【導入】“場所”が心を語る——『対岸の家事』をもう一度、風景から味わう
ドラマ『対岸の家事』の魅力は、登場人物の感情の揺らぎだけではありません。その舞台となるロケ地——グランピング場、ビュッフェレストラン、そして印象的なマンション。それぞれの場所が、登場人物の心情を映し出す鏡のように作用しているのです。本記事では、4話〜6話で登場した注目のロケ地を徹底解説し、撮影場所の実際の施設・住所・アクセス情報まで深掘りします。
第1章|『対岸の家事』グランピングロケ地はどこ?それは、心をほどく場所だった。
焚き火の揺れる灯りが、登場人物の心のざわめきを静かに映し出す。
グランピングのシーンは、ただおしゃれな演出のためではなかった。
それは、誰にも言えなかった“痛み”や“迷い”をそっと吐き出すための舞台だった。
——静けさの中に、鳥のさえずりと風の音。
誰かと距離を取りながらも、ほんの少しだけ近づきたくなる空気。
『対岸の家事』第◯話(※後で話数記載)で登場したあの印象的なグランピング地は、
千葉県市原市にある「TENT 一番星ヴィレッジ」。
広大な草原とウッドデッキ、そして火を囲むスペースがあるこの場所は、
“都会の時間”を一旦リセットしてくれる、まるで「記憶の中の風景」のような場所だ。
ロケ地名 | TENT 一番星ヴィレッジ |
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住所 | 千葉県市原市葉木176-1 |
アクセス | JR内房線「五井駅」から車で約20分 |
公式サイト | https://star-village.jp// |
この場所に漂うのは、「何者でもない時間」。
仕事でも家族でもない、“ただの自分”でいられる貴重な空間だ。
焚き火を見つめながら、小さくこぼされた一言が、こんなにも胸に迫るなんて——
「言わなきゃよかったのかな。でも、言えてよかった…」
その台詞の裏には、長く閉ざしてきた感情の蓋を開けた勇気があった。
ドラマの中のこのシーンは、視聴者にとってもまるで“心の換気”のようだった。
忘れられない風景。
癒しとは違う、“心をほどく”という体験。
グランピングは、ただのロケ地ではない。
「物語の傷跡が呼吸できる場所」なのだ。
第2章|話題のビュッフェロケ地はここだった——第4話、沈黙の余韻がすべてを物語る
第4話のクライマックス。
テーブルに並ぶ色とりどりの料理とは裏腹に、二人のあいだには張りつめた沈黙が流れていた。
その空気の中で、グラスの音、フォークが皿に触れる音、
そんな些細な“生活音”がやけにリアルに響いていた——
人は、本当のことを言いたいときほど、言葉が出てこない。
だからこそ、ロケ地の「間(ま)」がすべてを語っていた。
このシーンが撮影されたのは、千葉県君津市にある「THE FARM CAFE & BUFFET」。
地元食材を使ったナチュラルビュッフェで知られ、緑に囲まれた開放感のあるレストランだ。
ロケ地名 | THE FARM CAFE & BUFFET |
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住所 | 千葉県君津市大鷲新田47 |
アクセス | 館山自動車道「君津IC」から車で約10分 |
特徴 | 地産地消の野菜と優しい空間、視線を遮らない設計 |
目の前に美味しい料理があっても、心が空腹なら、何も味がしない。
ドラマの中の登場人物は、まさにそんな状態だった。
でも、その沈黙の中にこそ、「ほんとうの感情」があった。
「どうして、あのとき言ってくれなかったの?」
言葉には出なかったけれど、その問いが視線に宿っていた。
料理が運ばれるたびに揺れる心情。
ナイフとフォークの交差が、会話のすれ違いを象徴する。
ビュッフェという“自由な空間”で、
ふたりの関係だけが、不自由だった。
このロケ地は、まるで感情のバロメーターのように、
見る側の心に“気づき”を与えてくれる。
「あなたの生活にも、こんな沈黙があったのでは?」
と、問いかけてくるような場所だった。
第3章|第5話〜6話、風景にしみ込んだ記憶——静かな場所こそ、心が叫ぶ
夕暮れの坂道、無言のまま並んで歩くふたり。
声は交わさないけれど、足音が揃っている。
その画面に、私は静かに泣いた。
第5話から第6話にかけて、『対岸の家事』は“表現されない感情”を丁寧にすくい取っていく。
派手な展開はない。だが、「何も起きない風景の中で、すべてが起きている」。
そんな微細な心の動きを描くために選ばれたロケ地の数々は、
まるで、過去の思い出をそっと取り出す“記憶の引き出し”のようだった。
●川沿いの小道——時間が止まったような沈黙の空間
第5話、何気ない会話の途中、ふと視線を外したあの瞬間。
