み出した一歩のほうが、僕にはずっと重く見えました。
そしてその先には、第33回の北庄城と、そのさらに先の金沢があります。
未来を知る僕たちには、雪がいつか解けることが分かっている。
でも、あの瞬間の利家にはまだ春が見えていない。
だからこそ、大東駿介さんの「まだ完成していない前田利家」を、僕は最後まで見届けたくなるのです。
よくある質問
『豊臣兄弟!』の前田利家役は誰ですか?
大東駿介さんです。 2025年2月3日に追加キャストとして正式発表されました。秀吉の生涯の友であり、出世争いのライバルとなる前田利家を演じています。スポーツニッポン+1
大東駿介さんは『豊臣兄弟!』が初めての大河ですか?
いいえ。『平清盛』『花燃ゆ』『いだてん~東京オリムピック噺~』に続く4作目で、『いだてん』以来7年ぶりの大河出演です。スポーツニッポン
第33回にも前田利家は登場しますか?
登場します。2026年8月30日放送予定の第33回「北庄城の別れ」では、北庄城に籠城する柴田勝家に対し、秀吉が利家を先鋒に命じることが公式あらすじで示されています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア
※史実部分は、NHK財団「ステラnet」の歴史コラムおよび石川県が公開する金沢城関連資料を中心に確認し、ドラマ上の演出と史料で確認できる事実を分けて記載しています。ステラnet | NHK財団が運営するネットメディア+2石川県公式ウェブサイト+2
文:岸本 湊人(ドラマ見届け人・湊の部屋)
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