『キスは捜査のあとで アゲイン』は、伊達の登場と三つの騒動を通じ、遠距離中の塩野と多古井が本音を確かめ直す続編です。
コミックスは2026年5月25日発売、単話版は全6巻で完結。本記事は伊達、温泉騒動、カジノ捜査に触れるため、結末の核心を避けたネタバレ感想です。
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『キスは捜査のあとで アゲイン』の発売日・完結状況は?
『キスは捜査のあとで アゲイン』は、すう先生による刑事お仕事BL『キスは捜査のあとで』の続編です。
出版社公式の内容紹介では、恋人同士になった塩野秀と多古井平助が遠距離恋愛を続けるなか、塩野を親しげに「秀」と呼ぶハイスペックな男性・伊達が現れることが明かされています。
基本情報は次のとおりです。
- 作者:すう
- 出版社:Jパブリッシング
- レーベル:arca comics
- 単話版配信開始日:2025年3月25日
- 単話版:全6巻完結
- コミックス発売日:2026年5月25日
- 判型:B6判
- ページ数:210ページ
- 定価:902円(税込)
- ISBN:978-4-86669-855-7
発売日、判型、ページ数、価格、ISBNはJパブリッシングの商品ページ、単話版の配信開始日と完結状況は作品情報および電子書店のページで確認できます。価格や配信状況は変わる可能性があるため、購入時には各書店の最新表示を確認してください。
塩野と多古井はどういう関係?
作品情報ページでは、塩野は28歳で山ノ道警察署の生活安全課から関東管区へ異動、多古井は38歳で山ノ道警察署刑事課の主任と紹介されています。
前作では、何かと多古井へ突っかかる塩野が突然キスをし、その理由を多古井に考えさせるところから関係が動き始めました。
つまり、恋のアクセルを踏んだのは塩野です。多古井は戸惑いながら、その真っすぐな好意を少しずつ受け入れていきました。
一方の『アゲイン』では、すでに2人は恋人です。
それでも、塩野の異動によって仕事中の様子や交友関係が見えにくくなり、多古井は「恋人になれた安心」よりも「離れている不安」を強く意識するようになります。
恋人になるまでを描いた前作に対し、続編が描くのは恋人になったあとも関係を育て続けられるかという問題です。
記事内の情報源とネタバレ範囲
この記事では、情報の出どころを次のように分けています。
- 出版社公式:発売日、書誌情報、公式あらすじ、特典への対応
- arca comics公式SNS:各話の配信、完結、カジノ潜入の概要
- 電子書店:単話版の巻数、完結表示、購入者評価
- 読者レビュー:温泉旅行以降の細かな展開や感想
- 筆者の考察:人物の心理、事件の配置、題名の意味
公式あらすじでは、遠距離恋愛と伊達の登場までは明示されていますが、温泉旅行以降の細部は伏せられています。
そのため、後半の騒動については、公式情報で確認できる範囲と、ネタバレを含む複数の購入者レビューで言及されている内容を区別して解説します。

『キスは捜査のあとで アゲイン』3つの事件をネタバレ解説
『キスは捜査のあとで アゲイン』で塩野と多古井の関係を動かすのは、主に三つの事件・騒動です。
- 伊達の登場による多古井の嫉妬
- 温泉旅行から始まる「ソルト様」騒動
- 大前田を追うカジノ潜入捜査
伊達の登場は、厳密には犯罪事件ではありません。
しかし、多古井が塩野との関係を確かめようと動き出すため、恋愛面では最初の「捜査」と呼べる出来事です。
1.伊達の登場で多古井の嫉妬が爆発
最初の騒動を起こすのは、塩野を「秀」と名前で呼ぶ伊達ジョージです。
出版社公式の内容紹介でも、伊達は多古井のいら立ちを一気に高める人物として前面に出されています。
遠距離恋愛では、相手の一日をすべて見ることはできません。
誰と働き、誰と食事をし、どのような表情で話しているのか。知らない時間が増えるほど、人は見えていない部分を想像で埋めようとします。
多古井も、塩野と伊達がどのような関係なのかを本人へまっすぐ聞けません。
刑事としては聞き込みができても、恋人として「嫉妬している」と認めることは難しい。その不器用さが、伊達をめぐる調査や対抗心へつながっていきます。
僕が注目したのは、多古井が初めて明確に「塩野を奪われたくない側」へ回ることです。
前作では塩野が多古井を追い、多古井がその熱量を受け止めていました。続編では、多古井自身が塩野を強く必要としている事実を、伊達によって突きつけられます。
伊達は、ただ2人の仲を壊す恋敵ではありません。