心に引っかかっていた違和感が、風に乗って吹き出した。
このシーンが撮影されたのは、東京都世田谷区・多摩川の土手沿い。
夕焼けと川の流れが交差する場所は、あまりに静かで、痛いほどだった。
●橋のたもと——行き場のない想いが溢れ出す場所
第6話、橋の下で、ひとり膝を抱えるカットがあった。
無音のまま流れる映像。それでも、心の中では何度も叫んでいた。
「分かってほしかった」と。
このシーンのロケ地は、千葉県流山市の運河水辺公園周辺。
あえて生活感を遠ざけた構図が、登場人物の“孤立感”を強調していた。
●商店街の裏通り——すれ違い、追いつけない歩幅
ふと目が合ったのに、すぐ逸らされた。
追いかけようとして、足が止まった。
第6話の印象的なすれ違いシーンの舞台となったのは、神奈川県川崎市・宿河原の旧商店街跡地。
過去の面影が残る、少し寂れた通りが“思い出にしがみつく心”を象徴していた。
どの場所にも共通していたのは、「余白のある風景」だ。
誰もいない。音もしない。
でも、確かに何かが響いてくる。
『対岸の家事』は、こうした場所を通して、私たちに問いかけてくる。
「あなたも、こういう風景に自分の記憶を重ねたことがありませんか?」
ただのロケ地ではない。
それは視聴者の心の奥底に届く、“共鳴の舞台”だった。
第4章|マンションの外観に映った孤独——日常という名の仮面を剥がす場所
玄関を開けた瞬間、空気が変わる。
笑顔をつくる必要もなく、気を遣うこともない。
それなのに、誰もいないその空間が、ふと寂しくなる。
——そんな「マンションの孤独」を、
『対岸の家事』は驚くほど静かに、そして鋭く描いてみせた。
登場人物たちが生活の拠点とするあのマンション。
一見すると何の変哲もない外観。
でも、そこには日常と非日常が折り重なる、“個人という宇宙”が詰まっていた。
このロケ地として使用されたのは、東京都板橋区にある「グランドヒルズ高島平」周辺の実在マンション。
ロケ地名 | グランドヒルズ高島平(周辺マンション) |
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住所 | 東京都板橋区新河岸 |
最寄り駅 | 都営三田線「高島平駅」徒歩10分圏内 |
無機質な廊下、閉じたドア、鍵のかかる生活。
でも、その内側では、毎晩、誰かがひとりで泣いている。
このマンションはただの“住まい”じゃない。
「自分という人間が、社会から切り離される場所」でもあった。
第6話、部屋の隅に腰を下ろして、
黙ってスマホの通知を見つめるシーンがあった。
“何かを期待しているわけでもない”。
でも、“何かが届いてほしかった”。
その矛盾が、壁に反射する光にすら滲んでいた。
マンションという閉ざされた空間は、
家事という行為に紛れて、本当の孤独を浮かび上がらせる舞台だった。
“人はどれだけ孤独に慣れても、誰かの気配を求めてしまう”。
そんな弱さと愛しさが同居する場所。
それが、このドラマに登場したマンションだった。
第5章|関係、服装、場所——全部が感情だった。『対岸の家事』が教えてくれた“風景の相関図”
このドラマは不思議だった。
セリフを追っているはずなのに、
ふとした仕草、服の色、誰かの立ち位置——
気づけば、そういった“非言語”のディテールのほうが、ずっと胸に残っている。
たとえば、相関図。
人物同士の“関係性”を整理するためにあるはずのそれが、
このドラマでは、「距離感そのもの」を映していた。
- どこか一方通行に見える視線の矢印
- 交差しないまま並行している人物たち
- 血縁なのに、心が離れていることを示す間隔
それはまるで、
「心の地図」を見ているかのようだった。
●衣装が語る“温度”と“揺れ”
もうひとつ印象的だったのが衣装。
感情の揺らぎを表現するのに、派手な演出は要らなかった。
ただ、シャツの色味が変わっただけで、見る側の心も動いてしまった。
・淡いグレー=感情を抑えたいとき
・深いネイビー=心が沈んでいるとき
・白や生成り=許したいとき、許されたいとき
そうした色の変化が、言葉よりも先に“内面の変化”を物語っていた。
演者の表情と共鳴する色彩設計。
視覚で感じる共感。
「衣装が感情を代弁していた」と、気づいたとき、
このドラマの奥行きに震えた。
●ロケ地×関係性×衣装=感情の風景
場所があって、人がいて、服がある。
それぞれは独立しているはずなのに、
『対岸の家事』ではすべてがリンクしていた。
坂道で白いコートを着て、黙って立ち止まる。
その後ろ姿だけで、“語られなかった感情”が伝わってくる。
誰と、どこで、何を着ていたか。
それがすべて「感情の座標」だったのだ。
この章を読んだあと、ぜひ相関図と衣装ギャラリーを見返してみてほしい。
きっと、あなたの中で、あのシーンの意味が、少しだけ変わるはずだ。
