過去の大河ドラマにジョン万次郎は登場した?歴代の作品と扱われ方を振り返る

1200×800px・横長6:4。19世紀の荒れる太平洋を中央に、左側へ幕末の土佐・中浜の海岸、右側へアメリカ・マサチューセッツ州フェアヘーブンを思わせる港町を配置。中央には特定の実在俳優に似せない14歳前後のジョン万次郎をイメージした日本人少年が水平線を見つめる後ろ姿。背景に古 大河ドラマ
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ジョン万次郎は過去6作のNHK大河ドラマに登場し、2028年『ジョン万』で7作目にして初めて主人公になります。

1968年の大河初登場から60年。歴代キャストと描かれ方をたどると、長く「世界を伝える脇役」だった万次郎が、なぜ今、物語の主語になるのかが見えてきます。

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ジョン万次郎は大河ドラマに何作品登場した?

2028年『ジョン万』を除くと、ジョン万次郎が登場した大河ドラマは6作品です。新作を含めると計7作品になります。

確認できる歴代配役は、1968年『竜馬がゆく』の井川比佐志さんから2018年『西郷どん』の劇団ひとりさんまで6人。2028年『ジョン万』では山﨑賢人さんが中濱万次郎を演じます。

過去6作について、作品別の配役記録と登場回をNHK出典として整理している大河ドラマ出演データベースの記録を照合すると、確認できる出演回は合計16回です。1968年、1974年、1990年の古い3作品は現在オンラインで確認できる各話資料が限られるため、本記事では記録以上の場面内容を推測しません。

放送年 大河ドラマ ジョン万次郎役 確認できる出演回数 物語の中心人物
1968年 『竜馬がゆく』 井川比佐志 2回 坂本竜馬
1974年 『勝海舟』 小澤幹雄 1回 勝海舟
1990年 『翔ぶが如く』 中西良太 1回 西郷隆盛・大久保利通
2008年 『篤姫』 勝地涼 6回 篤姫
2010年 『龍馬伝』 トータス松本 4回 坂本龍馬
2018年 『西郷どん』 劇団ひとり 2回 西郷隆盛
2028年予定 『ジョン万』 山﨑賢人 未定 中濱万次郎

押さえておきたい数字は、過去6作品で16回、最多出演は『篤姫』の6回、2028年『ジョン万』で7作品目という3点です。

そして、ここには大河ドラマ史として興味深い時間の流れがあります。

ジョン万次郎の大河初登場は1968年。初めて主人公になる『ジョン万』は2028年です。

つまり、大河初登場からちょうど60年後に主人公になることになります。

もちろん「60年」は結果として生まれた数字です。

ただ、半世紀以上にわたって坂本龍馬、勝海舟、西郷隆盛らの物語へ現れ、日本の外側にある世界を知らせてきた人物が、今度は自分自身の人生を一年かけて語る。この変化は象徴的に映ります。

僕が歴代作品を並べてとくに気になったのは、出演本数よりも「誰の視点から万次郎を見てきたのか」という点です。

龍馬の物語では、龍馬より先に世界を体験した土佐人。

勝海舟の物語では、海の向こうを机上ではなく身体で知る人物。

薩摩を舞台にすれば、鎖国下の日本へ海外の知識を持ち込む異質な存在になる。

万次郎は単なる便利な脇役ではありません。

短い登場時間でも、日本国内の幕末劇へ太平洋の向こう側を持ち込める人物だった。

僕には、それが何度も大河ドラマへ呼び戻されてきた大きな理由に見えます。

※画像はAIによるイメージ

歴代6作品でジョン万次郎はどう描かれた?