物語が進むにつれて、塩野の性格や弱さを見抜き、ときに本音を引き出す人物としても機能します。ただし、この役割は出版社が公式に説明した設定ではなく、僕が物語の配置から読み取った解釈です。
伊達が近づくたび、多古井の胸には小さなサイレンが鳴ります。
けれど、その音が知らせているのは浮気の証拠ではありません。多古井自身が、もう塩野なしでは平静でいられないという事実なのです。
2.温泉旅行から「ソルト様」騒動へ
次に描かれるのは、塩野と多古井の温泉旅行です。
arca comics公式SNSでは、第3話について、2人が温泉旅行へ向かう展開が告知されていました。
仕事や勤務地に隔てられた2人にとって、温泉旅行はようやく手にした静かな時間です。
ところが、購入者レビューでは、旅行が予想外の怪事件へ変わり、塩野が「ソルト様」と呼ばれる大胆なコメディパートへ突入すると複数言及されています。
さらにネタバレを含むレビューでは、拉致を思わせる状況、催眠術、コスプレ、ライブ風の演出、ウインクを使った合図などが挙げられています。
これらの細部は出版社の公式あらすじには記載されておらず、読者レビューを通じて確認できる情報です。そのため、犯罪捜査の現実的な再現というより、作品が大きくコメディへ振り切る章として捉えるのが適切でしょう。
塩野は普段、表情をほとんど変えない冷静な人物です。
その塩野が、状況を打開するために予想外の役割を演じる。外見の華やかさと刑事としての判断力が、一番おかしな形で同時に使われます。
一方、多古井に求められるのは、塩野のわずかな合図を読み取ることです。
伊達の場面では、言葉を聞かずに想像を膨らませた多古井が、温泉騒動では言葉を使えない塩野の意図を信じなければなりません。
ここには、同じ「分からない」でも大きな違いがあります。
伊達をめぐる不安では、多古井は自分の想像に引っ張られました。温泉騒動では、塩野が出した小さなサインを手がかりに、相手の判断を信じて動こうとします。
僕には、この変化が2人の関係の前進に見えました。
相手の心を勝手に推理するのではなく、相手から届いた信号を受け取る。恋愛に必要なのは鋭すぎる推理力ではなく、見落とさない注意深さなのかもしれません。
ただし、この章は作品のなかでも特にコメディ色が強い部分です。
静かな遠距離恋愛や現実的な警察描写を期待している読者は、急激な展開に戸惑う可能性があります。反対に、変装、合図、逆転、濃い脇役まで含めたドタバタ劇が好きな人には、忘れにくいエピソードになるでしょう。

3.大前田を追うカジノ潜入捜査
終盤では、大前田という人物を追う事件が、塩野と多古井の関係をさらに揺さぶります。
arca comics公式アカウントは完結話の紹介で、大前田を追ってカジノへ潜入した多古井が危機に直面する展開を告知しています。第6話が完結話であることも、同アカウントの案内で確認できます。
序盤では、多古井が伊達に嫉妬しました。
終盤では立場が反転し、多古井の人懐っこさや相手を疑い切れない性格に、今度は塩野の方が心を乱されます。
塩野は一途です。
しかし、一途であることと、自信があることは同じではありません。多古井を強く求めるほど、いつか自分から離れてしまうのではないかという恐れも大きくなります。
その恐怖が強い言葉になって表れ、2人の間には亀裂が生まれます。
相手を守ろうと握った手が、強すぎれば相手を痛ませる。塩野の言葉には、そんな愛情の危うさがにじみます。
大前田とカジノをめぐる事件は、伊達の騒動とは性質が異なります。
伊達は「恋人を取られるかもしれない」という想像上の脅威でした。一方、大前田は、多古井を現実の危険へ近づける外部からの脅威です。
だからこそ、塩野の感情も隠し切れなくなります。
誰を疑うのか。誰を助けるのか。危機のなかで何を優先するのか。刑事としての選択が、恋人としての本音を言葉以上にはっきり映し出すのです。

伊達ジョージは恋敵?続編で起きる役割反転
伊達ジョージの重要性は、塩野と多古井のどちらかを誘惑することだけではありません。
伊達がいることで、2人の恋愛に隠れていた「情報の差」が目に見えるようになります。
多古井は、塩野が伊達と過ごしてきた時間を知りません。
塩野も、多古井が職場や捜査先で誰から慕われ、どのような距離感で接しているのかをすべて把握できません。
遠距離恋愛で怖いのは、距離そのものではなく、知らない時間に意味を与えすぎることです。
伊達は、その空白へ立つ人物です。
多古井は「愛される側」から「求める側」へ
前作の多古井は、塩野から向けられる強い好意に戸惑う人物でした。