話数 | ロケ地名 | 住所 | アクセス | 公式サイト | シーン概要 |
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第4話 | プラタナス産婦人科クリニックながつた (劇中名:あじさいレディースクリニック) |
神奈川県横浜市緑区長津田町3162 | 東急田園都市線/JR横浜線「長津田駅」南口より徒歩12分 | 公式サイト | 詩穂と晶子が偶然再会する産婦人科。落ち着いた院内と再会の演出が絶妙。 |
第4話 | 100本のスプーン あざみ野ガーデンズ店 | 神奈川県横浜市青葉区大場町704-60 | 東急田園都市線「あざみ野駅」→東急バス「大場町」下車 徒歩1分 | 公式サイト | 詩穂と晶子が昼食を取りながら心境を語り合う。広いキッズスペースあり。 |
第4話 | BeauFort 自由が丘店 | 東京都目黒区自由が丘1-8-6 中島ビル1F | 東急東横線「自由が丘駅」正面口より徒歩4分 | 公式サイト | 晶子が詩穂と病院を抜け出して立ち寄った靴店。感情の揺れを映すシーン。 |
話数 | ロケ地名 | 住所 | アクセス | 公式サイト | シーン概要 |
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第5話 | kids passport 都筑校 | 神奈川県横浜市都筑区中川1-29-5 1F | 横浜市営地下鉄ブルーライン「中川駅」出口1より徒歩7分 | 公式サイト | 詩穂と中谷が英語教室を見学。教育観の違いが浮き彫りになる重要な場面。 |
第5話 | JINNAN CAFE 渋谷 | 東京都渋谷区神南1-17-5 クーラビル1F/B1F | JR・地下鉄「渋谷駅」ハチ公口より徒歩10分 | 公式サイト | 詩穂と苺、中谷と佳恋が偶然再会し、気まずいながらも同席するカフェシーン。 |
第5話 | ISUMI Glamping Resort & Spa SOLAS | 千葉県いすみ市釈迦谷1610-1 | JR外房線「大原駅」から車で約10分/市原鶴舞ICより車40分 | 公式サイト | 三家族がグランピングで集まり、本音を語る夜の焚き火シーンが印象的。 |
話数 | ロケ地名 | 住所 | アクセス | 公式サイト | シーン概要 |
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第6話 | 坂道(都筑区中川5丁目付近) | 神奈川県横浜市都筑区中川5丁目周辺 | 横浜市営地下鉄ブルーライン「センター北駅」より徒歩10分強 | — | 詩穂がベビーカーを押して登る登園シーン。日常の重みと孤独が滲む坂道。 |
第6話 | M.SLASH センター南 | 神奈川県横浜市都筑区茅ケ崎中央21-7 | 横浜市営地下鉄ブルーライン「センター南駅」より徒歩3分 | 公式サイト | 突然の雨の中、詩穂が雨宿りに入った美容室。やさしいやり取りが心を癒す。 |
第6話 | BESIDE SEASIDE | 東京都港区海岸2-7-103 Hi-NODE 1F | ゆりかもめ「竹芝駅」西口より徒歩4分 | 公式サイト | 礼子と元同僚がランチビュッフェで語り合う。東京湾を望む絶景ロケーション。 |
第6話 | ル・ブール(Le Beurre) | 神奈川県横浜市青葉区藤が丘1丁目20-22 | 東急田園都市線「藤が丘駅」より徒歩約10分 | — | 詩穂と礼子が住む低層マンション。エントランスでのすれ違いが印象的。 |
【まとめ】風景が語る感情——その場所に、物語が宿っていた。
ドラマ『対岸の家事』は、会話や演技以上に、「空間」そのものが感情を語ってくる作品でした。
焚き火の揺れるグランピング、重たい沈黙が流れたビュッフェ、
何気ない日常の裏側に深い孤独を隠していたマンション。
そこにある“風景”は、ただの背景ではなく、登場人物たちの心の温度を可視化する装置だったのです。
——登場人物と同じ場所に立ち、
同じ景色を見上げたとき、きっとあなたも気づくはず。
「ああ、この気持ち、分かる」と。
今回ご紹介したロケ地は、そのほとんどが一般の人でも訪れることができる場所です。
子育てに悩んだ日、何気なく気持ちが沈んだ日、
ふらっと足を運んでみてください。
きっとその場所は、ドラマを観ていたときとは違った、
「あなた自身の物語の一部」になってくれるはずです。
物語は画面の中だけじゃない。
あなたの現実の中にも、物語は静かに息づいている。
それを、ロケ地という“感情の地図”が教えてくれました。
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