僕には歴代6作品の万次郎に、「日本の内側で生きる主人公へ、外の世界を持ち込む人物」という共通項が見えます。

ただし、これは出演記録そのものではなく、史実上の人物関係や確認できる各話内容を踏まえた僕の分析です。

とくに1968~1990年の作品は、現在オンラインで確認できる各話情報が新しい作品ほど豊富ではありません。

そこで古い作品については、確認できる配役と史実上の接点を中心に見ていきます。

1968年『竜馬がゆく』|井川比佐志

1968年の大河ドラマ第6作『竜馬がゆく』では、井川比佐志さんがジョン万次郎を演じました。

主演は坂本竜馬役の北大路欣也さん。配役記録では万次郎は2回登場しています。井川さんがジョン万次郎役だったことは、作品のキャスト資料でも確認できます。

龍馬と万次郎は、ともに土佐から海の向こうへ視線が伸びていく人物です。

ただし、その道順はまったく違いました。

龍馬は幕末日本の政治状況の中で海へ意識を広げていきます。

一方の万次郎は、少年時代の漂流によって本人の意思とは無関係に国外へ運ばれました。

「これから世界を見ようとする男」の物語に、「すでに世界で生きた男」が現れる。

僕はこの配置だけでも、龍馬が思い描く海外を空想ではなく現実へ変える力があったと考えています。

1974年『勝海舟』|小澤幹雄

1974年『勝海舟』では、小澤幹雄さんがジョン万次郎を演じ、出演記録は1回です。

勝海舟と万次郎には史実上も具体的な接点があります。

1860年、日米修好通商条約の批准書交換に向かう遣米使節に随行した咸臨丸で、勝麟太郎は船将、中浜万次郎は通弁方として乗り組みました。国立国会図書館の資料でも両者の乗船が確認できます。

ここが『勝海舟』に万次郎が登場する意味でしょう。

勝が「これから日本を海へ向けようとする人物」なら、万次郎はすでにその海を越えた経験者です。

構想する人と、経験した人。

二人を同じ物語に置くことで、「海」は背景ではなく、日本の進路を左右する現実になります。

1990年『翔ぶが如く』|中西良太

1990年『翔ぶが如く』では、中西良太さんがジョン万次郎を演じました。確認できる出演記録は1回です。

万次郎と薩摩にも深い接点があります。

1851年に琉球へ上陸した万次郎は、取り調べを経ながら薩摩、長崎を通り、1852年に土佐へ戻りました。国立国会図書館も、1851年の琉球上陸と1852年の土佐帰郷を紹介しています。

西郷隆盛や大久保利通を軸とする薩摩の物語に万次郎を置くと、のちに彼らが直面する「外国」が、一人の人間の経験として先に姿を見せます。

政治の主役ではないのに、時代が向かう方向を見せられる。

この性質が万次郎の強さです。

2008年『篤姫』|勝地涼

2008年『篤姫』では、勝地涼さんがジョン万次郎役を務めました。

過去6作では最多となる6回の出演記録があり、第5回「日本一の男」、第6回「女の道」、第32回「桜田門外の変」、第37回「友情と決別」、第41回「薩長同盟」、第45回「母からの文」に登場しています。

これは重要な違いです。

一度だけ海外事情を説明して姿を消すのではなく、物語の離れた時点に繰り返し姿を見せています。

そのため万次郎自身が、幕末の日本と世界をつなぐ細い糸のような役割を果たします。

『篤姫』はやがて江戸城という国内政治の中心へ進む物語です。

対して万次郎は、黒船来航以前からアメリカで暮らし、英語や航海術、測量などを学んでいた人物でした。

彼が画面に入ると、「開国」という大きな歴史用語が、人間が実際に海を渡り、異文化で暮らした経験へと変わります。

※画像はAIによるイメージ

2010年『龍馬伝』|トータス松本

2010年『龍馬伝』では、トータス松本さんがジョン万次郎役を担当し、出演記録は4回です。

この作品での役割は非常に分かりやすく描かれています。

NHKオンデマンドで確認できる第17回「怪物、容堂」では、勝麟太郎の弟子となった龍馬が、万次郎からアメリカの大統領制について聞きます。

ここでの万次郎は、僕の目には「生きた世界地図」のように映ります。

書物だけで外国制度を説明するのではなく、実際にアメリカ社会で暮らした人物の口から語らせる。

映像作品として非常に明快な方法です。

龍馬はこれから世界へ目を向ける。

万次郎はすでに世界から戻っている。

二人が向かい合うだけで、龍馬の視野が広がっていく過程を視覚的に示せます。

2018年『西郷どん』|劇団ひとり

2018年『西郷どん』では、劇団ひとりさんがジョン万次郎を演じました。

出演記録は第5回「相撲じゃ!相撲じゃ!」、第6回「謎の漂流者」の2回です。

ここで面白いのは、「歴史上の有名人」として万次郎を最初から完成形で見せるのではなく、周囲から理解されにくい人物として登場させたことです。

現代の視聴者は「ジョン万次郎」という名前を知っています。

しかし当時の日本社会から見れば、外国語を知り、遠い国で暮らした経験を持つ彼は簡単には理解できない存在でした。

僕は『西郷どん』の万次郎に、海外経験者としての華やかさよりも、「日本へ戻ったのに、すぐには日本社会の内側へ戻れない人」という側面が見えていたように感じます。

そこには2028年『ジョン万』へつながる重要な問いがあります。

世界を知ることは、必ずしも居場所を簡単にしてくれるわけではない。

むしろ二つの世界を知ったからこそ、その間で揺れることもあるのです。

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史実のジョン万次郎はどんな人生だった?