ところが『アゲイン』では、伊達の登場によって、多古井の方が塩野との関係を失う可能性に動揺します。
これは単純な嫉妬ではありません。
多古井が、自分も塩野を強く求めていると認める過程です。
嫉妬する姿は格好よくありません。本人へ聞けば済むことを聞けず、関係のない人物を意識し、普段なら選ばない行動まで取ってしまいます。
それでも僕は、多古井の後退だとは感じませんでした。
前作では受け取るばかりだった愛情に対し、続編の多古井は初めて「自分から離れないでほしい」と願います。求められる人から、求める人へ。その変化によって、2人はようやく同じ高さに立ちます。
塩野は「追う側」から「選ばれるか不安な側」へ
塩野もまた、前作と同じままではありません。
多古井へ積極的に近づいた前作では、塩野の行動力と一途さが目立ちました。しかし続編では、その強さの裏にある自信のなさが表へ出ます。
塩野は多古井を選び続けています。
けれど、多古井も将来にわたって自分を選び続けてくれるのかという確信までは持てません。
だからこそ、大前田をめぐる出来事では、塩野の焦りが言葉や態度に表れます。
僕には、塩野が仕事上の立場や将来を意識する姿も、多古井との関係を長く続けられる人間になりたいという願いと重なって見えました。
ただし、これは公式に説明された動機ではありません。塩野の行動と不安の描写から読み取った、僕個人の解釈です。
前作では塩野が多古井を追いかけました。
続編では、多古井が塩野を追い、塩野は自分が選ばれ続けるのかを恐れる。追う側と待つ側が固定されないことが、『アゲイン』の人物描写を前作より立体的にしています。
『キスは捜査のあとで アゲイン』の評判は?
2026年8月1日に確認した時点で、BL情報サイト「ちるちる」では平均4.5点、評価数155件、レビュー数28件と表示されています。
コミックシーモアの単話版も平均4.5点、投稿数41件です。評価や投稿数は今後変動する可能性があります。
好意的なレビューで複数見られた点
購入者レビューでは、次のような部分を評価する感想が複数見られます。
- 多古井の嫉妬によって塩野への愛情が分かる
- 完璧に見える塩野の弱さや動揺が描かれる
- 伊達ジョージの濃いキャラクターが面白い
- 「ソルト様」をめぐる振り切ったコメディが印象に残る
- 恋愛と事件が交互に進み、展開の振れ幅が大きい
- 塩野と多古井が互いの本音を伝える場面に納得感がある
特に多古井については、普段は人情に厚く頼られる刑事なのに、塩野の前では嫉妬を隠せなくなる落差を楽しむ感想が見られます。
塩野についても、冷静な表情の下にある執着や不安が見えることで、単なる万能な恋人ではなくなりました。
強く見える人の弱さは、物語の速度を落とすブレーキではありません。その人がなぜ走り続けるのかを教えてくれる、エンジンの音だと僕は感じます。
好みが分かれるのは「ソルト様」パート
一方、温泉旅行から大きく方向転換するコメディ部分は、評価が分かれています。
一部のレビューでは「振り切っていて面白い」「予想外で笑った」と好意的に受け止められています。
その一方で、「現実味が薄い」「恋人同士の日常をもっと読みたかった」「ソルト様のくだりが合わなかった」という趣旨の感想も確認できます。
この違いは、作品に何を求めるかで生まれるのでしょう。
落ち着いた交際後の日常や、現実的な警察ものを期待すると、事件の振れ幅が大きすぎると感じるかもしれません。
反対に、嫉妬、潜入、変装、濃い脇役、急展開を一冊で味わいたい人には、その過剰さ自体が魅力になります。
『アゲイン』は、恋人になった2人を安全な場所で見守る続編ではありません。
次々と急カーブを置き、そこで2人がどちらへステアリングを切るのかを見せる作品です。
初回封入特典ペーパーへの出版社対応
紙のコミックス初回版には特典ペーパーが封入されましたが、Jパブリッシングは発売前の2026年5月18日、印刷が読み取りにくい状態になったと発表しました。
出版社の説明によると、使用した紙とインクの相性を含む全体的な調整が不十分だったことが原因です。
Jパブリッシングは発売日の2026年5月25日から、特典漫画のデータを公式サイトで公開しています。
紙の初回版を所有し、ペーパーを読み取りにくいと感じた場合は、出版社のお知らせを確認してください。公開データは個人で楽しむためのものであり、SNSなどへの転載や共有は控えるよう案内されています。
書店ごとの特典や在庫状況は変動します。
紙書籍と電子版では付属特典が異なる場合もあるため、購入前に各販売ページの最新情報を確認するのが確実です。
僕が考える『キスは捜査のあとで アゲイン』最大の見どころ
僕が本作で最も面白いと感じたのは、三つの事件がすべて異なる方法で、塩野と多古井のコミュニケーションを試している点です。
伊達の場面では、多古井は塩野に直接聞かず、自分の想像で答えを作ってしまいます。
温泉騒動では、自由に会話できない状況で、塩野が発する小さな合図を読み取らなければなりません。
カジノ捜査では、言葉よりも先に行動を選ばなければならない危機が訪れます。
三つの出来事は、単に派手さを増しているのではありません。
- 伊達編:言葉を交わせるのに、聞けない
- 温泉編:言葉を交わせないから、合図を信じる
- カジノ編:言葉を待てないから、行動で示す
この段階的な変化が、本作ならではの構造です。
最初の2人は、恋人でありながら互いの本心を推理しています。
しかし、物語が進むほど、推理よりも信号、信号よりも行動が重要になっていきます。
刑事の捜査では、証拠を集めて疑いを確信へ変えていきます。
恋愛で同じことをすれば、相手を試し、監視し、疑い続けることになりかねません。恋人との関係では、すべてを立証することより、相手が差し出した言葉や合図を受け取る勇気が必要です。
伊達と大前田の配置も対照的です。
伊達は、実際に何かを奪う前から多古井の不安を刺激します。つまり、2人の内側にあった問題を表へ出す人物です。
大前田は、多古井を現実の危険へ近づけます。こちらは外側から2人の関係を揺らす人物です。
内側の疑いと、外側の危機。
その両方を経験することで、塩野と多古井は「好きだと知っている関係」から、「怖さまで伝えられる関係」へ進んでいきます。
僕は『アゲイン』という題名を、単なる続編の印だとは受け取りませんでした。
これは作者や出版社が公式に示した意味ではなく、僕個人の読みです。
2人は最初から恋をやり直すわけではありません。
一度恋人になった事実だけに頼らず、嫉妬し、誤解し、傷つけたあとで、もう一度同じ相手を選び直します。
「前にも選んだから」ではなく、「今のあなたを、今日も選ぶ」。
その再選択が積み重なるところに、『アゲイン』という言葉の意味が浮かび上がってくるのです。
恋人になる瞬間は、赤色灯のようにまぶしく心へ残ります。
けれど、関係を続けるのはもっと小さな光です。寂しいと伝えること。嫉妬したと認めること。傷つけたら謝ること。その光を見失わない2人だからこそ、離れた場所からでも同じ方向へ帰ってこられます。

まとめ
『キスは捜査のあとで アゲイン』は、遠距離恋愛になった塩野と多古井が、伊達の登場、温泉旅行中の騒動、大前田を追うカジノ潜入捜査に向き合う続編です。
コミックスは2026年5月25日に発売され、単話版は全6巻で完結しています。
伊達は多古井の嫉妬を表へ出し、温泉騒動では言葉を使わず相手の合図を信じる力が問われ、カジノ捜査では塩野の恐れと執着が隠せなくなります。
中盤のコメディは大胆で、現実的な警察漫画を求める読者には好みが分かれるでしょう。
それでも、愛する側と愛される側を固定せず、2人の立場を何度も入れ替えた点は、交際後を描く続編として大きな魅力です。
結ばれることは、恋の解決ではありません。
知らない時間を怖がりながら、それでも相手の言葉を聞き、届いた合図を信じ、同じ人を選び直す。その不器用な反復こそが、『アゲイン』で描かれた愛の形でした。
よくある質問
『キスは捜査のあとで アゲイン』はネタバレが多い?
伊達の登場は出版社公式のあらすじでも明かされています。
一方、温泉旅行以降の「ソルト様」騒動や、大前田を追うカジノ潜入は物語の中盤から終盤にあたるため、事前情報を入れずに読みたい場合は注意してください。
『キスは捜査のあとで アゲイン』は前作を読まなくても分かる?
公式あらすじから基本的な関係は把握できますが、前作から読む方が人物の変化を深く味わえます。
塩野が多古井を追い続けた前作を知っていると、続編で多古井が嫉妬する意味や、塩野が選ばれ続けることを恐れる理由が伝わりやすくなります。
『キスは捜査のあとで アゲイン』は完結している?
単話版は全6巻で完結しています。
6話分を収録したコミックスも2026年5月25日に発売されているため、続編の物語を一冊にまとめて読むことができます。
ページを閉じたあとも、僕の胸に残ったのは事件の派手さだけではありません。
離れても、迷っても、今日の相手をもう一度選ぶ。塩野と多古井が灯した小さな光は、物語が終わったあとも静かに消えずにいます。
文:岸本 湊人
観たいものが見つからない…
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