ジョン万次郎は政治家になるため海外へ出た人物ではありません。14歳で漂流し、偶然出会った世界で学んだ知識と技術を日本へ持ち帰った人物です。

国立国会図書館によると、中浜万次郎は1827年1月27日生まれ。漂流民、通訳、教育者として幕末から明治期に活動しました。

1841年、万次郎は漁に出た際に遭難します。

鳥島での生活を経て、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号に救助されました。国立公文書館の「ジョン万次郎漂流記」でも、1841年の漂流と鳥島で約5か月を過ごした経緯が紹介されています。

その後、万次郎は仲間とハワイへ渡ります。

自身はホイットフィールド船長と航海を続け、船長の故郷に近いマサチューセッツ州フェアヘーブン周辺で生活することになりました。

国立公文書館によると、万次郎はアメリカで3年余りにわたり、航海術、測量学、造船、英語、数学などの教育を受けています。

ここは万次郎を理解するうえで、とても重要です。

後世から見ると、彼は最初から「海外事情に詳しい人物」に見えてしまいます。

しかし当然ながら、漂流する前の少年が英語や測量を知っていたわけではありません。

知らない言葉。

知らない船。

知らない社会。

知らない技術。

それらを一つずつ自分の中へ取り込んだ結果として、後世の僕たちが知るジョン万次郎が生まれました。

その後は再び捕鯨船員として海へ出て、日本への帰国を目指します。

1851年に琉球へ上陸し、取り調べなどを経て1852年に土佐へ帰郷。翌1853年に幕府から召し出され、中浜の姓を与えられました。

1860年には咸臨丸で再び太平洋を渡ります。

国立国会図書館は万次郎を咸臨丸の「通弁方」と記録しており、その後は開成所教授など教育分野にも携わりました。

こうして経歴を並べると、一つの肩書きだけでは収まらない人物だったことが分かります。

  • 土佐の漁師の少年
  • 漂流民
  • 捕鯨船員
  • アメリカで学んだ学生
  • 航海・測量技術を身につけた船乗り
  • 通訳
  • 幕府に仕える人物
  • 教育者

万次郎の人生は、見る場所によって主人公像そのものが変わります。

だから歴代大河では、龍馬、勝海舟、薩摩、開国、咸臨丸と、別々の物語へ自然につながることができたのでしょう。

※画像はAIによるイメージ

ここで、2028年『ジョン万』を見る前に整理しておきたい「年」の違いがあります。

史実で万次郎が遭難・漂流したのは1841年です。

国立国会図書館と国立公文書館はいずれも1841年の出来事として整理しています。

一方、2028年『ジョン万』の制作発表で示された物語紹介は「1840年」から始まります。

紹介文では、1840年という時代状況から土佐の少年・万次郎の物語が始まり、その後に遠洋漁と漂流へ進む構成が示されています。

したがって、現時点で「ドラマが史実の漂流年を1840年に変更した」と考えるのは早いでしょう。

史実上の漂流は1841年。ドラマの物語紹介は1840年から始まる。

この二つを分けておけば、放送後に史実とドラマ上の構成を比較するときにも混乱しません。

2028年大河『ジョン万』は歴代6作品と何が違う?

最大の違いは、過去作が主に「世界を知った後の万次郎」を描いてきたのに対し、『ジョン万』では「万次郎が世界を知っていく過程」そのものが主人公の物語になることです。

2026年4月9日、2028年放送予定のNHK大河ドラマ第67作『ジョン万』が発表され、中濱万次郎役を山﨑賢人さんが演じることが明らかになりました。

山﨑さんは大河ドラマ初出演で初主演。放送は2028年1月からの予定で、2027年初夏のクランクインが予定されています。

脚本は藤本有紀さん。

制作統括は家冨未央さん、プロデューサーは二見大輔さん、演出は保坂慶太さん、泉並敬眞さん、石川慶さんが担当します。

制作発表で示された物語では、土佐の少年だった万次郎が遠洋漁へ出て漂流し、アメリカの捕鯨船ジョン・ハウランド号に救われるところから人生が大きく転換します。

ホイットフィールド船長の誘いを受けてアメリカへ渡り、学校へ通い、友情や恋を経験し、人種差別にも直面しながら船乗りへ成長していく構想が示されています。

これが過去6作品との決定的な違いです。

これまでの大河で万次郎が必要とされた場面では、すでに外国語や海外事情を知っていることに価値がありました。

『龍馬伝』の第17回が典型です。

龍馬が知らないアメリカの制度を、万次郎は知っている。

だから万次郎が登場すると、主人公の世界認識を一気に広げることができます。

しかし『ジョン万』は、その「知っている人」ができあがる前から始められます。

初めて英語を耳にする。

巨大な捕鯨船へ乗る。

知らない国で学校へ通う。

異なる文化の人と友人になる。

社会の壁にもぶつかる。

そして自分の力で航海に必要な知識を身につけていく。

つまり2028年は、「世界を教える人」ではなく「世界から教わる少年」を描けるのです。

僕は、この反転が『ジョン万』最大の見どころになると考えています。

山﨑賢人さんは制作発表までに、万次郎ゆかりのアメリカ・フェアヘーブンも訪問しています。

現地では、万次郎が歩いた町や、ホイットフィールド船長にゆかりのある場所などに実際に触れたことを語っています。

これは単なる役作りの観光ではないでしょう。

『ジョン万』にとってアメリカは「外国を示す背景」ではありません。

万次郎が言葉を学び、人と出会い、働き、成長した生活の場所です。

歴史上の偉人を演じるとき、その人物が見た土地の距離感や海の見え方を身体で知っていることは、画面上の説得力にもつながると僕は感じます。

※画像はAIによるイメージ

地元・高知県土佐清水市も2028年へ向けて動いています。

市の観光商工課には「大河ドラマ『ジョン万』推進室」が置かれ、2027年1月16日から2年間、「ジョン万EXPO」とするキャンペーンを展開する計画が公表されています。

これは今回の大河の地理的な特徴もよく表しています。

幕末大河というと、江戸、京都、薩摩、長州など政治の中心地を移動するイメージが強いでしょう。

しかし万次郎の人生を追えば、土佐から鳥島、ハワイ、アメリカ、琉球、薩摩、長崎、江戸へ視界が伸びていきます。

政治家がどこへ動いたかではなく、一人の少年が地球上をどう移動したか。

その航路そのものが、大河の物語になるのです。

考察|ジョン万次郎が60年後に主人公になる意味とは?

ここからは、確認できる事実を踏まえた僕の私見です。

歴代6作品と2028年『ジョン万』の違いは、僕は次の3点に集約できると考えています。

  • 誰かから見た万次郎から、万次郎から見た世界へ
  • 知識を渡す人から、知識を得ていく人へ
  • 海が「境界」から「道」へ変わっていく

まず最も大きいのが、視点の反転です。

1968年『竜馬がゆく』では龍馬の物語に万次郎が現れ、1974年『勝海舟』では勝海舟の物語に現れました。

『篤姫』『龍馬伝』『西郷どん』でも同じです。

主人公が先にいて、その人物の人生へ万次郎が入ってくる。

つまり、これまでは基本的に「誰かから見たジョン万次郎」でした。

2028年は逆です。

万次郎自身がカメラの中心に立つことで、初めて「ジョン万次郎から見た日本と世界」を一年かけて描けます。

この違いは大きいと思います。

たとえば万次郎にとって、日本は単なる「祖国」ではありません。

一度、物理的に帰れなくなった故郷です。

家族がいる。

仲間がいる。

けれど自分が生きていることさえ簡単には伝えられない。

一方でアメリカも、やがて単なる「異国」ではなくなります。

命を救ってくれた船長がいて、学ぶ場所があり、働く海があり、人間関係が生まれる。

制作発表で友情や恋、人種差別まで描く構想が示されたのは、万次郎を「海外知識を持ち帰った偉人」という結果だけではなく、その途中で揺れた一人の若者として描こうとしているからではないでしょうか。

二つ目は、「知識」の向きです。

過去作の万次郎は、知識を渡す側でした。

『龍馬伝』では龍馬が万次郎からアメリカの制度を聞きます。

しかし『ジョン万』では、その万次郎自身が誰かから教わります。

英語を知らない。

航海術を知らない。

測量を知らない。

アメリカの社会も知らない。

それが少しずつ変わっていく。

僕はここに、歴史ドラマとしてかなり新鮮な可能性を感じます。

歴史が動く場面というと、戦や政変、条約の締結などを想像しがちです。

でも歴史は、人間の頭の中でも動きます。

それまで存在すら知らなかった価値観を知る。

世界の広さを知る。

違う言葉を話す相手も、自分と同じように笑い、働き、悩んでいると知る。

万次郎が日本へ持ち帰ったものは、英単語や航海技術だけではなかったはずです。

「自分が知っている世界が、世界のすべてではない」という実感。

過去の大河では、その実感を完成後の万次郎から龍馬たちが受け取ってきました。

2028年は、その実感が万次郎の中に生まれる瞬間を視聴者が追えることになります。

そして三つ目が、海の意味です。

漂流した少年にとって、太平洋は故郷から自分を引き離した「境界」だったでしょう。

しかし航海術や測量を学び、自ら船に乗るようになれば、その同じ海が帰国するための「道」に変わります。

ここが映像作品として、とても美しい構造だと僕は思います。

最初は、自分がどこにいるのか分からない。

漂流とは、自分の位置も進む方向も選べない状態です。

ところが万次郎は航海を学び、自分の位置を測り、進路を決める技術を身につけていきます。

地理的な「現在地を知る」という行為が、そのまま「自分は何者なのか」という内面的な問いと重なっていく。

土佐の漁師なのか。

漂流者なのか。

アメリカで暮らす若者なのか。

船乗りなのか。

幕府に仕える人間なのか。

万次郎の人生は、何度も肩書きが変化します。

その意味で『ジョン万』は、単なる海外冒険物語だけではなく、自分の居場所と進む方向を探す物語にもなり得るでしょう。

※画像はAIによるイメージ

1968年から2018年まで、ジョン万次郎は別の主人公たちへ「世界はもっと広い」と知らせる役割を担ってきました。

そして2028年。

初登場から60年後、今度はその万次郎自身が世界の広さを知っていく物語になる。

脇役から主人公になったというより、これまで省略されてきた「ジョン万次郎がジョン万次郎になるまで」が、初めて大河の中心に置かれる。

僕は、そこに『ジョン万』の本当の新しさがあると考えています。

まとめ|過去6作・16回から2028年『ジョン万』へ

ジョン万次郎は、1968年『竜馬がゆく』から2018年『西郷どん』まで、確認できる範囲で6本のNHK大河ドラマに登場してきました。

演じたのは、井川比佐志さん、小澤幹雄さん、中西良太さん、勝地涼さん、トータス松本さん、劇団ひとりさんです。

出演記録を集計すると過去6作で計16回。最多は2008年『篤姫』の6回です。

そして2028年、第67作『ジョン万』では山﨑賢人さんが中濱万次郎役で主演します。

過去6作では、龍馬や勝海舟、西郷隆盛らから見た万次郎が描かれてきました。

2028年は初めて、その視線が反転します。

「誰かから見たジョン万次郎」から、「ジョン万次郎から見た日本と世界」へ。

さらに、海外の知識を教える完成後の万次郎ではなく、何も知らない少年が新しい言葉や技術、人間関係を身につけていく過程が物語になります。

そして、かつて万次郎を故郷から引き離した海が、やがて自分の意思で進むための道へ変わっていく。

歴代作品を振り返ってから『ジョン万』を見ると、この3つの反転がより鮮明に感じられるはずです。

60年間、大河ドラマのさまざまな主人公のそばから海風を送り込んできた人物が、2028年には自分自身の航路を物語の中央に描く。

その意味で『ジョン万』は、7作目という数字以上に、これまでの大河に登場してきたジョン万次郎像を根元から見直す作品になりそうです。

よくある質問

ジョン万次郎は過去の大河ドラマに何作品登場していますか?

2028年『ジョン万』を除くと6作品です。

1968年『竜馬がゆく』、1974年『勝海舟』、1990年『翔ぶが如く』、2008年『篤姫』、2010年『龍馬伝』、2018年『西郷どん』で、確認できる出演記録は合計16回です。

大河ドラマでジョン万次郎を演じた歴代俳優は誰ですか?

過去6作品では、井川比佐志さん、小澤幹雄さん、中西良太さん、勝地涼さん、トータス松本さん、劇団ひとりさんが演じています。

2028年『ジョン万』では山﨑賢人さんが中濱万次郎役で主演するため、新作まで含めると7作品・7人になります。

ジョン万次郎が漂流したのは1840年と1841年のどちらですか?

史実上、万次郎が漁で遭難・漂流したのは1841年です。国立国会図書館と国立公文書館の資料でも1841年と確認できます。

一方、2028年『ジョン万』の発表済み物語紹介は1840年から始まります。

現時点では「漂流年を1840年へ変更した」と断定できる情報ではなく、史実の漂流年とドラマの物語開始年は分けて考えるのが適切です。

文:岸本湊人(ドラマ評論家・ブログ戦略家)

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